『破戒』は、はじめて読んだ文学作品。中学二年の冬、ちょうど今ごろ。熱を出して一週間近く学校を休ん... 『破戒』は、はじめて読んだ文学作品。中学二年の冬、ちょうど今ごろ。熱を出して一週間近く学校を休んだ。ラジオにもマンガにも飽きてきた頃、何気なくすすめられた本を読みはじめて没頭した。 なぜ心を動かされたのか。思い出してみるために、再び読んでみることにした。読み終えてみると、感動した理由を探る以前に物語の展開や結末が記憶と違っていることに気づいた。また、巻末にある野間宏の解説も、自分の読後感とは何か違っているように感じて、島崎藤村の手軽な評伝と、図書館の新刊棚で偶然見つけた、『破戒』について何冊も本を出している研究者の最新刊を借りてきた。 私がかつて読んだ本は、赤いカバーの新潮文庫版。解説は内容も筆者の名前も覚えていない。藤村の作品は『破戒』以外、読んだことがない。藤村についても、『破戒』についても、知らないことばかりだった。 記憶違いしていたのは主人公、瀬川丑松が父の戒めで秘密にしていた穢多
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