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病気と療養の概要 筆者は昨年、癌に罹った。食道癌である。本稿執筆の時点で(2023年1月下旬)、手術からの回復過程にあるが、再発防止目的の薬剤を投与するために一月に1、2度通院している。癌は全てが投資やお金と関係する訳ではないが、本人にとって不確実性下の意思決定問題である点が投資と似ている。 今回は、自分で癌に罹り、治療に臨んでみて、何を感じ且つ考えたかについて率直に書いてみよう。今後に公開する動画で、筆者の風貌が少し変わっている(数キロ痩せて、髪の毛が減っている)理由の説明にもなるだろう。 尚、投資の文章では末尾などに「投資判断はご自身で行って下さい」としばしば注記されているが、本稿の性質もそれに似ている。筆者の治療方針の選択や意思決定は一例であって、他人にも適合すると推奨するものではない。また本文中で病院名や医師名(筆者は両方に満足している)を伏せるが、これは不測の影響を避けるためだ(
来年からいよいよ期待の新制度である「新NISA」が始まる。そこで、新NISAを活用する上で「やってはいけないこと」と「すべきこと」について、最後の総点検をしたい。(経済評論家 山崎 元) ついに始まる「新NISA」は 期待が集まる大型の新制度 来年初から、「新NISA」が始まる。新NISA(少額投資非課税制度)は、後から岸田文雄政権を振り返ったときに、多分最大で、おそらくは唯一の善政と評価されるであろう期待の新制度であり、投資の優遇制度だ。恒久化されていていつでも投資を始められるし、税制優遇の対象期間は無期限だ。また、生涯投資枠が1人当たり1800万円ある。多くの国民にとって、十分な利用上の自由度と金額的規模を持っている。 気分的に慌てる必要はないのだが、後述のように、理屈上は早く始める方がいい。読者の準備は十分だろうか? 本稿では、新NISAを利用する上でのポイントを最終点検的に検討した
書籍のタイトルを考えてみた。いかにもありそうな書名で、似たテイストのものが既に複数あるにちがいない。 もの欲しげな、率直に言って少し下品に思えるタイトルだ。私は自分の本に使いたいとは思わない。しかし、編集者との話が煮詰まって疲れてくると、「このタイトルが売れると思います」と説得されて、これに決めてしまうかも知れない。 そうなると困るので、noteに要点を書いて、このテーマを手放してしまうことにしよう。世はコスパ(コスト・パフォーマンス)、タイパ(タイム・パフォーマンス)の時代だ。書き手にも、読み手にも、要点だけ早く伝わることのメリットは大きい。 私の書く本も含めて、世間の本は無駄に長い。 さて、先日私は息子に手紙を書いた。大学に合格したのでそのお祝いと、父親として息子に伝えたい事柄をあれこれを認めた。偉そうな内容で、読者に紹介するのは少なからず恥ずかしいが、たとえば、以下のようなことを書い
経済評論家で元・楽天証券経済研究所の山崎元(やまざき・はじめ)さんが1月1日、死去した。65歳だった。通夜・葬儀は行わず、近親者のみにて見送った。 ■ご遺族から 山崎 元は1月1日に永眠致しました。 ここに謹んでご報告申し上げます。 長い間、「ホンネの投資教室」を楽しみに読んで下さいましてありがとうございました。 生前に山崎が賜りましたご厚情に、遺族より深く感謝申し上げます。 1月5日 妻・山崎 薫、妹・山崎 由愛 ■山崎元さんの足跡 1981年に東京大学経済学部を卒業。三菱商事や住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)、メリルリンチ証券(現・BofA証券)など12回の転職を経て、2005年に楽天証券経済研究所客員研究員。2023年3月に退職し、経済評論家として活動。北海道出身。 トウシルの連載「ホンネの投資教室」では、15年間にわたり約500本の記事を執筆。世に出回る情報を疑い、自身が正しい
「がん保険は要らない」と言っていた筆者が癌になった。それでも「がん保険は、やっぱり不要だ」と思った。これは筆者としての結論だが、その判断に影響を与えた要素が筆者と同様の方は少なくないはずだ。今回はその要素についてお伝えするので、読者は、ご自身としての結論を得てほしい。 私の癌と治療経過 冒頭から私事で恐縮だが、筆者は昨年不幸にして癌にかかった。ステージIIIの食道癌である。そして、幸いにして治療は順調であり、体力はかなり回復した。現在、再発防止目的で薬剤を投与しており、向こう一年ほど検査なども含めて1カ月に一度程度通院する予定だが、仕事を含めて日常生活に支障はない。 ただし、「不幸」と「幸い」の比較は、残念ながら「不幸」の勝ちだ。最大限に治っても病前の状態までは回復しない。端的に言って、以前と同じように飲んだり食べたりできるようにはならない。飲んだり、食べたりは、本当に楽しかった。ビジネス
無茶な授業依頼 筆者は友人のある大学の先生に頼まれた。 「ヤマチャン、うちの学生に一コマだけお金の授業をして欲しい。一生役に立つようなマネーリテラシーにつながる話がありがたい。難しい話はダメだよ。分かりやすい話で頼むよ」。 大学の一コマは、昨今90分ないし100分だ。典型的な講演の時間に近い。この時間内にマネーリテラシーの基本になる話が一通り出来るか。 「出来る」と、一応筆者は答えるが、率直に言って話は難しくなる。典型的には以下のような構成だ。 これまでのマネーリテラシー研修構成案 1.お金とは 2.人生とお金の関わり(稼ぐ、貯める、増やす、使う) 3.「稼ぎ方」。人材価値とキャリアプランニングの考え方 4.「貯める」。必要貯蓄額の求め方と柔軟なライフプランニング(人生設計の基本公式) 5.投資の意味(お金を働かせる) 6.リスクとリスクプレミアム(リスクプレミアムはどこで生じるか。経済成
先ず、ご質問にコンパクトにお答えしましょう。 ある銘柄の集合の部分集合を取った時に、ある期間においてリターンが優れていることはよくあります。部分集合は銘柄数が減るので、リスクは低くならない場合が多かろうと思われますが、ある期間(例えば過去30年)を取った時に、リターンが高くて同時にリスクが低い部分集合が見つかることは十分あり得ます。世界株に対して、米国の大型株を代表するS&P500が過去にそのような部分集合であった可能性は十分あり得ます。 500銘柄もあれば分散投資は十分だし、一般に大型株は小型株よりもリターン変動がマイルドなので、米国の時価総額の大きな企業が好調だった過去30年間に、S&P500がそのような「好調な部分集合」だった可能性はデータ上大いにあり得ます。 データの解釈としては、それだけのことです。 さて、質問者に対して、私は何の悪意も意地悪な感情も持っていませんが、このご質問の
【回答】45歳は、今後の人生プランを考えるに当たっていいタイミングです。多くの人にとって、大まかに60歳以降をどう生きるかという「セカンドキャリア」について考え始めるべきタイミングだからです。 45歳は、今後の人生プランを考えるに当たっていいタイミングです。多くの人にとって、大まかに60歳以降をどう生きるかという「セカンドキャリア」について考え始めるべきタイミングだからです。 因みに、回答者がセカンドキャリアについて真剣に考えたのは42歳の時でした。この時に考えて、行動を起こしたことは、その後の人生にとって大変良かったと自己評価しています。 プラン、即ち計画を考える意味は、多くの目的にとって、その達成のためには時間が必要だからです。 例えば、60歳で退職するとして、58歳になった時に次にどうするかを考えるのでは、出来ることの範囲がごく小さくなってしまう可能性が大きい。専門分野で独立してフリ
1日死去した経済評論家の山崎元氏は、資産形成に関する正しい情報発信に心血を注いできた。全ての人がお金の心配なく、充実した人生を送ることができるよう導きながら、金融業界の未来のために警鐘を鳴らすことも忘れなかった。トウシルの連載から、読者や金融業界に向けられた言葉を振り返る。 お金の損得よりも大事なものに気づくスイッチは、「怒り」です 「世の中には、お金よりも大事なものがあるのは明らかだが、具体的にどうやったらそれに気づくことができるのか」という問いかけに対し、熟慮の末たどり着いた回答だ。 山崎氏は、住友信託銀行に勤めていた30代の頃、会社や業界の不正を内部告発したことがある。「『怒り』が損得を忘れさせて、考えをリセットするスイッチになった」と振り返る。 一方、「『怒り』はそのままにしておいてはいけない」とも述べ、物事を判断する段階において、怒りを変換させることの大切さにも言及している。 「
やさしい笑顔だった山崎元さん(撮影/小山幸佑) この記事の写真をすべて見る 経済評論家の山崎元さんが1月1日に亡くなった。65歳だった。2023年10月5日発売のAERA増刊に掲載されたインタビュー記事では幼少期から今までの人生、自身の食道がん(ステージ4)について6ページにわたり語っている。山崎さんを偲び、ここに全文掲載する。(年齢、肩書きは当時) 【写真7枚】2023年10月掲載の山崎元さん (とある初心者)この外貨建て金融商品に1000万円、投資しようと思うんですがどうでしょうか。 (山崎AIチャットボット※)ダメです。同じリスクと内容の外貨建てMMFを買ったほうが、為替レートも金利もかなりマシです。1000万円の投資なら、あなたはバカのコストとして手数料を7万5000円も余計に払うことになりますよ。 ※チャットボット…自動会話プログラム *** 「『山崎AIチャットボット』に相談す
経済評論家の山崎 元さん。緊急事態宣言中、誕生日を自宅で祝った。妻・薫さんお手製のフルコースを前に。白ワインもたっぷりと(2021年5月8日)(写真提供・山崎 薫) この記事の写真をすべて見る 2024年1月1日、65歳でこの世を去った山崎元さんと20年近く連れ添った妻の薫さんがメディア初登場。聞き手は楽天証券の投資メディア「トウシル」の武田成央(さだちか)さん(山崎さんと深酒する仲だった)。薫さんに山崎さんの遺産額、「家庭での山崎さん」についても語っていただいた。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】 【メディア初公開】経済評論家、故・山崎元さんの妻・薫さんの顔写真はこちら * * * ※本記事は後編です。前編はこちら (山崎 薫)とりあえず山崎がずっとお世話になっていた税理士さんに連絡しました。納税者が死亡したときの準確定申告をお願いする
「ほったらかし投資」をはじめ山崎元氏の活動は多くの個人投資家のガイドになったが、数々の主張の中にはまだ一般的には受け入れられているとは言い難いものもある。 これらを列挙して追悼したい。順番は個人投資家の意思決定に影響を与えそうな順。 1. 低成長の国だからといって株式のリターンも低いわけではない理屈上、株式には、低成長でもリスクフリー金利よりもかなり高いリターンがあっておかしくないし、マイナス成長でもそれは同じなのだ。 (中略) 将来の低成長自体はその予想が株価に十分織り込まれたなら、後のリターンにとって問題ではない。 https://media.rakuten-sec.net/articles/-/4007 直観的にはかなり受け入れがたい主張の筆頭。行動ファイナンス的には、その直観に抗って合理的に考えられる投資家が得をするのだろう。 2. 外国債券は、国内債券と比べて期待リターンが高いと
独身者がひとりで生きる老後にはどんな課題があるのか。漫画家のよしたにさんは「経済評論家の山崎元さんに賢いお金の使い方3種類と絶対買ってはいけないものについて教えてもらった」という――。 ※本稿は、よしたに『大人ぼっちマニュアル』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。 すぐに人に頼る人がお金で失敗する 「お金を稼ぐのは使うためでしょう? 足りなければ稼げばいい、無駄なお金を使ったなら節約すればいいだけ。貯めこむことばかり大事にしたら、気持ちよく使えなくなるよ。節約しすぎるとその分仕事も小さくなります」 きっぷの良い話し方で、面白くわかりやすくお金の問題についてお話ししてくださった山崎先生。お金との付き合い方を通して常に人生を前向きに楽しむ、「守り」より「攻め」の姿勢について我々に教えてくださいました。
日本にもついにインフレが到来し、「インフレ対策のための資産運用」というテーマへの注目度が高まっている。しかし、金融業界をはじめ、世間が騒ぐように、「インフレでお金が目減りしないように資産運用しないと大変だ」というのは正しいのか。(経済評論家 山崎 元) 資産数千万円から2億円程度の 「半端なお金持ち」の問題 インフレ対策のための資産運用というと、金融資産が数千万円から1億~2億円といった「半端なお金持ち」くらいが最も関心を持ちそうなテーマだ。彼らくらいの資産額だと、インフレによる資産の目減りで将来の生活が変わるかもしれないと思うのだろう。本稿は主にこの層の読者のために書く。 他方、資産数億円以上の富裕層は多少のインフレになっても生活には余裕があるだろうし、逆に資産数百万円の方は、効果の上で資産運用によるインフレ対策を考えるのは時間の無駄だ。「あなたには関係ない」と言っておくのが、一見冷たい
新NISAは、良い環境で良いタイミングで良い制度が始まってよかったなあと思います。 (これを書いている人は、かなり昔からインデックス投資をしていた人です。) よかった事制度の開始時期が良かった2024年1月から新NISAが開始されましたが、この半年間の株式の上昇はあまりにも順調です。 1月から全世界やS&P500を積み立て始めた方は+10%程度のリターンとなっています。 マイナスから始まると投資をやめてしまう方も出ると思いますが、まずはプラスから始まったことは投資を継続するためにはとても良かったと思います。 良い投資信託があったオルカン(もしくはS&P500)で良いよって雰囲気があったことはとても良かったです。 他の商品も良いって意見もあると思いますが、投資初心者の方が投資を始めるのに、ひとまずこれを買っておけばOKという商品があったことはとても良かった。 良いネット証券が複数あった楽天証
【質問】 初めまして、山崎様。弁護士・公認会計士・FP1級のタックスローヤーです。全世界株式へのほったらかし投資など、共感し、実行させていただいているところが多いです。 1点だけ考えが異なるのが、マイホームです。よくある賃貸・持家には、以下の議論が欠けており、実はお金がない人ほど、100年持つ断熱気密、耐震性を備えた高性能住宅を購入した方がいいと考えております。 ・設備投資の経済性計算のアプローチからすると、一生家賃より35年で終わる住宅ローンの方が、投資案として割引現在価値(NPV)が高くなりやすい ・賃貸だと、大家の利益、住宅ローンより高率な不動産ローンが割高な差額原価になる ・賃貸仕様という言葉があるように、賃貸物件の性能は低い ・帰属家賃は非課税であり、空室リスクもない ・家を買うほどのカップルはある程度の収入・子のかすがい効果で離婚の確率は統計的に低い ・住宅ローンが終わった家で
2024年元日に惜しまれつつ亡くなられた山崎元氏との共著「ほったらかし投資術」(山崎元・水瀬ケンイチ著)の今後の取り扱いについて、出版社である朝日新聞出版の書籍編集部さんとミーティングを行いました。 その結果、「ほったらかし投資術」について、以下の3点を意識合わせしました。 ①これからも山崎氏との「共著」として大切にしたいこと ②「ほったらかし投資術」を水瀬に公式継承すると山崎氏から託されたこと ③今後の内容更新は水瀬が行うが、印税のうち半分は今後ご遺族に支払ってほしいこと ①これからも山崎氏との「共著」として大切にしたいこと 今月、山崎さんが亡くなられたあと、奥様と直接お話する機会があったのですが、山崎さんは「ほったらかし投資術」をとても気に入っていて、金融関係者以外のプライベートな知り合いには本書を渡して回っていたと仰っていました。また、編集さんによれば、山崎さんは入院中も本書を医者た
お金を増やすには賢くなければならない。では具体的にどうすればいいのか。金融機関の甘言に厳しく対峙し、個人投資家へのアドバイスを送り続ける経済評論家の山崎元氏。特集『新NISA 徹底活用』(全15回)の#7では、その山崎氏が2024年からスタートする新NISAの賢い活用法を徹底指南する。(ダイヤモンド編集部 小栗正嗣) 大盤振る舞いとなった新NISAの正しい使い方 鍵は「長期でダメなものは、短期でもダメ」 2024年からNISAの制度が大きく変わる。これまであった、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAが、一つの「NISA」になって、規模も使い勝手も大幅に改善される。結果的に、投資家にとって期待以上だと褒めていい出来映えだ。一方、金融・運用業界にとっては、金額的な規模が大きくなったことに加え、顧客1人が一つの金融機関にしかNISA口座を持てないので、無視できないビジネス機会だ。既に
diamond.jp media.rakuten-sec.net 経済評論家の山崎元さんが亡くなられた。 食道がんで闘病中であることを公表されていたし、メディアに出演されている姿をみて、痩せてしまったなあ、と心配してもいたのだ。 山崎さんは、金融機関や保険会社が「売りたい(手数料が稼げる)商品」に比較的忖度せず、「個人投資家にとって、(長期投資ができるのであれば)比較的低リスクで低コストのインデックス投資」をずっと勧めていた。 各種保険の必要性にも疑問を投げかけていた。 それは山崎さん本人が癌で闘病されていたときも変わらなかった。 アメリカならともかく、日本においては、「お金がないから標準医療を受けられない」ということはないし、高額医療も手続きをすれば一定額以上は還付される仕組みになっている。僕自身は、学生時代に寮で息苦しい思いをしたこともあり、入院するなら個室がいいなあ、と思うので、躊躇
経済評論家の山崎 元さん。正月の昼間から上野の「せんべろ」系酒場へ。夫婦2人で(2019年1月5日)(写真提供・山崎 薫) この記事の写真をすべて見る 忖度(そんたく)ゼロの辛口経済評論家、山崎元さんが65歳でこの世を去ったのは2024年1月1日。20年近く連れ添った妻の薫さんに、元さんとの暮らしやお金について語ってもらった。聞き手は楽天証券の投資メディア「トウシル」の武田成央(さだちか)さん。山崎さんと朝まで飲み歩く仲だった。思い出話とともに場は盛り上がった。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】 【メディア初公開】経済評論家、故・山崎元さんの妻・薫さんの顔写真はこちら * * * (武田)「なぜ楽天証券はこんな人を雇うんだろう」と思ったことがあります。 ロボアドバイザーが資産配分を提案する「楽ラップ」の発表会なのに、楽天証券経済研究所の研
自民党女性局のフランス研修が炎上中だ。エッフェル塔を背景にポーズを取った写真が問題視された松川るい女性局長らは、「エッフェル姉さん」とやゆされている。彼女たちは何を間違えたのだろうか?(経済評論家 山崎 元) 松川るい、今井絵理子両議員らが フランス視察で「炎上」 自由民主党の女性局長・松川るい参議院議員、同局長代理の今井絵理子参院議員らが、7月下旬のフランス視察旅行中にSNSへ投稿したエッフェル塔の前でポーズを取った記念写真がきっかけで批判され、いわゆる「炎上」に陥った。 「これは党費を使った観光旅行ではないか」「党費には政党助成金を通じて税金も含まれているはずだ。税金の無駄遣いだ」等の批判であり、エッフェル塔を背景にした写真でポーズを取る団長格の松川氏は、ネット界隈では「エッフェル姉さん」などと揶揄(やゆ)されている。 その後、3泊5日の旅程中に研修的な時間が合計6時間しかなく、ほとん
「18歳以下に一律で10万円の現金を給付」するとされていた政策案が、自民・公明両党の幹事長会談を経て変容した。5万円分は教育関連に使途を限定したクーポンに姿を変えてしまったのだ。この「クーポン」と、自民党が主張している「所得制限」の導入が、いかに不公平で非効率で頭が悪すぎるかをお伝えしたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元) 「現金10万円」のはずが 5万円はクーポンに化けた 18歳以下の国民に一律で10万円を給付する――。自民党と公明党の間でその調整が本格化している中、その是非が議論を呼んでいる。 いわく、「なぜ18歳なのか。19歳はだめなのか?」、いわく「裕福な家庭にも現金を給付するのは無駄だ」などの批判の声がある。 「18歳以下に1人10万円一律給付」は、矢野康治財務次官が「バラマキ合戦」と評した自民党の総裁選の議論に始まり、さらに衆議院議員選挙にあって各党の公約
インデックスファンドは万能ではない 近年、投資の方法として内外のインデックスファンドを使う書籍を何冊か出し、対外的に発言する場でもインデックスファンドを勧める機会が多いことから、筆者は、「インデックスファンド万能主義者」のような印象を持たれることがあるらしい。「インデックスファンドにも幾つか欠点があります」と言うと、驚かれることがある。 現実の運用対象商品として、アクティブファンドよりもインデックスファンドの方が好ましいことは、論理の上でも、データの上でも言えることだし、多くの投資家の個別株投資よりは、インデックスファンドの方がリスク・リターンの効率が好ましいと評価できる場合が多いのも事実だろう。 しかし、比較上の善し悪しは相対的なもので、現存の商品としてのアクティブファンドが相対的に悪すぎるだけで、それがインデックスファンド側に欠点がないことを意味しない。今回は、インデックスファンドの弱
投資をしなければ資産は目減りするだけ 新NISAが始まってから「貯蓄から投資へ」とメディアがやたらと煽っています。しかし、具体的に「投資」といってもなにをすればいいのでしょうか? 多くの人は株を買えと簡単に言いますが、どの株を買ったらいいでしょう? そういった超初心者が疑問に思うことにすべて本稿で答えていきたいと思います。 まず、そもそもなぜ投資をしなければいけないのかという点について解説します。日銀の金融緩和やロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰などによってインフレ期待が完全に定着しました。インフレとは、お金の価値が目減りする現象です。 たとえば、年率3%のインフレの場合、100万円の貯金は翌年97万円の価値しか持ちません。つまり、現金やタンス預金、普通預金で保存していてもお金の実質的価値は目減りしてしまうということです。 100万円で買えるものはどんどん少なくなる 実は、イ
記者会見するジャニーズ事務所の東山紀之氏(中央)、藤島ジュリー景子氏(右)、井ノ原快彦氏 Photo:JIJI ジャニーズ事務所が、創業者である故・ジャニー喜多川氏の性加害問題について記者会見を開いた。筆者は、ジャニーズ事務所の対応や会見の発表内容について、「最適解」から幾つかの点で外れていたと考える。大不祥事を起こした企業のトラブルシューティングの一例として、ジャニーズ事務所はどうすべきなのかを考えてみたい。(経済評論家 山崎 元) ジャニーズ事務所の記者会見 合格点には「未達」だ 9月7日の午後、注目度では今年最大のイベントと言っていいジャニーズ事務所の記者会見が行われた。創業者の故・ジャニー喜多川氏の性加害問題が大きく取り上げられるようになってから、事務所前社長の藤島ジュリー景子氏が短時間の動画で謝罪しただけで、延ばしに延ばしてきた記者会見であった。 この間、第三者委員会による調査の
岸田文雄首相が米ニューヨークでの投資家向け講演において、「資産運用特区」を創設する構想を公表した。好意的に報じる記事も多いが、筆者は目の前が暗くなるようながっかり感を覚えた。根本的な勘違いに基づいた構想であり、絶望的な落第点というしかない。その理由をお伝えしたい。(経済評論家 山崎 元) なぜ「今」日本株の勧誘? 資産運用特区はツッコミどころ満載 岸田文雄首相は9月21日の午後(日本時間22日未明)に米ニューヨークで投資家向けに講演した。過去に成果があったとは思えないし、支持率の上昇につながっているようにも見えないのだが、岸田首相は外交好き・外遊好きである。この度は、最重要な外遊先だと彼が思っているに違いない米国を訪れて、現地の投資家向けに講演を行った。 その話の目玉が、日本における資産運用特区の設置構想だと報じられて、筆者は、目の前が暗くなるようながっかり感を覚えた。 平たく言うと、彼は
ガソリン補助金の延長が、岸田政権らしい「ぐずぐず」の展開で決まった。しかし、合理的に考えれば、補助金はもう「やめ時」ではないか。その理由をお伝えする。(経済評論家 山崎 元) いかにも岸田政権らしい 補助金延長の「ぐずぐず」 ガソリン価格が上昇している。原油価格や円安の影響もあるが、政府の補助金が予定通り縮小されていることの影響が大きい。このままだと1リットル当たりで200円を超えてくる可能性がある。 補助金の縮小は「予定通り」であり、これに伴いガソリンの小売価格が上昇することは国民に周知されていたはずなのだが、ここにきて不満が高まっている。「対策」を求める声があり、岸田文雄首相は、9月で終了するはずだった補助金の年末までの延長を決め、さらに補助金をかさ上げすることにした。そして、今後、補助金はさらに延長される可能性が大きい。 自民党内では、国民がメリットを「実感できる」措置、効果が「目に
岸田文雄首相の看板政策とされた「新しい資本主義」は、もともと中身がなかったが、「異次元の少子化対策」という言葉に取って代わられた。そこで「新しい資本主義」という言葉を正式に「オワコン」にしてしまおうという提案を考えたところ、「資本主義」という言葉もなるべく使わないように自制した方がいいという考えに至った。その理由をお伝えしたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元) 忘れられた看板政策 「新しい資本主義」 岸田文雄氏が首相就任時に掲げた看板政策である「新しい資本主義」の影が薄い。正確には、政策として力の入った看板だったというよりは、言葉として調子のいい「フレーズの看板」だったのだろう。それでも、岸田首相は、昨年中は思い出したように、「新しい資本主義」を口にしていた。 ところが「異次元の少子化対策」という、中身は分からないものの勇ましい響きの言葉を思いついて、岸田首相はすっか
就任100日を経過した日本銀行の植田和男総裁はこれまで、「現在の金融政策の弊害があることも知っているが、バランスを考えてこう判断した」という論法でコミュニケーションを取ってきた。そんな「何でも知っているけれども、何もしない」と現在世間に思われている植田総裁だが、「就任100日の成果」は100点満点中の何点か?(経済評論家 山崎 元) 日銀・植田総裁が就任100日経過 「ハネムーン期間」は日本に不要 植田和男氏が日本銀行の総裁に就任して約100日が経過した。一説によると、総裁交代後「100日」程度はメディアが新総裁への批判を控える「ハネムーン」の期間とすることが慣例であるらしい。100日が経過したことで、今後、植田総裁に対する批判や不満が噴出するのではないかとの観測も一部にはある。 新しいトップとジャーナリストの「ハネムーン」期間が最も強調されるのは、米国の大統領と記者との関係ではないだろう
やまざき・はじめ/1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業。現在、楽天証券経済研究所客員研究員。株式会社マイベンチマーク代表取締役。東京大学を卒業後、三菱商事に入社。野村投信、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一証券、明治生命、UFJ総研など、計12回の転職を経験。コンサルタントとして資産運用分野を専門に手掛けるほか、経済解説や資産運用を中心に、メディア出演、執筆、講演会、各種委員会委員等を務めた。2024年1月1日、永眠。 山崎元のマルチスコープ 旬のニュースをマクロからミクロまで、マルチな視点で山崎元氏が解説。経済・金融は言うに及ばず、世相・社会問題・事件まで、話題のネタを取り上げます。 バックナンバー一覧 ガーシー議員が本日3月15日に正式に「除名処分」となる見通しだ。個人的にはガーシー氏を肯定的に評価する気持ちは全くないが、除名は本当にいいことなのだろうか。
岸田文雄首相が打ち出した減税案が不評だと話題になっている。確かに、誰か悪意のある人がアドバイスしたのではないかと思うくらい多方面にダメだ。減税自体は国民も求めているのに、岸田首相は何を間違えているのか?(経済評論家 山崎 元) 不評の「岸田減税」 支持率低下で最低に 岸田文雄首相の内閣支持率が低下している。各所の調査で下落が目立つが、分かりやすいのは10月27〜29日にかけて行われた日本経済新聞社とテレビ東京による調査だろう。支持率は33%と岸田内閣が発足して以来最低となり、不支持率は59%にも及んだ。調査の対象日は岸田首相が減税案を打ち出してからのものであり、不支持の主な理由は「政策が悪い」(52%)である。 どうやら、彼が独自に打ち出すことにこだわった減税案が不評であるらしい。物価高対策としての所得税減税が「不適切」とする意見が65%にも上っている。 一方、日経新聞の同調査で、上ブレし
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