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「殺人マシン」に訓練されるウクライナ占領地の子どもたち:施設は千島列島「占守島」にも:国末憲人 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト
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「殺人マシン」に訓練されるウクライナ占領地の子どもたち:施設は千島列島「占守島」にも

執筆者:国末憲人 2025年10月14日
エリア: ヨーロッパ
ロシアによる占領以前はウクライナ南部ヘルソン州に暮らしていたコルニー・アンドロニコフ。占守島での軍事訓練プログラムに参加している様子がSNS「テレグラム」で動画公開されていた 出所:Save Ukraine公式You Tubeチャンネル
保護者から引き離された10代の子どもたちは、「ロシアを守る」との名目の下で洗脳され、軍事技術を教えられ、ウクライナと西側への憎悪を注入される。訓練キャンプはロシア全土に加え、クリミア半島などウクライナの占領地にも設けられており、3週間程度のプログラムが多いという。そして少年少女らは数年のうちに、ロシア兵として戦場に出る。調査と子どもたちの奪還に取り組むウクライナの大手慈善基金、「セーブ・ウクライナ」への取材をもとにレポートする。

 ウクライナの多数の子どもたちを違法に連れ去ったとして、ロシアの大統領ウラジーミル・プーチン(73)と子どもの権利担当大統領全権代表マリア・リヴォワ=ベロワ(40)に対し、国際刑事裁判所(ICC)は2023年3月に戦争犯罪の容疑で逮捕状を発付した。この事実からもうかがえるように、ウウライナ占領地での未成年者に対する抑圧や人権侵害は、極めて深刻な状態である。実情にはいまだ謎が多いものの、ロシア当局は子どもたちを保護者から引き離し、ロシアやウクライナ占領地の200カ所以上に置かれた施設で愛国教育や軍事訓練を施し、ロシアに忠実な兵士として養成さえしている様子が、ウクライナの人権団体や欧米の研究者らの手で、最近次第に明らかになってきた。

 この課題に取り組むウクライナの大手慈善基金「セーブ・ウクライナ」は、一例として、ロシア占領地出身のウクライナ人少年が、千島列島の占守(シュムシュ)島で軍事訓練を受けているとする動画を公表した。千島列島北東端にあたる占守島は、ロシアが実効支配をしているが、日本政府の公式見解では今なお帰属未定となっている。

占守島に3週間滞在か

 この動画では、緑に包まれた丘を背景に、軍服に身を包んだ少年が語りかける。

「ヘルソン州と私の軍事スポーツ訓練『戦士』センターに、歴史的に重要な占守島から温かい挨拶を送りたい」

「ここは第2次世界大戦が終わった場所です。クリル(千島)列島上陸作戦が実行され、それが戦争を終結に導いたのです」

「セーブ・ウクライナ」によると、この少年はコルニー・アンドロニコフ(18)で、ウクライナ南部ヘルソン州に暮らしていた。旧ソ連で普及している格闘技「サンボ」を幼少時から習い、ウクライナ国内の大会で入賞した経験も持つ。2021年に地元ヘルソン州の試合に出場した記録が、ウクライナ側に残っているという。

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カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授、本誌特別編集委員 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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