2018年に東京大学工学系研究科に着任して以来、私はライティングセンターの運営に従事してきた。英語の文章へのフィードバックや、ライティングに関するワークショップなどを行うプログラムで、規模は小さいながらも東大生の学術発信を支援してきた。しかし、AIが多くの学生に活用されるようになった2023年度から、ライティングセンターの利用者が著しく減少した。90%を超えていた利用率は21%にまで低下し、部門の上層部(工学系の教授陣)からも、ライティングセンターの必要性について疑問が呈された。ある学生は「ChatGPTがあるから、人に確認してもらう必要性を感じない」と述べ、別の学生は「AIの方が遠慮なく何度も質問できるし、24時間対応してくれる」と言う。こうした声から、従来型のライティングセンターがAI時代に適応できていない現状を強く認識した。 この危機的状況を打開するため、2024年度は戦略を転換した