今年もノーベル賞が発表され、ふたりの日本人が受賞した。日本の研究レベルの高さが示され、誇らしい。しかし、記事によると、足元では日本の研究力は国際的に低下している。研究力を高めていくには、博士課程人材の支援などの若手研究者の活躍を促す環境整備が欠かせない。 肩書だけだった日本の博士アメリカで働いていると、日本の博士号(PhD)は良くも悪くもかなりユニークだと感じる。20年以上も前、日本にいる頃、僕のように企業で働く研究職の場合、博士の実質的意味はとても曖昧だった。博士号を取ったところで、昇進する訳でも、給料が上がる訳でもない。名刺に「博士」と付け加えられて、何となく箔が付く程度のものだった。 学歴社会、アメリカでの博士一方、アメリカでは、PhDの意味は日本よりずっと重い。自分のいる製薬業界での限られた経験だが、PhDは研究職の標準資格だ。PhDなしでキャリアアップしていくのはかなり難しい。実