小さいころ、KGB捜査官はヒーローだった。自分がなってみて、「魚は頭から腐る」が真実と知った。 こ... 小さいころ、KGB捜査官はヒーローだった。自分がなってみて、「魚は頭から腐る」が真実と知った。 このインタビューも90年7月に行われた。KGBが、KGBという名前で存在した時のものである。現在は組織の改編が行われ保安省という名前に変わったが、決して消滅したわけではない。 ツォーポフとはモスクワ市内で待ち合わせて、市内の協同組合の外貨専門レストランへ入った。店の入口で、彼が一瞬、躊躇する。「外貨払いのレストランになんて、一度も入ったことがないから……」。外貨をもたない一般市民には、外貨のレストランは入ることさえかなわない。外貨をもっていたとしても、一回の食事の代金は、一般労働者の平均収入の半年分にも相当する。そういう場所へ足を踏み入れることにためらいをみせるツォーポフの横顔は、素朴で気真面目な好青年としかみえない。180センチを軽くこえるすらりとした長身。端正な顔だち。礼儀正しいふるまい。
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