Silksong
しるくそんぐ
オーストラリアのゲームスタジオ『TeamCherry』により、前作『HollowKnight』の続編となる作品。現在制作中で、プラットフォームはWindows・Mac・Switch・XBOX。
前作のクラウドファンディング期間、最後に達成されたストレッチゴールとして前作の登場人物ホーネットのプレイアブル化が約束された。このプレイアブル化はもともと前作の第五DLCとして計画されたが、ホーネットならではのシステム、ゲームプレイ、新舞台も次々と用意されてしまい、結果として別作品として計画されるようになった。
基本的に「潜る」ことが目的だった前作とは打って変わって「登る」が目的になっており、
「祟り憑かれし王国の頂へよじ登れ!」「狩れ!生き抜け!屠れ!」がキャッチコピー。
前作クリア前提のシナリオと難易度であり、1作目よりさらに初見殺しとされている。
また前作よりも世界観のどす黒さを前面に出している部分があるため、かなりダークな描写を覚悟してプレイした方がよいかもしれない。
(幻の)続編:制作延期のエピソード
お披露目の発表は2019年2月14日。当日YouTubeにアップロードされたトレーラーでは2019年以内の発売が予定されていた。しかし制作が長引きその予定は延期となり、2020年にて新型コロナウイルスなどのトラブルや更なる次回作(HollowKnightシリーズと無関係のゲーム)の制作も開始され、次第にニュースが途絶えがちになった。
しかし2020年に本作から新しく登場キャラクターが一部発表され、2021年にゲーム雑誌『EDGE』にて記事も発表されるなど、シリーズファンの期待は熱いままだった。
そのためニューズに飢えたファンの熱狂により任天堂ダイレクトの度にSilksongのハッシュタグがTwitterにトレンド入りする現象が起こったりもした。
初期発表からおよそ3年間後、2022年のBethesda・XBOXショーケースにて新トレーラーが公開され具体的な発売日こそ発表されなかったものの、XBOX公式ツイッターからは「12ヶ月以内にプレイできる」と紹介され、長時間待ったあまり疑心暗鬼になったファンに問いただされSilksongも含めての発言だと確認。
そのため2023年6月までに発売されると思われた…が、
...しかし、2023年5月にシリーズ含む作品の広報及びマーケティングを担当する Matthew Griffin氏(@griffinmatta)のツイート(現:ポスト)により再び開発延期の発表。
この度重なる延期のため、一時は「TITANFALL3やHalf-Life3のように延々と延期を繰り返して、最終的には立ち消えになるのでは」との憶測も漂い出した。
発売予告から6年以上経った2025年4月2日、Switch2お披露目の任天堂ダイレクトにて、ソフトメーカーラインナップで49分44秒〜49分49秒の僅か5秒間、シルクソングのトレーラーを挿入されているのが確認される。
発売日は依然として不明だが、発売日記入欄には2025と確かに記されており、いよいよ2025年内に発売されるということが明らかになった。
そして8月21日の特別映像で明かされた発売日は特別映像公開の約2週間後の9月4日。
7年半以上の月日をもってして発売の約束は果たされたが、シリーズファンの熱は熱く、当日はあまりに多くの世界中のゲーマーが一斉に購入したため、発売開始から数時間、発売元のSteamのサービスが過剰リクエストで不安定になるほどであった。
これだけの遅延後の発売にあってはゲームの評価も気になるところだが、発売2日で6万件以上のレビューを集め「非常に好評(80%以上が高評価)」となっている。
ある日突然、亡国ハロウネストの守護姫・ホーネット(Hornet)は見知らぬムシの集団の手で誘拐されてしまう。
封印で固められた籠の中に詰め込まれた彼女はそのムシたちの国・ファールーム(Pharloom)に運ばれたが、そこでホーネットはなんとか籠から脱出し、ファールームの奥底へと落ちてしまう。
自由になったホーネットは愛用の針を手に取り、誘拐された理由をはじめファールームの秘密を解明すべく国の頂へと登り始めるのだった。
道具の作成
前作では主人公の強化要素として武器の強化以外にチャームがあったが、今作ではホーネット自身がムシを倒した際に手に入る破片を元に様々な敵を倒すための道具を作ったり、装備するだけで効果を発揮する道具を手に入れることが攻略の糸口となっている。
CV:Makoto Koji
前作のボスの一人だったが、本作では主人公。原住民と開拓者両方の王族の血を引く亡国ハロウネストの守護姫。真面目で責任感が強く、全面的に凛々しい。
針と糸で戦い、手先の器用さを利かせ様々のツールを作る。
なぜかムシ攫いに遭っており、その理由を叩き出すべくファールームを探索することに。
長らく閉じ込められたせいで腕は鈍っており、前作で持っていた様々の能力を少しずつ取り戻す必要がある。
かつて母親の故郷に住み、汚染の際にハロウネストを離れたクモの一族「糸紡ぎ」の文明の形跡をファールームに発見し、彼らが世に残した術をも身に付けていく。
CV:Mitsuki Hashimoto
本作のヒロイン。ホーネットのライバルとして紹介される華奢なフェンサー。性格はややS気味で動き一つ一つがキュートかつおしゃれ。
金のめっきのピンを振るい、ホーネットを殺すことで上で待ち受ける困難から救うと主張して攻撃してくる。
ホーネットが「ハロウネストの愛娘」だとすればこちらは「ファールームの落とし子」とでも呼べるような存在であり、シナリオの核心に近い人物。
CV:Juni Beaux
巡礼を果たすべく愛用のチャイムを手にファールームにやってきた小柄な青年。
性格は非常に無邪気でおっとりとしている。
熱心な巡礼者のようで、「祈りと歌が大きな骨をも動かす」と信じ込んでいる。
なお戦闘力も運動神経もほぼ皆無なため時々ホーネットの手助けが必要になる。
彼の歌声は今作屈指の癒し要素の一つ。
CV:Lauren Koopowitz
異国からやってきたチャクラム使いの女戦士にして製図家。
金色の衣装と澄んだ低い歌声が特徴。
武力と知性を尊ぶ一族の出身で、ファールームの巡礼者たちの生き様を謎に思っている。
師匠と一緒にファールームへやってきたが彼女と逸れており、今は方向音痴の師匠を助けるべく各地その追跡をしている。
鐘脈の獣(Bell Beast)
ファールームにある鐘の道を棲家とする大きな獣のムシ。メス。今作のスタグ枠。
序盤に出会うボスの一体であり、倒すことでホーネットを主と認めファールーム各地へ移動する手段となってくれる。ホーネットに懐いてから猫のように喉をゴロゴロしてくるし犬みたいにはしゃぐなど、その動作や鳴き声の可愛さでプレイヤーのハートを射止める癒し要員その2。
駅に呼び出す時など話しかける際にホーネットが「エイラ」と呼んでいる。
その他NPC
相棒のザザ(Zaza)と共に、呪気に滅ぼされた故郷の仇を取るために戦う果敢な老騎士。
悲壮な事情でファールームに立ち向かう彼だが、底なしの勇気と前向き精神を持ちマナーを忘れない紳士な好々爺。制作陣いわく実はザザこそがコンビのブレーンだったりする。
進行状況によってはボス戦で助っ人として参戦してくれる心強い味方。
緑の王子(Green Prince)
ある場所で檻に閉じ込められているカマキリの男性。性格はとても悲観的な、品性を感じさせるも翳のある紳士。
とある強い願望に突き動かされているが、本人曰くいい期待はとても抱けないらしい。
王子と名乗っているが、彼の国はファールームとは別のところにあるようで……
ニュー(Nuu)
休憩地となる宿屋であらゆるムシの記録を書き留めているナメクジの少女。外出の際に大きなリュックを背負うとカタツムリのような姿になる。
好奇心旺盛で少しおませな性格で、ファールームに住むありとあらゆる生き物の香りや味には興味津々。本作における狩猟者の書は彼女のクエストを受注することで読めるようになる(ちなみに書くのはホーネット自身の為狩猟者ではなく狩猟の書となる)。
トレーラーでホーネットにチューしようとしてビンタで拒否されている張本人。懲りる様子はない。
ハイネ(Greyroot)
殼木の森の片隅でとある「復活の儀式」を行おうとしている魔導師。ホーネットにその儀式の協力を依頼するが、その復活の対象とは…?
初対面でホーネットに触られるようにムシではなく、前作で登場した白いレディ(White Lady)と似たような「根」(知性を持つ樹木)である。
ムシの国家・部族・集団
- ファールーム(Pharloom)
遥か昔の時代に糸紡ぎたちに作られた王国。その名は「最果ての織機」という意味を持つ。
クモの紡ぐ糸「シルク」の活用であらゆる生活や進展が回った国家。
「純粋な心を以て巡礼を完遂すればシタデルの住人として迎え入れられて恵まれた生活が送れる」などの噂と、国のてっぺんに存在するモノの不思議な引力に惹かれて今も巡礼者が絶えない。
巨大な都「シタデル」にハロウネストより遥かに発展した技術、豪奢な美術など黄金期の栄えっぷりは相当だった。
しかしシタデル以外の土地を見ると資源を取りつくされた荒地、厳しい階級社会に労働者階級の扱い、隣国との関係の悪さなど醜い裏側をも抱えており、前作のハロウネストとの共通点が多く見受けられる。
なお、大昔は糸紡ぎたちが最上級として君臨していたが、ある時を境に多くの糸紡ぎたちはファールームを離れたことによりいずれ国の支配権は当時下級だったムシたちが握るようになり、ファールームに残った大半の糸紡ぎたちが息絶えたらしく、現代ファールームでは糸紡ぎたちが絶滅したと思われている。
なお、国の支配権が変わっても国の仕組みそのものは変わらなかったようだ。
- 糸紡ぎたち(Weavers)
コガネグモ科。「紡ぐもの」とも呼ばれる。
かつてファールームを造り上げ、階級社会の上級者として君臨したクモの一族。
自らのシルクで美術、音楽、化学、医学などを目まぐるしく進展させ、シルクの力で動くぜんまい仕掛けの機械などスチームパンク・SFめいた技術を織り上げた誇り高き一族。
同時にファールームの階級社会において半場崇められ、半場恐れられ忌み嫌われた「獣」。
とあるきっかけで多くの糸紡ぎたちはファールームを離れ、前作の舞台のクモの国「暗闇の巣」に快く迎え入れられ、その原住民のクモと手を取り合い共に暮らし、ハロウネストの設立で窮地に立たされる仲間を技術面でサポートした。
しかし汚染の際にハロウネストの王が考えた対策が失敗した際、彼女らは暗闇の巣を離れどこかへと旅立ったという。
シルクの力により寿命は他のムシより長い反面、子供ができにくい体質を持つ。
なおホーネットの母親・ヘラー(Herrah)も糸紡ぎたちの血を継ぐ子孫だったため、ホーネットも母経由に彼女らの血を引いている。
- 巡礼者(Pilgrims)
ファールームのシタデルに住む権利をもらえる希望を胸に信仰心のみで険しい道のりに挑む、いわゆる移民希望者。旅に武器を持ちこんではいけない、幸運のためにロザリーを集めるなど独特な決まりごとや習慣が多い。
呪気以前の問題で旅の途中で息絶える巡礼者が多く、シタデルの門にたどり着いても都を守る審判者に不潔だと判定されれば問答無用で切り捨てられるなど、実際にシタデルの市民権をもらえるムシはかなり少ない。しかしそんな厳しい現実を頭でわかってても、シタデルの頂に立つ者の謁見やあらゆる苦労から解放されるだろう都での恵まれた暮らしというロマンに抗えず巡礼に挑むムシも後を絶たない。
骨溜まりの麓、遠景の地、灰色の丘陵やベルハートなど、巡礼者のための休憩用の施設や集落がシタデルへの道のあちこちで存在する。
- ノミのキャラバン(Flea Caravan)
一族を率いるムーシュカ(Mooshka)を長にファールームを旅するノミの一団。
脊髄の道で出会い、各地に散らばったノミ達を探して欲しいと依頼を受けることになる。
種族の特徴として好奇心旺盛の冒険好きのため、危機感が育っていない子ノミはすぐ変な場所に迷い込み迷子になるきらいがある。
ノミ達を助けていくとキャラバンが次の場所へと移動し、楽園を建てる場所を探しに洞窟を彷徨う陽気な旅人たち。
今作のイモムシ枠。ノミがモデルであるが非常にふわふわとした見た目をしており、特にノミの子達はどう聞いても犬にしか聞こえない鳴き声を発する。癒し要員その3。
- スカール(Skarr)
赤いアリの部族で、捕食者の狩場を本拠地に脊髄の道の東部から遠景の地の西部までの土地に住まうファールームの隣人。
前作のカマキリの一族とよく似た、骨を素材に武器・防具・建物や道具などを作る賢くも気高き戦士。連携を大事にする一族であり、呪気に陥てもなお2、3体の集団で攻撃してくる策士。
ファールームとは関係がとても悪いらしく、殻に白い模様を持つ個体を「ファールームに汚された裏切者」と忌み嫌い無条件で部族から追い出す慣習すらある。
ほとんどのスカールはホーネットを敵視するが、この白い模様を持つスカーは大体友好的である。
昔は一族を束ねる力強く凛々しい女王はいたようだが…?
- ボロガワ(Craws)
灰色の丘陵の東にある湖にて住まう烏のような姿のムシ。
ロザリーを含むキラキラなものを集める習性を持つためファールームのムシや巡礼者に煙たがられており、彼らを巡礼者のための施設に寄せ付けないためにカカシを作ることさえある。
しかし当のボロガワたちはファールームのムシに劣らず知性を持っており、建物や道具を利用するれっきとした文明を培っている。
彼らの本拠地の奥底には裁判所が存在しているとの噂も…?
- エダモドキ(Splinters)
ナナフシ目。枝や木皮に化ける姿のムシ。
知性を持った植物と一緒に殻木の森に住んでいる。
かつてファールームが殻木の森に手を出さない代わりに巡礼者を放置するよう制止をかけた存在が亡き今、狡猾な老婆の長の元で通りかかるムシを好き放題襲っている。
- スチルキン(Stilkin)
ファールームの排気に汚染された湿地帯・胆液の沼に住むしぶとく狡猾な狩猟の一族。
長い吻とコケに似た衣が特徴で、横道に潜み寄生虫がうようよする水をも素早く泳ぎ、トラップを布いて侵入者をありとあらゆる手で苦しませる。
もちろん我が土地を蝕ませたファールームを強く憎んでおり、長であるカエルのグロウル(Groal)の元で最近カタツムリの霊媒師から得たソウルを用いる魔術でシタデルのムシに刃向かう願望をくすぶらせる。
- カラク(Karak)
すでに滅んでいるファールームの隣国の一つ。
かつては珊瑚に飾られたガラスの建物を誇る水中の国家だったが、清かった川水は枯れ果て今や砂漠と化しており、その土地は現在「カラクの砂」として知られている。
滅亡前はエビやカニなどの水棲系や両棲昆虫が多く住んでいた。
その住民は生前戦闘族として知られ、最後までその武力でファールームに抗ったという。
- ヴェルダニア(Verdania)
割と最近滅ぼされた、ファールームの隣国の一つ。
元は生い茂る緑とクローバーを誇るカマキリの国で、自由を尊ぶ文化を持っていた。
ファールームに見逃してもらおうといたわしい代償を払うも叶わず、今となっては荒地と化しており生き残りは一人だけとなっている。
その他の用語
- 呪気(The Haunting)
ファールームの国を憑りつく祟り。
シルクの糸を体内に絡めとられたムシが狂暴化し、何かの思惑の通りに動く傀儡にされるという恐ろしい呪い。
その原因を探し当て祟りの意図を掴めばファールームの歴史を解き明かす鍵を手に入れるでしょう。いとだけに。
- シルク(Silk)
「シルク」といえば真っ先に蛾の作る絹を連想するかもしれないが、今作においては糸紡ぎたち(及びホーネット)が体内に作る、ソウル(魔力)と一体化したクモの糸を指す単語。
ファールームではエネルギー源として使われており、シルクがないと国家として成り立たないほど肝心だったため神聖視するきらいが見られる。
なお、シルクを手術などで身に取り込むとムシの寿命は伸びるとされているが…。
ホーネットが体内に溜める糸はHUDに糸巻き風のゲージに表示されており、糸枠の欠片を集めるとゲージを伸ばせることができる。
9糸分のシルクを消費すると3マスク分のHPを瞬時に回復することが可能で、4糸分のシルクがあれば各地で習得できる糸紡ぎたちの攻撃魔術が使える。一部の移動スキルもシルクを1糸分消費する。
「シルクの心(Silk Hearts)」というものを手に入れた数だけシルクが自動的に1糸分回復するが、回復のペースがゆっくりめでシルクの心は三つしか存在しないため尽きないように注意することが戦闘にも探索にも肝心。
- ロザリー(Rosaries)
ファールームにて通貨の代わりに使われるビーズで、持ち主の信仰心の表しとされている。一般的の赤いビーズに殻からできたもの、真珠からできたもので価値は三段。
モデルはそのままカトリック教で使われる祈りのための道具で、同じように紐や首飾りに繋げられる形で見つけられる。
なお紐・首飾りに固定されたロザリーはライフが尽きると失われない。そのまま固定されたロザリーをクエストの報酬などでもらうことはあるが、他に固定機や商人の手で繋いでもらうことができる(なお繋ぐ手数料として20個を払うことになる)。
- ピン(Pin)
ファールームで一般的に使われる武器。道具に適したものも存在する。
前作の「釘師」のように、ピンを使用した剣術を極める女戦士「ピンの女傑(Pinstress)」は存在しており、ファールームの戦士に使われる流儀も彼女たちの術に由来しているとのこと。
なおホーネットの扱う針はこの地でも珍しがられる武器である。
- 高貴な者(Higher Beings)
神や精霊のような、一般のムシとは違う特別な力を持つ存在。
そのほとんどは普通のムシより巨大な図体を持っている。
多くの高貴な者は文明や国家の中心として支えており、その文明・国家の住民たちから崇められ慕われている。
なお、彼らの中には「蒼白なる者(Pale Beings)」という真っ白の特殊な個体も存在する。
ホーネット曰くその蒼白なる者とは極めて厄介な気質で、その支配欲があまりにも強く献身的な忠実を示してくれない者を無差別に滅ぼしたがるらしい。蒼白なる者の暴走を前に、普通のムシではとても太刀打ちできず破滅を迎えるとのこと。
そのため、蒼白なる者を中心とする文明は他の文明や国家との共存はとても難しいようだ。
前作に登場した蒼白なる王と白いレディはこの類の高貴な者だ。