※本稿は、堀江貴文『体力が9割 結局、動いた者が勝つ』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
数十円の冷暖房代をケチるのはアホ
「昨夜は8時間しっかり眠ったはず。でも疲れが取れない」「睡眠の質が悪い気がする。でもどうすれば改善されるのかわからない」
そんな悩みを抱えている人は“睡眠の環境”を疑ってほしい。
意外と見落とされているのが「室温」だ。人間は就寝時に体の深部体温が少し下がると寝つきがよくなるようにできている。だから寝室は暑すぎても寒すぎてもダメだ。体が無意識のうちに緊張して眠りが浅くなってしまう。
睡眠研究の第一人者である柳沢正史教授によれば、睡眠に適切な室温の目安は23〜25度だという。夏場に冷房を効かせた場合、人によっては肌寒く感じる温度だろう。
だから最低1枚はかけ布団をする。睡眠中の体温調整のためにもかけ布団は必須だ。夏だからといって何もかけないのはNGだ。
冷房をタイマーで止めてしまうのもNG。冷房のつけっぱなしが体に悪いというのは都市伝説である。良質な睡眠のためには快適な室温を朝まで保つのがマストだ。
電気代がかさんでしまう? 冷静に損得を考えてみてほしい。夜間に冷房を8時間つけっぱなしにしたとしても電気代は20〜30円程度だ。ぐっすり眠って活力あふれる1日を送るか。熟睡できずにどんよりした1日を過ごすか。たった数十円で明暗が分かれるのである。日中、しんどくなってドリンク飲料を飲めば数百円かかってしまう。
冷房の電気代をケチるのはアホだ。
「明るすぎる寝室」では休息モードに入らない
室温にくわえて無視できないのが「光」の問題である。人間の脳は進化の過程で「暗い=眠る時間」「明るい=活動の時間」とプログラミングされている。
欧米のホテルと日本のホテルのいちばんの違いはなにか。客室の照明の明るさだ。
欧米の客室はムーディーなレストランのように薄暗い。逆に日本の客室は夜でも白昼のごとく明るい。柳沢教授いわく、日本の住宅は明るすぎるのだという。
夜なのに煌々とした照明の下で過ごしていると、脳がまだ活動時間だと錯覚してしまう。光には覚醒作用がある。心身ともに休息モードに切り替わらないわけだ。その状態でいきなり寝室を暗くしたところでスムーズな入眠には移れない。
だからリビングや寝室の電球はすこし暗めのオレンジ色のものを選ぶのがベストだ。あるいは就寝時間が近づいたら、薄暗い間接照明に切り替えたほうがいい。
