広告代理店マンの夫と出版社勤務の妻。ともに正社員で高収入、世帯年収は手取りで約2000万円を超える家庭だが、実は家計が危険水域だ。購入したマイホームは8000万円と高額であるものの、収入を考えれば余裕で返済可能と思いきや、さにあらず。夫婦が絶対譲らないトンでも「聖域の出費項目」とは何か――。
腰の痛みを感じている、腰の曲がったシニア男性
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夫が80歳になるまで毎月20万円を返し続けられるか

今回は年収2000万円超のパワーカップルからのご相談事例です。内容は、「多額の住宅ローンを、繰り上げ返済して早めに完済したいが、思うように貯まらない。夫婦の生きがいである旅行費(月30万円)をキープしたまま、なんとか繰り上げ返済の費用を貯められないだろうか」というものです。

岩波ユウタさん(仮名・58歳・広告代理店勤務)と妻のマキコさん(仮名・45歳・出版社勤務)は、13歳の年齢差があり、世帯年収はボーナス込みの手取りで約2000万円のパワーカップルです。お子さんは、長女10歳、長男8歳、次女6歳の3人。

5年前、ユウタさんが53歳の頃、戸建てを神奈川県に購入しました。8000万円ほどの住宅ローンを利用し、当初の月額返済額は26万5000円でした。現在、月20万円ずつ返済しており、一年に一回は100万円程度繰り上げ返済しているため、残債は金利込みで6000万円程度。

「完済できるのは夫が80歳になるころ。バリバリ働けるほどの体力があるか、未知数です。現実的に、70歳を超えて毎月26万5000円を返すのは厳しいので、年に1回は100万円程度の繰り上げ返済し、今は月24万5000円ほどの返済となり、残債は6000万円強まで減らせました。それでもこのペースで返せるのはあと5~10年でしょうか。私だっていつまでこの収入が続くか分かりませんし。

当初の予定としては、年間700万円くらい繰り上げ返済して、夫が70代に入る前には完済するつもりでした。その後、子供の大学費用や老後資金のために投資を始めよう、と。

でも、どうも家計管理が苦手で、繰り上げ返済はできたとしても年200万円が関の山。年700万円も貯められる見通しが持てません。どうしたらよいのでしょうか」

と、妻のマキコさん。

収支の内訳を拝見すると、手取り月収は123万5000円で、支出は120万5000円。月の収支の差額は+3万円です。確かにこれでは、ボーナスが年450万円あっても年間700万円の繰り上げ返済は無理ですね。ボーナスは臨時支出や固定資産税(年56万円程度)など使わざるを得ない出費はあるはずですから。