パリ(Paris、巴里)は、フランスの首都であり、市内の人口は約219万人、都市圏人口は約1,184万人であり(2010年現在)、ロンドンと共にヨーロッパ最大級の大都会である。
パリでは絵画から彫刻、流行、音楽に至るまで、さまざまな芸術の世界的な中心地として名を馳せている。「芸術の都」「花の都」などと呼ばれてその文化的影響を世界に与え続け、世界的な観光都市ともなった。
生粋のパリ出身の男性をパリジャン、女性をパリジェンヌと呼ぶ
パリ市は20の行政区で構成され、単独で県を構成する特別市である。
フランスの国家機関が集積しているだけでなく、国内の都市とは圧倒的な経済力格差もあり、強力な中央集権国家体制が出来上がっている。
フランス社会に中東系の移民が溶け込めているとは言い難く、フランスの大きな悩みになっている。2015年にパリ同時多発テロ事件が発生し、多くの市民が犠牲となった。
フランス革命の舞台になっただけであって、政治的なデモ活動も盛んである。中には暴徒化するケースもあり、2019年にはイエローベスト運動が盛り上がり、中心部の店舗が破壊・略奪された。
世界で最も国際会議が開かれる都市の1つである。
フランス経済の心臓部で、欧州で最も大企業が多い都市である。全ては挙げきれないが、日本でも知名度のある企業にアクサ、BNPパリバ、ルノー、ダノン、エルメス、ルイ・ヴィトン等がある。
内陸都市ゆえ港湾はないものの、外国人観光客により莫大な外貨を獲得している。小売や観光、金融業のほか、アパレル、工芸品などが主産業。
ラ・デファンス地区には欧州最大級のオフィス街が存在する。厳密にはパリ市内ではなく西部郊外のナンテール市にある。
紀元前3世紀頃、ローマ軍カエサルによるガリア遠征によって、セーヌ川の中ノ島、シテ島にあった砦ルテティアとして歴史に登場する。パリの名は、その地方に勢力を張っていた「パリシィ族」に由来する。
ローマ治下のガリアからゲルマン民族の大移動を経てフランク王国の一部となる。9世紀、フランク王国の解体過程でデーン人の襲撃を受ける。これと戦ったパリ伯ウードが人気が高まり、やがてパリ伯ユーグ・カペーがフランス王となると、必然的にフランス王国の首都となった。
当初のパリの街はセーヌ川の中州であったシテ島を中心としたごく限られたエリアに限定されていた。しかし、後にルーブル宮殿がパリを守る要塞から街の中心をなす華麗な王宮となり、シャンゼリゼ大通りが郊外の散歩道から中心街の街路となるなど、パリの街は次第に拡大していく。
そんな中、パリで現代的なトイレと呼べるものが普及するのは19世紀後半になってからで、それ以前は屋内にトイレは存在しないと言ってよい状況であった。では住民は排泄の際にどうしていたかというと、たらいや便壺に排泄して、それを窓から外に投げ捨てていたという。
こうしたことはパリに限らずヨーロッパ全体に共通して言える状況であったが、パリは人口密度が高い大都市でかつ綺麗な水も少なかったため余計に酷かったようだ。18世紀、オーストリアから嫁いできたマリー・アントワネットは「パリの悪臭に頭痛がする…」とこぼしていたほどである。このことは、現代の他国のヨーロッパ人からもしばしば話のネタにされる。
この問題はナポレオン3世の第二帝政期にセーヌ県知事となってパリの大改造を行ったことで知られるジョルジュ・オスマンの政策により暗渠式下水道網のパリ全体への整備、各戸給水網整備の開始が行われ、一掃されることになった。19世紀末から20世紀初めまで、パリはベルエポック(“よき時代”という意味)と呼ばれていた。1889年に催されたパリ万博でエッフェル塔が建設。その当時は近代建築物が次々と生み出された時代である。オスマンとその後継者になったアルファンの近代建築、特にエッフェル塔には建築家ガルニエや音楽家グノーらが猛烈な抗議を送ったが、これらの近代建築は世紀を越えてパリに定着していくことになる。
戦後に至り、ポンピドゥー大統領らのさらに近代的な道路建設とジスカールデスタン大統領らの伝統的な建築美を生かすアプローチとがぶつかり合い、現代のパリの景観を形作っている。
パリは世界で最も人気のある観光都市の1つである。シテ島の東側を含む1区を中心に右周りの螺旋状に配置された20の行政区から構成されている。
歴史的な建造物を眺めたり、街角のカフェを散策するだけでも素晴らしいが、ルーヴル美術館やポンピドゥーセンターなどの世界最高峰の美術館が存在し、これだけでも1日で回り切るのは時間が足りないほど。また世界最古のバレエ団や劇団などが存在している。
見どころは山ほどあるが、有名どころを紹介する。
エトワール凱旋門
ナポレオンがアウステルリッツの戦いに勝利した記念に建設を命じた建築物。あまりにも壮大過ぎる設計の為ナポレオン在位中には完成できず、1836年に完成した。
単に凱旋門というと、このエトワールを指すのだが、パリには別にも凱旋門と名のある建造物がある。
シャンゼリゼ大通り
幅100m、全長2kmの大きくて華やかな並木道。凱旋門からロンポワンデシャンゼリゼまでカフェやブティックなどが立ち並ぶ、歩くだけでも楽しい華やかな通り。ナポレオンの葬送、ドゴール将軍のパレードなど歴史的シーンの舞台でもある。
オペラ座
オペラ座というのは「歌劇場」を指す固有名詞であり、固有名詞としては長き伝統を誇るパリにあるフランス国立オペラ座、ガルニエ宮という建物を指す。実際には2022年現在のフランス国立オペラ座はガルニエ宮とオペラ・バスティーユという最新の歌劇場からなる組織である。しかもオペラ公演なら設備の良いオペラ・バスティーユでの上演が圧倒的に多数なのだ。だがファンの熱意により伝統あるガルニエ宮での公演も年間数本は維持されている。
シャルル・ガルニエの設計によるバロック風の建築はオスマン知事によるパリ再開発の象徴の一つであり、フランスを代表する建築として諸国に多数の模倣を生んだ。
ルーヴル美術館
16世紀から3世紀以上に渡って宮殿として建築が進められた建物には、1793年以来古代エジプト、メソポタミア、ギリシア、ペルシア文明の発掘品など考古学品が集められ、その充実ぶりは大英博物館を凌ぐ。美術でも新古典主義、ロマン主義以前のフランス最高級の名作が集まり、モナ・リザなど有名な展示は行列ができる。
ポンピドゥー・センター
オルセー美術館より後の時代、つまり現代美術の収集で中心となる美術館。配管を露出した斬新な建築も名高い。
パリに過大に幻想を抱くあまり、実際にパリに移住して現実を知った際にカルチャーショックを受け、鬱などの気分障害に見舞われる症状を指す。
日本人のパリ観は第二次大戦前のものであり、戦後になるとドラッグカルチャーが浸透し、メイクは濃くなりタトゥーも普通に入れるし、街には落書きが増えている。日本人が髷をしていないのと同様に伝統衣装なんか着ていない。
「憧れのパリに来たものの、失望してしまう日本人女性」というのは、フランス紙リベラシオンやイギリスのBBCも過去に取り上げるほどで、今となっては世界的に有名である。(ただしこれは一昔前のステレオタイプであり、現代でそのような女性が実際どれほどいるのかは不明である)
精神科医やフランス語学者もパリ症候群を研究しており、小説・映画・ネット上でのフランスのイメージが誇大に美化されていることや、日仏での文化や価値観の違いの大きさ、不慣れなフランス語への抵抗感も原因だとしている。(またパリと言っても広く、観光で行くのと実際に住むのとでは事情が全く異なる)
こうした報道に対して、フランス紙に寄せられた地元人の意見は「日本人は精神的に脆弱だ」「日本人ような過保護なお嬢さんには西欧の空気に合わない」「フランス人は日本に行っても日本症候群にはならないはずだ」と痛烈な批判が多かった。
確かに勝手に幻想を抱いて勝手に幻滅されても、フランスからすれば良い迷惑なのかもしれない。
その点東京は最初から汚いという点で優れているのだろう。
そもそも、パリが花の都なんて言われること自体が間違っていると現地人が指摘するくらい、美しかったこと時代はあまりない。
特にフランス文学が発展した19世紀の作家達が描くパリは、「城内は富裕層の街、城外は貧民の街」(ガストン・ルルー著:オペラ座の怪人)、「街の至る所に除雪の山とゴミが掻き集められている」(エクトール・アンリ・マロ著:家なき子)等の表現がある。
但し、この時期の大都市圏は急激な人口集中による諸整備が追い付ついておらず、多くが衛生環境の悪化を招いている。これは、ロンドンや東京も同様であった。
パリではスリが多発しており多くは集団で襲い掛かってくる。東アジア系(日本、韓国、中国など)は狙われやすい。特にアジア系女性はギャングに殴る蹴るなどの暴行される事件が急増している。鞄を背中に背負って旅行する人が多いアメリカ人も狙われるという。
さらにパリの鉄道はニューヨーク並に汚い地下鉄であることや、変質者や浮浪者が多いため、臭いとスリには十分注意したい。特にルーヴル美術館周辺とパリ地下鉄にスリが多い点は留意しておこう。
アニメーション作品
音楽作品
- パリのアメリカ人/ジョージ・ガーシュウィン
- パリのスケッチ/マーティン・エレビー
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