トラウマについての本を引き続き読む。本書は、トラウマ概念を知る基本書と言われている。読んでみると... トラウマについての本を引き続き読む。本書は、トラウマ概念を知る基本書と言われている。読んでみると確かに教えられることが多い。著者は使命感にあふれていて熱意も感じられる。とはいえ、本書はあくまでも医学書。中井久夫のエッセイのように、医学の知識に基づいて思索を深め、そのうち医学そのものまで思索の対象としてしまう本とは性質が違う。一読して違和感が残ったのは、そのことに気づいていなかったから。 本書は、トラウマの定義、症状の事例、治療の方法、そして回復の過程と進む。ずっと平易な『トラウマを乗りこえるためのセルフヘルプ・ガイド』(白川美也子監修、山本知子訳、河出書房新社、2006)も、これと同じ構成だった。 本書の目的は明快。トラウマを治療すること。その目的を優先するために、トラウマの定義も回復の定義も暫定的なまま論述は進む。 中井久夫の場合、若い頃から、診断→治療→回復と直線的に進む、医学のイデオ
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