深水雛子
しみずひなこ
CV・モデリング(モーションキャプチャー):加藤小夏
『サイレントヒルf』の主人公。
舞台である1960年代日本の「戎ヶ丘(えびすがおか)」という山間の田舎町に暮らす女子高生。
思春期の少女が主人公を務めるのは『サイレントヒル3』のヘザー、『ショートメッセージ』のアニタに次いで3人目となる。
親、環境、友人関係。そして世間体。それらが求める理想の姿に翻弄される少女。
PVでは同級生から「裏切り者」と罵られている。
あるとき、友人ら3人と共に馴染みの駄菓子屋「千鶴屋」にて他愛のない談話に花を咲かせていたが、突如不気味な霧と地を這う赤い植物に町を侵食され、その波のように押し寄せる怪異から逃亡の末、友人たちと離れ離れになってしまう。
瞬く間に地獄のような異界へと変貌した戎ヶ丘で、雛子は霧の中から這い出た怪物たちの猛威をかいくぐりながら、はぐれた友人たちの捜索に乗り出すことになるが…
キャラモデル・演者である加藤小夏の顔をベースにした黒髪ボブの少女。
同級生の西田凛子、五十嵐咲子同様に紺生地に白ストライプ・赤スカーフの長袖セーラー服を着用している。
幼い頃は幼馴染みの岩井修をはじめとする同年代の男子の遊びに交じったり、中学時代は陸上部にも所属していたため身体能力はそこそこで、女子の中では身長も高め。
常々手帳を持ち歩いては起こった出来事や出会った人物らについてメモを書き残すマメな一面もあり、ゲーム上ではこの習慣がプレイヤーの状況確認・情報整理にすこぶる役立つ。
また、手帳には行動中のマップの地図、遭遇した怪物のスケッチなどを描き起こしており、複雑かつグロテスクな造形のバケモノを活写するなど絵の腕前もかなり達者。
マップのアイコンや人物紹介文に添えた自身や知人たちの似顔絵については、漫画寄りの可愛らしいタッチで落とし込み、それぞれの人物性を表現したエフェクトを添えていたりと、各々の特徴を捉えつつ遊び心も散りばめている。
男女分け隔てなく接することを望み、他人の指示に素直に従えない天邪鬼な一面を持つ、昭和の価値観とは馴染めない性格の持ち主。
その性格に加え、雛子から見た両親がいかにも家父長制の家庭らしい、親の権威を振りかざす父と唯々諾々と従う母という関係性であったこともあり、家族や「女性としての在り方」というものに根深い懐疑とコンプレックスを抱えている。
OPムービーにおいては、婚姻により実家を出る姉の潤子に鈴をプレゼントして門出を祝いつつ、その後のタイトル表示と合わせて流れるBGM『迷い歌』は女としての生を呪う童歌となっており、その内容から特に「結婚」「出産」に強い忌避感を抱いている様子。
それらの多大なストレスから、かつては快活な性格だった雛子は次第に笑顔を失い、慢性的な頭痛に悩むようにもなった。
こうした中で、幼馴染の修は「雛子自身の在り方」を尊重してくれる存在で、幼少期から興じている「宇宙戦争ごっこ」の延長線で現在も互いに「相棒」と呼び合う間柄。実家が薬師で漢方に精通する修からは、上述の頭痛を和らげるための鎮痛剤(赤白のカプセル錠)を調合してもらい、愛飲するようになっている。
家族や友人知人らには温和な口調である一方、修の前では共通の趣向に倣ってぶっきらぼうな口調を用いる他、独り言や、コンプレックスを刺激する怪物・幻覚に対して啖呵を切ったり荒々しい言葉遣いになることも。
上述通り、決して派手ではない容貌と出で立ち、何処か影を背負った人物背景など、如何にもホラーゲームあるあるな「臆病でか弱い女性主人公」といった雰囲気を醸し出しているが、その実ゲーム本編での彼女は移動・戦闘アクション共にかなりアグレッシブ。
本人は手帳内で「他の女子よりは運動ができると思う」とだいぶ控えめな自己評価を述べているが、おそらく『サイレントヒル』シリーズ歴代主人公の中でも最強格の主人公トラヴィスと肩を並べられるほどの猛者。
日本が舞台である都合で銃火器が登場しないため、必然的に近接武器のみで怪物と渡り合うことになるのだが、各種武器の扱いにやたらと習熟しており、序盤のイベントで初めて握った鉄パイプを構えたかと思えば、唐竹割りや横打ち、突きまで繰り出してみせる。
打撃には重めのヒットストップがある上、アクションゲーム並の機敏かつ飛距離が長めのステップ回避を繰り出す。
その後も先々で入手する刃物(鎌や包丁、匕首といった小振りの得物ばかりか日本刀、それこそ扱いが難しい薙刀)を華麗に操り、いずれも冒涜的な見た目・能力を持つバケモノを相手に果敢に立ち向かい、寧ろメッタメタの返り討ちにする姿にはプレイヤーも圧倒されるばかりである。
鎌や包丁はともかく、日本刀や薙刀などのれっきとした武具まで卒なく使いこなすどころか、重量のある薙刀を携行しても移動速度は決して落とさず、回避ステップが鈍るような事もない。彼女が武器を振り回す姿は早々に見慣れてしまうだろうが、元運動部とはいえものすごい身体能力である。
その戦いぶりは、ファミ通の動画チャンネルに投稿された先行体験プレイの動画で「雛子は予想以上にパワフル」「(敵に)立ち向かう雛子の姿はあまりにもたくましかった」とテロップが付けられるほど。
体験版・製品版に触れたユーザーの一部からも、「JK=女傑の略記」「陸上部=陸上自衛隊の意」などと経歴が盛られたり、「JKに転生したトラヴィス」「雛子様」「雛子殿」「狩人様」「雛子の姉さん」「戎ヶ丘の狂犬」…等々、畏敬を込めた仰々しい呼び名を付けたりと概ね同様の認識を持たれており、上記のようにぶっきらぼうな言葉遣いをする点もその評価に拍車をかけている。
結果、公式が売り出していた「シリーズ初の日本舞台のサイレントヒル」「『ひぐらし』『うみねこ』等で有名な竜騎士07が脚本」といった話題性を完全に掻っ攫う形となった。
勿論、これまでの主人公たち同様に、本作の怪異が生み出す悲劇と幻覚の中で悩み苦しみ、そして狂い、エンディングの一部では尊厳すら踏みにじられるような悲惨な結末を迎えるものも用意されていたりと、灰汁は目立つがしっかりと『サイレントヒル』主人公としての悲劇性は踏襲しているので悪しからず。
- 父から戦闘技術を叩き込まれたかなり特殊な生い立ちのヘザー、上記の通り刃物や凶器を自在に扱い挙句に男のような雄々しい振る舞いをする雛子とシリーズに登場する歴代の女子高生たちがどれも逞しくこの異世界から果敢に闘って生き延びて元凶を倒し生還を果たす中、一人だけ戦闘が不得手でおまけにメンタルがか弱いごく普通の感性を持ったアニタが突然の異世界に放り込まれて怯えながらも頑張って探索する姿に「この中でアニタが一番女子高生してる」「限りなくごく普通の一般人」とあまりにもリアルすぎる彼女の人物像に共感の声が上がり雛子やヘザーとは相対的に再評価され始めている。
※なお現実でこのような見知らぬ環境に放り込まれたり、危険な存在に遭遇した場合普通の女子高生なら恐怖でパニックになったり、酷く怯えたりするのが当たり前でそれに臆さず立ち向かい返り討ちにするヘザーと雛子が特殊なだけでアニタが怯えるのはごく普通の反応である。
- 雛子を演じた加藤は、収録作業の中で複雑かつ多面的な役柄に向き合う内に「いま私は、いま雛子は、どこで何をしているんだっけ?」と混乱を覚えるようになった事を振り返っており、“気が触れそうになった”とも語っている。また、『f』に関する記憶も全体的に曖昧らしく、エピソードとして思い出せるのは断片的な場面ばかりで、ストーリーの全体像はおろか読んだはずの脚本の内容も覚えていないのだとか……。(サイレントヒルf自体が陰鬱な世界観であり、異なる分岐で全く同じセリフを言うという難解な構造のシナリオであることに加え、アテレコだけではなく劇中の雛子の動きのモーションキャプチャーまで行うというかなり過酷な収録だったため、無理もない話だと思われる。)
雛子というキャラクターについても、「様々な視点を持っている様子に感心した」と語る一方で「自分の前には絶対に現れないでほしい」とも述べている。
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