2025年5月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお送りします。歴史部門の第2位は――。
▼第1位 なぜ台湾の人々は親日なのか…現地の歴史教科書に必ず載っている「台湾で最も尊敬される日本人」がやったこと
▼第2位 神絵師として美人画で天下をとったのに、なぜこんなことに…NHK大河で染谷将太が演じる歌麿の悲劇的な最期
▼第3位 万博も、都庁もできるはずだった…JR・私鉄・地下鉄が一つもない「東京都心の一等地」が抱える"悲しい来歴"
▼第4位 息子を「種馬」にして26男27女を作らせる…NHK大河で生田斗真が演じる一橋治済が起こした「徳川家乗っ取り計画」
▼第5位 これで「愛子天皇」は実現できる…専門家が提言「男系男子での皇位継承も同時に確保できる歴史に学ぶ妙案」
染谷将太演じる天才絵師・歌麿がようやく大河に登場
大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(NHK)で横浜流星さん演じる“蔦重”こと蔦屋重三郎(江戸時代中・後期の出版業者。1750~1797年)。彼が江戸のメディア王となっていく過程で組み、美人画など優れた浮世絵を描き、流行の発信者となったのが有名な浮世絵師・喜多川歌麿です。「べらぼう」においては染谷将太さんが演じます。
蔦重と歌麿、2人はどのような関係にあったのでしょうか。蔦重は黄表紙や狂歌本などの文芸書を出版してきたのですが、彼の出版領域はそれのみにとどまらず浮世絵の分野にも展開していくのです。蔦重と組んで浮世絵を世に送り出したのは歌麿だけではありません。北尾重政(橋本淳)や北尾政演(山東京伝の画号、演・古川雄大)、東洲斎写楽もそうでした。蔦重と歌麿はどのように関係を築き、作品を世に送り出していったかを見る前に、歌麿の前半生についても見ていきましょう。
歌麿と版元の蔦屋重三郎はどんな関係だったのか
歌麿の生年・出身地については諸説あり確かなことは分かっていません。そうした意味で、写楽のように彼も「謎の絵師」と言えるかもしれません。ただ歌麿は文化3年(1806)に54歳で亡くなったということで、生年を宝暦3年(1753)とする説が有力です。同説を採るとすると歌麿は蔦重の3歳年下ということになります。歌麿の出生地にしても江戸や川越、京都などの各説がありますが、江戸説が有力となっています。
さて喜多川歌麿は本名ではなく、画姓・画号です。歌麿の本姓は北川(喜多川)氏、俗名は市太郎(勇助)といいました(煩雑となるので本稿では歌麿で通します)。歌麿は幼い頃より絵を描くことに興味があったようで、幼少の頃から画家・鳥山石燕(1712〜1788)を師として画技を学んだようです。石燕は狩野派の町絵師であり、「百鬼夜行」など妖怪画を多く描いたことで知られています。「べらぼう」においては、画家でもある片岡鶴太郎さんが演じます。

