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ヴィジュアル系 (ゔぃじゅあるけい)とは【ピクシブ百科事典】
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概要

日本のロックバンド及びミュージシャンの様式の一つである。ビジュアル系またはV系とも呼ばれる。

1980年代から活動を始めたXBUCK-TICKZI:KILLなどを祖とし、主にメディアによってカテゴライズされていったもので、それらの影響を強く受けた後の世代のバンドをも指す。

定義としては少々あいまいな部分があるが、主に「演奏を行うメンバーが、メイクやファッションなどの視覚的(ヴィジュアル)表現で、バンドのコンセプトや楽曲の世界を示す」というような意味で使われている。「フォーク」や「メタル」のような音楽性を指す言葉ではなく、ステージパフォーマンスの方向性を指す言葉だと言える。

ヴィジュアル系という言葉が定義される前は、派手なメイクでパフォーマンスを行うことから「お化粧バンド」略して「オケバン」などとも言われていた。

「ヴィジュアル系」の語源はXhideが同バンドに掲げたキャッチコピー「PSYCEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」が由来と言われている。

80〜90年代のバンドブームと重なり大規模なブームを起こし、97年には新語・流行語大賞にノミネートされるなど注目を集め、その概念が一般層にも広く知られるようになった。

その後メジャーシーンではブームが沈静化したため、世間的には90年代後半が全盛期のイメージがあるものの、00年代中期に「ネオ・ヴィジュアル系」などと呼ばれる若手バンドが登場。更に00年代後期から10年代には90年代に解散した大御所バンドの復活も相次ぎ、さらに動画投稿サイトや音楽ストリーミングサービスの流行でネットを使った表現も精力的に行われるようになったことで、20年代の今なお非常に多くのヴィジュアル系バンドや、ヴィジュアル系出身アーティストが活動している。

そもそも程度に差はあれど、個性的な衣装やメイクをしてステージに上がるロックバンドは決して珍しくなく、上述の「オケバン」や「ヴィジュアル系」というカテゴライズに「見た目重視で音楽的にはいまいち」という差別的な意味を感じ、そう呼ばれることを好まないバンドもいる。90年代後半には、とある有名バンドのメンバーが音楽番組で「ヴィジュアル系」と呼ばれたことに怒り演奏を途中で切り上げて退場したという事件も起こっている。

ヴィジュアル系シーンが確立した現在では、メンバー自身がヴィジュアル系のファン(バンギャル、ギャ男)で先達のバンドに敬意を示し「ヴィジュアル系」を自称することも多くなっているもの、活動の中でそのポジションを再考しヴィジュアル系から離れるバンドもある。

バンドの活動拠点は都市圏に集中しており、東京を中心に札幌・ 仙台・名古屋・大阪および京都・福岡に固まっている。一方基本的にライブ重視の文化のため、インディーズや若手でも全国ツアー公演を行うようなフットワークの軽いバンドが多い。

海外では、ロックシーンが活発な欧米を中心に一定の知名度と人気を獲得しており、日本より海外の方が人気のあるバンドも珍しくない。

音楽性

「ヴィジュアル系とは音楽ジャンルの一つか」という議論は長らく続いているが、音楽性が非常に多岐にわたるため、明確に音楽ジャンルとして定義することが難しい状況にある。

黎明期はハードロックヘヴィメタルプログレッシブ・ロックなどに属するバンドが多かったことから、現在でもそのような音楽性を持つバンドが主流である。視覚的表現を重視しているという意味でパンク(ポジティブパンク)、グラムロック、ニューロマンティックなどのアートロックやニューウェイブの要素、インダストリアルなど実験音楽的な向きが強いバンドも一定数いる。このほかにも、シンフォニックメタルネオクラシカルメタルといった分類をされるバンドは多い。

時代が下るにつれ、ポップやテクノに寄ったバンドが増加し、ラップレゲエなどヒップホップを取り入れたミクスチャーバンド、果てはエアバンドもいる

作詞作曲をメンバー自身が手掛けるバンドが大半であり、専門の外部作家を起用しているケースは少ない。時代が下るにつれ、専門学校や大学で正統な音楽理論を身に着けたメンバーが作曲を行うケースも増えており、商業音楽的な向きも強くなっている。

編成は一般的なロックバンドと同じく4〜5人のバンド形式が基本で、大所帯バンドは少なく、正式メンバーは6〜7人いれば多い方である。

楽器は通常のロックバンドと同じものを使うことがほとんどだが、キーボード担当がいる例は滅多にない(メジャーシーンではSOPHIAJanneDaArc摩天楼オペラくらい)。シンセサイザーなどを利用した楽曲も増えているものの、作曲・編曲担当が打ち込みで対応することがほとんどで専任のメンバーを置くことは少ない。

楽曲によってはピアノ、バイオリンなどをボーカルやギターが兼任する形で演奏するようなこともあり、珍しい例だと箏(Kagrra,)など和楽器が使われたこともある。過去には専任のツインボーカル(クリーンボイスとデスボイス担当に分かれているケースなど)やトリプルギター編成のバンドもあった。

歌詞はそれぞれのバンドの世界観を示す重要な要素であるが、ストレートに分かりやすく一つのテーマを歌い上げるというよりは、物語風の、内面的な表現を好むバンド、特にゴシックロックの影響もあって耽美で退廃的な世界観の歌詞を持ったバンドは数多く、「死」「狂気」「闇」といったモチーフがたびたび取り上げられることから、その手のワードが「V系あるある」としてファンの間でも認識されている(参考)。

難解な言葉遣い、特に(極端な)当て字や旧字体の多用なども「あるある」の一つである。また、呼びかけやセリフなどミュージカル風の構成もたびたび見られる。

スタイリング、ステージングなど

初期はバンドメンバー側、ファンともヤンキー文化が色濃く、特攻服を着たファンがぞろぞろなどという光景もあった。

80年代から90年代初めにかけてはメタラー・パンクロッカーなスタイルの流れを汲む衣装が多かった。また、「黒服」と呼ばれるゴシックファッション、いわゆる「名古屋系」に多かった血のりや包帯、喪服などダークな装いもあった。

その後ゴシックパンク系の革(エナメル系)の衣装に身を包み、逆立てた派手な色の髪、黒や紫などの色を用いた濃い化粧といった装いが典型的なV系バンドの衣装としてある程度定着し「コテ系」と呼ばれるようになった。また、MALICE MIZERなどヨーロッパの貴族のような耽美系も一定数支持されていた。

00年代になると「密室系」「地下室系」などのアングラな白塗り系や、和装を取り入れたもの、原宿系KERAなどの青文字系ファッション誌)のかわいらしさを強調したオサレ系、上記のコテ系とオサレ系を折衷したようなコテオサ系などが出始め、10年代にはカラフルでアイドルに化粧をプラスしたようなキラキラ系、コスプレ系などネタに寄ったバンドも多くなった。

音源ごとにバンドとしてのテーマを変える、もしくは定期的にコンセプトを改める(メンバーのキャラクター的な配分も変える)バンドもあり、こうしたバンドだと時期によって衣装やメイクの傾向も大きく異なっている。

一時期はスーツ姿のシンプルな路線も流行ったが、2020年代前後からまた濃いめのヴィジュアル中心に回帰しており、薄めのメイクや派手すぎない衣装などの「ソフトヴィジュアル系(ソフビ)」と呼ばれる系統がほぼ絶滅に近くなっている。

ファン、メンバー側とも非常に「ライブ重視」の意識が強いジャンルのため、人気はほぼライブ動員でわかりやすく計れる。

そのためステージングもかなり重用視される傾向があり、ヴォーカル、弦楽器担当者が定位置にずっと突っ立ったままということは滅多に無く、ワイヤレス機材の使用率も高い。

ヴォーカルは振り付けを先導したり、煽ったりと結構忙しいことも多く、ステージ上では「お立ち台」の使用率も高い。

中には寸劇を組み込むバンドや、曲の決まった部分でメンバーが踊ったり、コントめいたパフォーマンスを行うネタ系のバンドもある。

奇抜な衣装、特殊なステージパフォーマンスなどの類似点があることから、筋肉少女帯などナゴムレコード系バンドもその源流に含まれることもある。

男性のみで構成されているバンドが大半で、女形と呼ばれる女装するメンバーを置くバンドも多い。あくまでステージ衣装として女物を着ているというスタンスであり、本人が日常的に女装しているわけではないのがほとんどである。

V系の女性演者

女性のみで構成されるバンドはもちろん男女混成バンドはかなり少ない。これは、特に「V系」というジャンルに位置していなくても派手なメイクと特殊な衣装でステージに上がる女性ミュージシャンは多いため、ファンやレーベルから「V系」と認識されていない(もしくは本人たちが意識していない)ことも考えられるが、そもそも「V系は男性がやってなんぼ」という偏見がファンの間で根強かった事もあり、女性によるV系が透明化されていたともいえる。

紅一点バンドも何組かジャンル初期から登場はしていたが、2000年台まではこうした事情から困難も大きく長続きする者は少なかった。2010年台頃から後述のように同性人気を得たりキャリアが長くなった女性演者も徐々に増えつつある。

2025年時点の現役では、紅一点バンドの犬神サーカス団陰陽座などが息の長い活動をしており、女性メンバーのみのバンドではexist†traceが20年以上にわたって活動をしている。

紅一点でボーカルやギター、キーボードなどのメロディー楽器隊として参加することが多いものの、女性メンバーがベースを担当するニーチェや、メンバーの過半数が女性というMagistinaSagaなど、女性メンバーがリズム隊を務めるバンドも少しずつ出てきている。変わったところだと「ツインボーカルでそれぞれベースとドラムを兼任する」というのろゐみこなどもいる。

元ピュエラで現在はソロのyura、THESOUND BEE HDのYOUなど、女性演者の黎明期から活躍するミュージシャンも少数いる。

V系のマネージメント

業界的には小規模事務所、特に(元)バンドマンが会社を立ち上げたり、バンドマン自身がプレイングマネージャーとして自バンドや後輩バンドのマネージメントを行ったりするケースが多い。

セルフプロデュース指向も強いジャンルであり(メジャーでの活動にあたって非V系の音楽プロデューサーが付くことはあるものの)、他ジャンルを抱える総合大手芸能事務所が直接手掛けるケースは少数派である。

このため、良くも悪くも運営方針自体にバンドマンの個性が反映されており、自由な活動の一方で外部から専門のマネジメントが行われないことでトラブルも起こりやすいといえる。

ファンの傾向

V系バンドの女性ファンは「バンギャル/バンギャ」と呼ばれる。男性ファンは「ギャ男」と呼ばれる。

「ギャル」の言葉の通り、ファンは従来は10代から20代前半、さらに女性が大半を占めていた。しかしヴィジュアル系の歴史の長期化もあってバンドメンバーもバンギャルたちも高齢化も進んでおり、バンドによっては30代以上が主なファン層になってきている。

一方、若い世代でも家族や友人からの影響に加えて、ネットから情報を得て新規にファンになるケースも増えており、ベテランながら一周回って新規の若手ファンが流入するバンドも少なくない。

ライブに参戦する際はバンドの雰囲気に沿った服装、特にパンクゴシックロリィタ(またゴシックロリィタ)などの原宿系ファッションや、コスプレをする者が多いが、バンドTも目立ち、一般的なロックバンドのライブと変わらないカジュアル寄りのファッション、ギャル系ファッションも見られる。

ファンの音楽的な好みも多岐にわたり、ハードロックファンやメタラー(メタルヘッズ)を中心に、コアでないロックファン、アニメソングやアイドルなどが好きなオタク系、さらに特に音楽性に強いこだわりがなく、広く「V系」という括りで複数バンドを追いかけているよろずファンもいる。

インターネットの発達で動画サイトやサブスクの普及も手伝い海外でもファンが多く、ライブを見に日本に遠征してくる者も多い。

近場の韓国台湾といったアジア圏からが数としては多いが、遠方の中南米東欧北欧から来訪するファンもいる。

ロシアも熱狂的なファンが多く、コロナ禍前は日本からツアーに回るバンドも複数あった。ウクライナ侵攻で日露の関係が悪化後も櫻井敦司れいたの急逝の際には現地のロシア人バンギャ達が日本大使館に直談判して献花台を設けてもらったという逸話がある。

ヨーロッパではダーク系のヴィジュアルやヘヴィなサウンドのバンド、作り込んだ濃いヴィジュアルがウケる傾向が強く、日本国内と人気の傾向がやや異なっている。

V系の高齢化問題

先に述べたように、ヴィジュアル系の歴史自体が長くなった分バンド側もファン側も高齢化が進み、近年では40〜50代のバンドマンも当たり前になっている。2025年現在では黎明期・創成期ともなると還暦に達する年代の者が多い。

これは重大な病気を発症する人が増える年齢層でもあり、病気により活動を休止・引退する、もしくは亡くなってしまうバンドマンも悲しいことに増えつつある。

2022年4月にはLa'cryma ChristiのギターのKOJIが2年の闘病の末、X JAPANのベーシストHEATHも半年の闘病の末2023年11月にそれぞれガンで逝去している。2023年8月にはアラフォーの頃「オジアル系」を自称していたLaputaのakiが急逝、同年10月にはBUCK-TICKのボーカル櫻井敦司脳幹出血で急逝と、訃報が相次いでいる。

(死因は公表されていないながらも)2024年にはTHeGazetteれいたLIPHLICHの久我新悟などの急逝もあり、バンギャルや同業者を悲しませ続けている。

若手のバンドマンも随時参入してはいるが、同じようにインディーズで音楽活動をするにしてもメン地下歌い手など表現活動の選択肢が広くなったことや、少子化もあり、パフォーマーの人口そのものがジャンルを問わず減っており、20代以下の人員補充がなかなか追いつかないことも界隈の高齢化に拍車をかけている。

2024年にはV系バンドと機材タイアップを多く手がけたギターメーカーのフェルナンデスが破産しており、この他にも数々のレコード店や楽器店、ライブハウスが閉店するなど、いわゆるバンドキッズの減少が深刻化している。

未成年(当時)でデビューしたKOHTAや、大学のサークル仲間で結成されたPENICILLINのように10代~20代前半で結成デビューするバンドマンも多かったが、2020年以降はコロナ禍も重なって10代バンドマンのメンバー集めが困難となっている。トリカブトのギタリストであった八坂詩音も「同世代のバンドマンがいない」と悩み、実姉が見かねて音楽ポータルサイトに若いプレイヤーの窮状を訴えるメールを送っていたことを明かしている。(参照

さらに元々重い衣装や機材を背負ってヘッドバンギングするなど激しく動き回るステージングの上に、夕方から開催のライブが大半なため自然と昼夜逆転生活になること、テクニカルな楽曲のバンドだと作詞作曲やレコーディング、練習などもハードになること、学校に通いながら、あるいはアルバイトなどで働きながら活動しているバンドマンも少なくないことから、身体的にも精神的にも負担が大きくなりやすい。さらに、かつては音楽業界全体に「大量喫煙と付き合いのための深酒(※90年代まではバンドとファンの距離も今以上に近く、ファンを交えた打ち上げも定番だった)」の風潮があり、その時代に活躍していたバンドマンは特にハイリスクな生活によるダメージが蓄積しているといえる。

先に述べたように中年バンドマンの多くに体調面の問題が顕在化しており、生命に関わる病気になり休養することも相次いでいる。

ここ10年ほどでも、XJAPANPATAが2016年に大腸憩室炎および門脈血栓症という生死を彷徨う病にかかり活動休止、2017年には元Janne_Da_ArcAcidBlackCherryyasuが頚椎損傷による長期休養、2019年にはLUNASEARYUICHIが肺せん癌にかかり、2020年に元Raphael有紀が咽頭癌に罹患して一時休養するなど「加齢や酷使に伴う身体の病」と向き合うバンドマンも増えている。LaputaのTomoiも2023年12月に脳梗塞を発症(上述のakiが他界したばかりだった)、2024年5月にはAngeloTAKEOが動脈乖離により入院、2025年9月にはLUNASEAの真矢が、2020年に大腸癌に罹患して治療中であり、2025年には脳腫瘍が発覚したことを公表するなど、重病を抱える中年バンドマンは増え続けている。

その他にも、顎関節症腰痛ヘルニアも含む)、難聴、声帯異常、ジストニアなどに代表される職業病に悩まされるバンドマンは少なくなく、程度の差こそあれ、ほとんどの者は活動歴が長くなるとどこかしら身体に支障を抱えている。公表されることは少ないものの、精神面での不調に苦しむバンドマンもいる。

「30を過ぎると楽屋の話題が健康談義ばかり」とMC等でネタにしたり、中年太り解消のダイエット企画をYouTubeで投稿したりといった、本人たちもファンも笑いにできる範疇ならまだしも、どのようなジャンルでも歴史が長くなるとメンバー全体の高齢化、加齢や体の酷使の蓄積に伴い多発する病、それに伴う引退や長期休養、突然の訃報も発生しうるのは避けられない問題である。

このため「バンドマンは人間ドックを積極的に受診してくれ」と叫ぶ同業者やファンの声も多く、バンドマンも彼らが所属する事務所も、不摂生になりがちな職業であるからこそ体調には人一倍気を遣うべきである。

本人の体調に加えて、年齢を重ねればそれだけ家族の介護や看病、子育て、家業の継承など、家庭の事情も大きく影響してくることになる。

具体例として、Jin-machineは家庭の事情を理由にメンバーの脱退が相次いでいる。

若い時からの持病の悪化で活動にブレーキがかかる事例も多くなっている。例えば、己龍無期限活動休止は、メンバーの黒崎眞弥網膜色素変性症の進行(※加えて活動休止の前年には「混合性不安抑うつ障害」と診断され一時期休養している)が影響していると見られている。

バンドマンの健康問題が2020年前後から顕在化してきたこともあり、古のロッカーのような不健康自慢の風潮から一転、コロナ禍も手伝って健康に気を使うバンドマンが増加しつつある。

医療スタッフやフィジカルトレーナーをライブに帯同したり、メンバー全員で禁煙・禁酒に取り組んだり、YouTubeの企画で人間ドック受診をしてみせたバンドもある。

健康意識の高まりと関連して、DAISHIYURAサマのようにトレーナーやスポーツ系のインストラクターに転身する者、ヒィロのようにエステティシャンなど美容系の民間資格を取得する者も出てきている。

身体のこととは別に、他バンドやミュージシャン、タレントなどと企画ライブやYouTubeでのコラボといった形で協力して、様々な意味での「生き残り」を図る努力をするバンドも増えている。

これに関連して、ファンの間では嫌がられる傾向にあった、複数バンドの掛け持ちも珍しくなくなっている。例えば、かつてはバンドの解散・活動休止中に際して新しくバンドを組んだ場合、元のバンドの復活後は新しいバンドを脱退・休止したり、サポート扱いになったりすることが多かったが、両バンドで正規メンバーとして並行して活動するケースも少しずつ増えており、ファン側も一定の理解を示すようになっている。

自身の高齢化を自虐ではなく前向きに捉えて発信するバンドマンもおり、解散や休止して長らく経った40代以上のバンドの(一時的な)復活も相次いでいる、

中には40代で復活したSadie(8年休止)や50代で復活したSOPHIA(10年休止)のように、一部メンバーが休止期間中音楽から離れていた状況であっても本格復活したバンドもある。

90年代末に知名度を上げていたバンド「S」のギタリストだったYUNAはバンドマンの高齢化について「渋みが出る、演奏がうまい」「経験がものをいう」と利点を上げ「悪い事1つもなーい あとは覚悟だけだ」(参照)と同業者達にエールを送っている。

アニメとの親和性

90年代はヴィジュアル系に限らずやたら楽曲にアニメタイアップを付けられたバンドが多く、バンドは知らなくても曲は知ってるという人も少なくない。アニメからバンドのファンになったという人もおり、海外でも日本のサブカルという大きなムーブメントをとらえるうえで「V系とアニソン」という括り方をしているファンがいる。

有名な例がSIAM SHADEの1/3の純情な感情(「るろうに剣心」EDテーマ)や、PENICILLINの「ロマンス」(「すごいよ!!マサルさん」OPテーマ)だろう。

その他Dir en greyの「-I'll-」(浦安鉄筋家族)、La'cryma Christiの「未来航路」(Night Walker -真夜中の探偵-)、Pierrotの「ハルカ…」(神風怪盗ジャンヌ)、Λuciferの「堕天使BLUE」(KAIKANフレーズ)などがある。

2000年代に入ってアニメとの関わりは一度鎮静化するも、2000年代後半から再びヴィジュアル系+アニメタイアップの図式は復活しつつある。

代表例はナイトメアの「the WORLD」(DEATHNOTE)、シドの「嘘」(鋼の錬金術師)、2020年代に入ってからは真天地開闢集団ジグザグの「P0WER-悪霊退散」(地獄先生ぬ〜べ〜令和版)など。

また、バンドマン側もオタクが多く、バンドに一人はガンダムシリーズや新世紀エヴァンゲリオンのファンのメンバーがいるというのは決して珍しくない。YouTube等動画配信の企画としてアニソンカバー企画をするバンドもいる。腐男子を公言するkayaのようにディープなオタク趣味を持つ者もいる。

有村竜太朗招鬼のように、イラストが達者でジャケットやグッズイラストを手がけるバンドマンは数名おり、漫画家のアシスタント・デザイナーとしての経験を持つKなどの例もある。桜井青のように、漫画好きが高じて自身で同人誌を執筆したり、毒殺テロリストのように地方の同人誌即売会にサークル参加したりするケースすらある。ゲームラボに連載を持っていたMana様をはじめゲーマーも多く、YouTubeでゲーム実況を投稿している(元)バンドマンもいる。

タイアップソングだけでなくサウンドトラックの楽曲提供や編曲をV系ミュージシャンが行うケースもあり、摩天楼オペラ彩雨が「サガエメラルドビヨンド」のサントラに参加、defspiralのRYOは仮面ライダーのキャラソン作曲を手がけている。

俳優として東映特撮作品に出演した松岡充などのケースもあり、ジャンルレスに活動する中でアニメやゲーム、特撮などオタク・サブカルに関わりを持つバンドマンは増えている。

90年代ヴィジュアル系ブーム時にはLa'cryma Christi、MALICE MIZER、FANATIC◇CRISIS、SHAZNAが四天王と呼ばれており、いずれも1997年メジャーデビュー組という共通点を持つ。

4バンドとも長らく解散もしくは無期限活動停止となっていたが、La'cryma Christiは2025年に再結成、MALICE MIZERはMana様とKöziの2人で定期的にライブを開催、FANATIC◇CRISISはオリジナルメンバーが集まって新バンド「FANTASTIC◇CIRCUS」を結成、SHAZNAは2017年に再始動という形で、それぞれ新しい形での活動を模索している。

また比較的若い世代として「新ヴィジュアル系四天王」という定義もあり、己龍、BugLug、R指定、vistlipが該当バンドとされている。こちらは、己龍が2023年末から無期限活動休止、R指定が2019年に活動凍結→2025年に再開という状況である。

日本国外のヴィジュアル系

2000年前後から日本のヴィジュアル系にも在日外国人の子弟であったりハーフクォーターのメンバーのいるバンドは散見された(在日台湾人の彩冷える・インテツ等)が、歴史が伸びるに従って外国育ち・外国籍のメンバーがいるバンドも出てきている(中国人であるRAZOR衍龍など)。

動画サイトやSNSの普及に伴い、日本のヴィジュアル系も海外に広く知られるようになり、諸外国にもその影響を受けたバンドが結成されるようになってきている。

北欧諸国やタイインドネシアなどのアジア圏がやや多い。2016年にX JAPAN主催の「VISUAL JAPAN SUMMIT」ではロシアのヴィジュアル系Mumiy Trollが出演した。

他ジャンルとの交差

初期はハードコア・パンクやHR/HMとの人流の相互移動も珍しくなく、V系を経てより硬いスタイルのバンドに移籍する、GACKT西川貴教T.M.Revolution)に代表されるようにポピュラー寄りのスタイルや一般歌謡曲に転向する者も時々いる。

V系という大きな中でも複数バンドで活動し、様々な音楽性を通過しているバンドマンは多い。中には最上川司美良政次花見桜こうきのように演歌歌手デビューした例もある。

他ジャンルに移動しても元V系のバンドマン同士で組むことは少なくなく、V系に戻ってくることもしばしばある。

逆に他ジャンルからサポートなどを経由してV系バンドの正式メンバーとして加入するベテランや技巧派もおり、バンド丸ごとV系に転身したDELUHIのようなケースもある。

また、歴史の長いバンドが増えるに従い主催ライブやトリビュートアルバムなどの企画に他ジャンルのミュージシャンが参加するケースも増えている。一例として、2017年に発売されたPlastictreeのトリビュートには、相川七瀬緒方恵美が参加している。

ロックフェスもジャンルレス化が進んでおり、それまで少数派だった(いてもソフビ路線だった)V系が参加することも多くなっている。

ヴィジュアル系の影響を受けつつも他ジャンルで活動するミュージシャンもおり、ミクスチャーロックだがXJAPANのコピーバンドを前身としたFLOWピエラーのメンバーがいるThetelephonesL'Arc-en-CielやV系バンドに影響を受けたラッパーの(sic)boyなどがいる。

またライブアイドル地下アイドル)にもファッションにV系の要素を取り入れたりV系ミュージシャンから楽曲提供やプロデュースを受けるグループがおり、V系のほうもアイドルに近いキャラクター性を打ち出しているバンドや地下アイドル風のパロディ曲を出すバンドがいる。

主なバンド

メジャーデビュー順に列挙。

90年代

00年代

e.mu/cali≠gari/LuLu/Kagrra,/Kra/えんそく

ムック/MERRY/the GazettE/DELUHILeda

シド/しゃるろっと/摩天楼オペラ/DaizyStripper/ギルド/NoGoD/シリアル⇔NUMBER/サウイフモノ/vistlip/Wizard

ゴールデンボンバー/Jin-Machine/SuG/リルト/Girugamesh/ViViD/SCAPEGOAT/Sadie/SCREW/アヲイ/heidi./12012/NOCTURNAL BLOODLUST/ラッド/姫苺/キス&ネイト/Anli Policcino/exist†trace

V系出身者

本人の現在の活動主体はヴィジュアル系ではないが、過去にV系として活動していた経歴を持つミュージシャン

  • T.M.Revolution(西川貴教)…80年代後半~90年代前半に活動していたLuis-Maryの元ボーカリスト。バンドとしては売れなかったが、V系とはまったく異なるジャンルでソロとして再デビュー後にブレイクしたという異色の経歴を持ち、このため数多のV系バンドと古くからの交流を持つ。T.M.Rとしての活動時の奇抜な衣装の発想も元V系出身ならではといえるかもしれない。
  • TAKUYA(元JUDYANDMARY)…JAM以前から「SKAFUNK」というバンドでギターをやっており、当時はBY-SEXUALをライバル視していたと語っている。そのためギタープレイも作風もV系寄り。事実、99年のJAMの活動一時休止中はΛuciferに楽曲提供していた。JAMの楽曲も活動につれて恩田快人から彼に作曲比率が増えていったのも、90年代後半が空前のV系ブームで世間からは受け入れられやすかったのが大きい。そういう意味では(特に後期の)JAMも「V系の分派」と言えるかもしれない。
  • あさきKONAMI所属コンポーザー)…KONAMI入社前はBlanc Neigeというバンドでボーカルを担当していた。本人の志向するところはV系ではないとのことだが、独特の歌唱法に加えて難解で物語性の強い歌詞やプログレ寄りの音楽性にV系的な空気を感じ取るファンも多い。

V系を題材にしたフィクション作品

映画

V系ミュージシャンである設定のキャラ

  • ナマケルダ 学生時代にヴィジュアル系バンドをやっていた設定がある。
  • 四十物十四 本職はヴィジュアル系ヴォーカリストという設定。

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  • ナルシスト・イケメンアイドル戦士キラリ

    第26話【黒薔薇帝✝アモーレ✝デスペラード】(1)悲劇の再会

    カラスはキラリを鍛え直すため、アイドル戦士養成所へと連れていく。 しかし、そこで出会ったのは、かつての師「黒薔薇帝✝アモーレ✝デスペラード」! 悲劇の再会で、「最強のヴィジュアル系アイドルユニット」になるための修行が、幕を開けるーー!? 自称「世界を救う顔面」を持つ、ピカピカ王国のイケメンすぎるアイドル戦士・キラリ様が、世界を照らす! 美しすぎてたまに物理法則を無視するアイドルたちの友情・戦い・黒歴史など。 【第1話~第7話までは、キラリ様のナルシスト1人語り】 【第8話あたりから、黒歴史を背負ったアイドル・カラスとのギャグ&友情ストーリーが始まります】 テーマは「真面目にふざける」です。 ギャグ中心ですがたまにシリアスになったりもします。 【AI創作プロジェクト】 AIを使って、どれだけ面白い世界を広げられるか挑戦中。 小説 × キャラソン × YouTube × ブログが連動した、 「物語が生きて動く」創作を目指しています。 AI時代の創作の可能性を、キャラたちと一緒に楽しみながら探っています。 【関連リンク】 YouTubeチャンネル(キャラソン公開) https://www.youtube.com/@kirarisama-official 創作ブログ(キャラ設定や制作裏話など)https://otamama-blog.com/ BOOTH https://mayu-kurokawa.booth.pm/
  • MARVELOUS

    MARVELOUS 〜キミを想う〜

    とうとう大雅に"カナエとの関係"がバレてしまった黒田… 「もうお前なんかいらねー」 大雅に切り捨てられたカナエ…思いきり殴られた黒田… 大好きな"カナエちゃん"… 今、失いかけてその大切さに気付いた。 「"カナエちゃん"は"佐々木くん"だけど…それでも好きだ…!」 黒田のその想いは変わらなかった。
  • Fallen Paradise-phase1-

    僕は君たちを助けられる…?

    Fallen Paradiseのライブとメンバーに 衝撃を受けたあなたは 彼らの力になりたいと思い始め… そこから先はあなたの目で見てください
  • Fallen Paradise-phase1-

    first contact 後編

    後編です、 前編を見てもらえれば また面白いのかなと思います 全てのメンバーとお話したあなたは さぁ何を選ぶ?
  • JADE

    Can I fly?

     SUGIZO氏54回目のお誕生日企画。 架空のV系バンド・JADEのギタリストで、SUGIZOさんのことを尊敬するオリ主目線の、完全なるフィクションです。 相変わらずの駄文です(-_-;)    作者も、年末の大阪城ホールの初日に参戦できることが、今から楽しみで仕方ありません! これからも唯一無二のギタリストでいて下さい☆ミ  
  • Fallen Paradise-phase1-

    first contact 前編

    主催ライブ、初めて推しの隣に立ったこと 話したことその時の気持ちや温度とかってずっと覚えてますよね これから推しを見つけて推し活するあなたに これからも推し活をするあなたにも響くといいなぁって思います、
  • †こちら、バンギャ活動委員会です。†

    こ/ち/ら、幸/福/安/心/委/員/会/で/す。 のバンギャバージョンの替え歌です^^
  • 潮騒

    追悼ライヴに行けないので、代わりに追悼SSを。短すぎる上に駄文な上にプライベートについての知識が皆無なのでキャラ崩壊してますがお許しください
  • ROBO to ME

    【2】発見

    宇宙戦隊NOIZ(UCHUSENTAI:NOIZ)の『ROBO to ME』を元にした小説。歌詞不使用。 滅亡後の世界で人間を探し続けるロボットとただ一人の生き残りの少女とのボーイミーツガール的な何かです。 メンバーは出てきません。

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