富裕層と呼ばれる人たちは、どんなことにお金を使っているのか。『「新」富裕層ビジネスの教科書』(集英社インターナショナル)の著者で、クレディセゾン セゾンAMEX事業部で富裕層向けのビジネスを展開している岸田大輔さんは「かつての富裕層は通い慣れた高級店で食事をすることで満足していたが、新富裕層にはまったく別の特徴がある」という――。(第1回)
レストランのテーブル
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なぜ富裕層は「食」を大切にしているのか

私は2019年から富裕層向けのビジネスを立ち上げ、これまでに1000人以上の富裕層の方に会ってきました。彼らに対してさまざまなサービスを提供してきましたが、そのなかでも最も重要なカテゴリーが「食」です。

富裕層、そのなかでも特に経営者層は、人生における時間を一切無駄にしないという価値観を徹底しています。

一日のうちで複数回訪れる「食」の時間も、その価値観の例外ではありません。単に空腹を満たすため、あるいは美味しいものを楽しむためだけに食事をするわけではないのです。

彼らは昼間に会議室に集まるのが難しいため、朝食、昼食、夕食の時間は、重要なコミュニケーションツールとして機能します。食事の場は、経営者同士が腹を割って会話をし、情報交換を行い、ひいては新たなビジネスへと繋がっていくための極めて重要な機会なのです。

食は、単なる栄養補給や娯楽ではなく、彼らにとっては仕事の一部と呼ぶべきものなのです。一食一食に意味を持たせ、効率的かつ効果的に人間関係とビジネスを構築していく。これこそが、富裕層が「食」にこだわる理由であり、だからこそ私は富裕層ビジネスにおいて「食」をもっとも重要視しているのです。