岩崎直子著『男性が受ける性的被害をめぐる諸問題』

※文中の１）、２）、３）などは、文献一覧の番号です。 �T．はじめに 日本ではこれまでにほとんど報告が...概要を表示 ※文中の１）、２）、３）などは、文献一覧の番号です。 �T．はじめに 日本ではこれまでにほとんど報告がありませんでしたが、他の国々では女性だけでなく男性も、日常生活でいろいろな性的被害を受けることがあり、それに伴う後遺症にその後も苦しんでいるとの報告があります1―7)。しかし、 社会からの激しい偏見、たとえば“男性が性的被害に遭うはずがない”“もし遭ったとしても抵抗して防げるはずだ”などの存在や、さらには被害者である男性自身が、“性的被害経験＝男らしさの喪失”と捉えがちなことから、女性 の場合よりもさらに被害事実が表ざたにならずに、結果として被害を受けた人が必要なサポートを求めない傾向が強かったのです2,8,9)。 20年ほど前から調査の行なわれてきたアメリカでは、性的虐待を受けた子どもの１１〜４７％、認知されたレイプ被害者(注１)の５〜１０％が男性で、男性に対する加害者の内 ６．３％

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