エレシュキガル
えれしゅきがる
地下にあると考えられていた冥界の女王、主にクタ市(クトゥ、ヘブライ語ではクター)で信仰されていた。クタは、ネルガル等、他の冥界神達の信仰の中心地でもあった。(旧約聖書『列王記 下』17章30節でもクタにおけるネルガル崇拝に関して語られる部分がある。)
彼女はこのクタにおいて、冥府神たちの中でも強い信仰を集めた。
その名は「大いなる地(冥界の婉曲表現)の女王」を意味し、アッカド語では「アルラトゥ」と呼ばれた。
クタに設けられたエレシュキガルの神殿は「大いなる町(冥界)の家」と呼ばれた。人々は疫病に見舞われないようエレシュキガルに祈りを捧げていたという。
ただしシュメール・アッカドにおける祭儀や神事の執り行いとは、他の宗教に見られるような神々との合一や愛を得るためではなく、あくまで神への奉仕、神の暮らしを良くするためのものだった。古代メソポタミアの創世神話にあるように、人間たちは所詮、神々の労働を肩代わりする存在でしかなかったからである。
エレシュキガルが支配する冥界は、シュメール語で「KUR NU GI A(クル ヌ ギ ア)」(アッカド語では「irusitu la tari」)と呼ばれる。
語義は「戻ることのない土地」または「不帰の国」「還らずの地」。
彼女はそこにあるガンジルと呼ばれる領域にある、ネティ神が門番として守る7重の門を抜けた先にある、ラピスラズリで飾られた神殿に住む。
60の病気で人を殺す疫病神である首相ナムタル、書記のベーレット・セリ、「死者を裁く7人の裁判官」を従え冥界に君臨する立場にあるが、外界へ出ることは許されておらず、外部との交渉が望まれた際にはナムタルを伝令として出向かせていた。
そんな冥界での暮らしはと言えば、『ギルガメシュ叙事詩』や後述の『イシュタル / イナンナの冥界下り』における描写からして、食物は粘土で埃が御馳走、住む者たちは翼のようなものが付いた着物を着て、暗く乾燥した世界で光を見ることもないという酷い世界だったようである。
シュメール神話においても冥界は水の下(淡水であるアプスー神の水の下、または「大地の甘い水の下」)にあり、乾燥した塵ばかりの場所だと説明されている。
エレシュキガルはそこを支配する「死の女主人」とされているが、アヌの娘であるにもかかわらず自国である冥界に神々を迎えなかったことから、他の神々から疎外されてしまっている。
空神であるアヌ、もしくは大気神のエンリルを父に持つとされ、イナンナ(アッカド語名:イシュタル)の姉に当たり、ライバルでもある。
姉妹はそれぞれ、死と生という対極の属性を司ることから対立関係にあり、仲は良くない。
配偶神は後代においてネルガルとされるようになるが、それまでは「天の牛」もしくは「アヌの凶暴な牛」を意味する「グガルアンナ」を配偶者としていた。
ネルガルとの馴れ初めは次の通りである。
エレシュキガルの送った使者ナムタルがネルガルに無礼な真似をされた為、ネルガルは冥界に詫びを入れに行く羽目になった。そこでエア神に冥界での作法を教わったのだが、ネルガルはエレシュキガルの色気に負けてハッスルしてしまう。しかし、ネルガルは7日目にはエレシュキガルの元を去ってしまった。
これには冥界暮らしで碌に恋愛など出来なかったであろうエレシュキガルもメロメロで、再びネルガルの身柄を引き渡すよう天上の神々に脅h…要求してきた。
ネルガルは冥界に戻るなり、彼女を暴行した。これには流石のエレシュキガルも目を覚ましたか…と思いきや、むしろ「奥さんにしてください!」と頼み込む始末である。こうして彼女らはめでたく(?)夫婦となった。
とこのように現代でいうDV夫に尽くすヤンデレ妻という奇妙な属性を持っている女神なのである。
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