スウェーデン・アカデミーは9日、2025年のノーベル文学賞をハンガリーのクラスナホルカイ・ラースローさん(71)に授与すると発表した。授賞理由は「終末的な恐怖のさなか、説得力と予見性のある作品により、芸術の持つ力を再確認させた」としている。 【写真】邦訳されたクラスナホルカイ氏の小説「北は山、南は湖、西は道、東は川」 1954年、ハンガリー南東部の町ジュラ生まれ。出版社勤務を経て、作家になった。ひとつの文章がときに数ページにわたって続く特異な文体が特徴で、出口の見いだせない不条理な状況を描く作風は、フランツ・カフカやサミュエル・ベケットらを想起させる。 作品の大半がドイツ語や英語に翻訳されている。国際的な評価も高く、2015年に英国の国際ブッカー賞、19年に全米図書賞翻訳文学部門を受賞した。代表作の「サタンタンゴ」(85年)と「抵抗の憂鬱(ゆううつ)」(89年)は、同じハンガリー出身のタル