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くるりん!ダンゴム カブトムとのたたかい - アニヲタWiki(仮)【6/26更新】 - atwiki(アットウィキ)
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くるりん!ダンゴム カブトムとのたたかい

登録日:2025/06/26 Thu 11:49:10
更新日:2025/06/26 Thu 20:59:21NEW!
所要時間:約 7 分で読めます





くるりん!ダンゴム カブトムとのたたかい』は、絵本作家・とよさきかんじによる日本の創作絵本。2014年に岩崎書店より刊行された。
土壌生物たちが土をつくって暮らす「土の村」を舞台に、ダンゴムシの少年・ダンゴムが仲間たちと協力しながら困難に立ち向かい、成長していく姿を描いた児童向け昆虫冒険絵本である。

+ 目次


概要

登場キャラクターは、ミミズ、ワラジムシ、ヤスデ、クマムシ、ササラダニなど、地味ながら重要な役割を担う土壌の分解者たち。
彼らは『がんばれ!!ロボコン』のようなメカ風デザインで描かれており、虫やメカ好きな子どもたちにとって魅力的なビジュアルとなっている。
作者がガンダム好きであることも公言しており、主人公「ダンゴム」の名や世界観にもその影響が見て取れる。

また、絵本にはとんとん相撲で遊べる仕掛けや、巻末には「くるりん玉」の工作型紙など、読者が実際に手を動かして楽しめる工夫が満載。
コマ割りとふきだしを用いた構成は、一般的な絵本というよりもフルカラーのまんが絵本に近く、明るくテンポのよい物語展開が特徴である。


あらすじ

主人公のダンゴムは、村で大切な「つちづくり」の仕事をサボりがちで、華やかで強い存在として活躍する昆虫チャンピオン・カブトムに憧れていた。
しかしある日、カブトムが巨大な飛行機に乗って村に現れ、「今日からこの村の土は全部オレさまのものにする!」と宣言。反発する村人たちをツノの竜巻で吹き飛ばしてしまう。

ダンゴムも遠くの山へ飛ばされ、そこで「地上最強の生物」と呼ばれるクマムシの達人・クマムー師匠と出会い、厳しい修行を受けて くるりん玉 を授かる。修行を経たダンゴムは、ミミズン、ワラジム、ヤスデンら仲間とともに村へ帰還。かつて憧れていたカブトムと対峙する。

物語の終盤では、カブトムの暴虐にも理由があることが明かされ、「ごめんなさい!おにいちゃんをゆるしてあげて!」という言葉とともに、ダンゴムは「あなたの力の使いどころはそこではない」と語りかけ、対立ではなく共生を選ぶ。

「ともに暮らしを築こう」と手を差し伸べるその姿は、まるで平和の道を知る大人のようであり、自分らしくあることを誇る勇気を子どもたちに伝える。
この展開を通じて、森や林の土ができるまでの過程や、自然の循環・分解者の役割を楽しく学べる構成となっている。


登場キャラクター一覧

  • ダンゴム:主人公のダンゴムシの少年。つちづくりの仕事には消極的だが、正義感は強く仲間思い。カブトムに憧れ、修行を通じて「くるりん玉」を授かる。
  • カブトム:昆虫チャンピオンを名乗るカブトムシ。力自慢で土の村を支配しようとするが、実は孤独を抱える。
  • クマムー師匠:山奥に住む伝説のクマムシの達人。ダンゴムに修行を授け、「くるりん玉」を与える。
  • ミミズン:ミミズの仲間でダンゴムの親友。冷静で知識豊富な参謀役。
  • ワラジム:力持ちで陽気なワラジムシの仲間。胸の色がオレンジでマークがダンゴムと違う。
  • ヤスデン:メカに強い発明家タイプのヤスデ。発明でダンゴムをサポートする。
  • ササラダニン:物語の鍵を握る情報通のササラダニ。


制作背景

本作の制作には、作者・とよさきかんじの長年にわたる昆虫愛と創作活動が色濃く反映されている。
とよさきは1975年、埼玉県春日部市に生まれる。4歳のときに出会ったアオオサムシをきっかけに昆虫に魅了され、小学校高学年まで甲虫を中心に熱中。小学4年の自由研究では、近所の雑木林で採集した虫を100種以上スケッチして提出するなど、観察と記録に力を注いだ。多摩動物公園が発行していた昆虫雑誌『インセクタリゥム』を定期購読していたが、内容は難解で写真を眺めるのが主だったという。

しかし中学受験や思春期を迎えると、虫趣味は“モテない要素”として封印され、ヤンキー文化の影響もあり一時的に昆虫から離れる。高校ではラグビー部に所属し、骨折を繰り返しながらも3年間活動。高校3年の夏、美術の道を志し美大受験を決意。浪人を経て多摩美術大学油画専攻に進学し、現代美術やパフォーマンス作品に傾倒する。
卒業後は広告会社やゲーム会社を経てフリーランスのデザイナーに。社会人になってから再び昆虫熱が再燃し、ダイエーで購入したナミゲンゴロウをきっかけにブリードに没頭。120cm水槽2本を使って繁殖を試み、幼虫の成長をExcelで管理するなど本格的な飼育を行った。

本作のキャラクターが初めて発表されたのは2007年。
マダガスカル産の巨大ダンゴムシ「メガボール」*1の飼育にも挑戦。虫熱が再燃する中で、ダンゴムシをモチーフにしたキャラクター「ダンゴム」を考案し、デザインフェスタでグッズ販売を開始。これが新潟県十日町市の里山科学館「キョロロ」の目に留まり、土壌生物展のナビキャラクターに採用される。
生物系イベントのポスターに描かれたダンゴムたちが編集者の目にとまり、2011年に絵本企画が始動。
しかし実際に出版のGOサインが出たのは2014年1月と長い年月を要した。
作者のとよさき氏は、本業の傍ら土日だけで半年間、わずか3日しか休まず制作を続けたという。

2012年には、昆虫イベント「昆虫大学」に参加。虫好きを公言する人々の多さにカルチャーショックを受け、封印していた虫への情熱が再び灯る。
2014年には岩崎書店より『くるりん!ダンゴム』を出版。同年、昆虫大学の夜学トークイベントに登壇し、虫業界への“遅れてきたルーキー”としてデビューを果たす。
以降も「虫cafe!」や「博物ふぇすてぃばる」「いきもにあ」などのイベントに出展し、観察会やトークイベントにも多数登壇。虫をテーマにしたグッズ制作や書籍執筆、観察会の開催などを通じて、虫と人との距離を縮める活動を続けている。
2015年から「#虫と和解せよ」をテーマに虫グッズの制作・販売を「日本野虫の会」の屋号で行う。
とよさきかんじ名義で行っている虫に関する本の執筆や、観察会の開催、虫のトークイベントでは虫ヤンキーキャラで登壇している。


関連展開

本作の世界観とキャラクターは、子ども向けのエンターテインメント絵本でありながら、土壌生態系や微生物の働きといった科学的なテーマを親しみやすく伝える教材としても活用されている。
2015年には日本農業新聞にて、全3回の連載企画「ダンゴムが教える土と菌の土づくり」が掲載された。
  • 第1回(2015年2月7日付)では、絵本のビジュアルが新聞1面に大きく掲載され、土壌生物の多様性について紹介。落ち葉を分解する生物や、それを捕食する生物など、土の中の食物連鎖が解説された。特にミミズの糞が体液と混ざって団子状になることで、土に隙間を作り、水や空気の通り道を確保するという働きが注目された。
  • 第2回(2015年2月21日付)では、クマムシのクマムー先生が登場し、土壌の3つの役割(植物の根を支える、栄養と水を供給する、微生物のすみかとなる)を解説。さらに、わずか1cmの土壌ができるまでに100年以上かかるという土の形成過程の時間スケールが紹介された。
  • 第3回(2015年3月7日付)は最終回として、これまでの内容をまとめる形で構成され、ダンゴムたちが実際の参考書籍を手に持つイラストも掲載された。


初期

2007年にはWEB展開していたが、その際は「人気のムシを、やっつけろ。」という過激なキャッチフレーズで
カブトムはカナブンたちを率いる侵略者・ムシクロス帝国の尖兵という設定であった。
ダンゴム側もホタル達に光るよう強要してカナブンを誘き寄せたりダーティーな場面もあったり、
ムシクロス帝国に併合された国と言う設定でさそりやハエトリグモなどダンゴムシと比較して「人気のムシ」というには微妙な敵もいたりした。
また、絵本に続投したキャラのデザインにも以下のような違いがあった。
  • ダンゴム:額に黄色いV字のツノがあった
  • ワラジム: 目がAmong Us のような宇宙服のゴーグル状
  • カブトム:横長のスリットの中に一つ目が光る
…元ネタが出過ぎである。
絵本出版まで時間がかかったのもうなずけるというか、逆にこれをオリジナル絵本として出版しようとした判断も凄い。
当時のイベント等でマンガ冊子も発行されたが、封印されているという。



追記修正には、自然や土壌生態系への敬意と、仲間と協力する心、そして自分らしさを誇る力を込めてお願いします。

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最終更新:2025年06月26日 20:59

*1 の名で輸入されたりするが、標準和名は大顎亜門ヤスデ網に属すヤスデの仲間「タマヤスデ」で、ダンゴムシのように丸まることができて見た目そっくり