インターネットは絆になるか?
今日、犯罪の変遷において語るべき最大の特徴は、「ドラマとしての犯罪」から「病理としての犯罪」へと性質が変化したことである。犯罪は物語性を失い、物語を読み解く「犯罪評論家」の出番はなくなった。代わって、個人の病理を診断する精神病理学者が解説役を務めている。
変化のきっかけは、1980年代から顕在化した「家族の崩壊」である。伝統的な犯罪は、家族などの濃密な関係性ゆえに引き起こされたものが大半だった。しかし80年代以降は、家族のしばりがなく、関係性において未成熟な人が罪を犯すようになっている。したがって人間関係から物語性を見出すよりも、ある条件下の個人が病理として犯罪に至ったのだ、と論じるほうが理解されやすくなったのである。
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