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新内閣発足
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ヒトラーからフセインまで20世紀の絶対権力者の室内装飾を分析した英国人作家ピーター・ヨークが、トランプの「ホワイトハウス大改造」について論じる。トランプの美的センスは、「独裁者スタイル」の法則に見事なまでに合致していた──。 世界中の絶対権力者が好む美学 すべてはオーバルオフィスと呼ばれる大統領執務室の中で、金色の塊が次々と増殖していったことから始まった。その部屋は、もともとは控えめで上品な一室だ。1800年に完成したホワイトハウスのつつましい建築スタイルを物語っている。 ホワイトハウスの周りに広がるワシントンの街並みも、意図的に高さを抑えた「クラシック」な様式で統一されている。「王のいない」共和国としての威厳を示すために建設された首都なのだ。 それゆえ、私のようなデザインおたくはトランプ政権2期目が始まって早々、その大統領執務室がどんどん変わっていく様子を仰天しながら見守っていた。 ウク
安倍元首相が殺害された事件の裁判がついに始まり、英誌「エコノミスト」も山上被告の証言や公判の行方に注目。なかでも加害者である山上に同情を示す日本人が少なからずいることは衝撃的だとして、その背景を報じている。 人々の同情心が量刑に与える影響 安倍晋三元首相が殺害された衝撃の事件から3年以上が経った2025年10月28日、殺人罪などで起訴された山上徹也被告(45)の裁判員裁判が始まった。 法廷に姿を現した山上は、黙って座り、視線を落としていた。検察側が事件の詳細と起訴状を読み上げると、山上は静かに、しかしはっきりとした口調で、「すべて事実です。私がやったことに間違いありません」と述べた。 街頭演説中だった安倍を山上が白昼堂々と銃撃した恐ろしい光景は、いまなお日本国民の脳裏に焼き付いている。だが事件後、大勢の日本人がその暴力行為を非難した一方、驚くほど多くの人々が山上とその犯行動機に同情を示した
抹茶の人気が止まらない。いまや海外で爆発的なブームとなり、ドリンクからスイーツまであらゆる製品に抹茶が使用されている。その一方で、粗悪品が市場に出回り、急増する需要に追いつけず抹茶不足の悲鳴をあげるのは日本の茶業界だ。 日本では800年以上前から、抹茶をたしなむ伝統を築き上げてきた。それは「和敬清寂」の精神に基づいている。だが世界的な抹茶ブームが起こると、たった数年でその精神は根こそぎ失われ、不純なものへとすり替わった。 世評の高い日本の抹茶製造会社は、アマゾンやフェイスブックマーケットプレイスなどで通常の小売価格をはるかに上回る法外な価格で抹茶を転売する多数の業者といたちごっこを繰り広げている。一方で、三流品の粉末茶を詰め、45ドルの偽シャネルバッグばりの価格で販売したり、くすんだ黄色になるまで細かく挽いた普通茶を詰めたりした、偽物を売りさばく茶商もいる。 数世紀をかけて名声を築いてきた
ピザの経済学:店には良いビジネス、客にはお得な食事 シェフのワイリー・デュフレーヌ氏は、数十年にわたり前衛的なオート・キュイジーヌ(高級料理)の最前線で働き、分解し再構築したエッグベネディクトや泡状に仕立てたフォアグラのキューブなど、コンセプチュアルな料理を考案してきた。いま彼は、世界中の食事客にとって、はるかになじみ深い料理に注力している。ニューヨークスタイルのピザだ。 デュフレーヌ氏は2023年にニューヨーク市マンハッタンのフラットアイアン地区に「ストレッチ・ピザ」を開店し、スライスピザとホールピザを提供し始めた。その後、さらに2店舗を展開している。ストレッチのプレーンチーズのスライスは、1ドルピザ店で最後に食べたものを思い出させるような見た目をしている。トマトソースとモッツァレラチーズの大きな三角形のクラストは、片手で食べられるように折れるほど薄くしなやかでありながら、持ち帰りにも耐
10月30日の米中首脳会談で、両国は互いに振り上げた拳をいったんは下ろすことで合意。貿易戦争は一時停戦となった。だがそのディールの裏では、「トランプは米国の国益を犠牲にしてまで習と手打ちするのでは」という疑念が、ワシントンの対中専門家の間で渦巻いていた。トランプはいったい何を中国に売ろうとしていたのか? 注目された米中首脳会談を終えたドナルド・トランプ大統領は、習近平国家主席とのディール(取引)で望んでいたものの大半を手にした。とはいえ、その合意はトランプ自身が招いた危機から彼を救い出すにすぎない。 むしろ懸念されるのは、トランプの対中取引に繰り返し見られるパターンだ。彼は戦略的に疑わしいディールを追い求めるあまり、いずれ米国の国益を犠牲にしてしまうのではないか——。 アジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催された韓国での今回の首脳会談の結果、とりあえず米中間の緊張激化は回避された。中国
かつて挑戦と失敗を繰り返した北米市場で、ユニクロはいま、驚異的な躍進を遂げている。なぜ同社の服はこの地の若者たちの心をつかんでいるのか? 米国に強い愛着を持つ会長の柳井正が、この成長市場に対する率直な思いを米紙「ニューヨーク・タイムズ」に語る。 過去最高の業績 ユニクロの親会社であるファーストリテイリングの創業者であり会長兼社長の柳井正(76)にとって、米国は極めて大きな楽観と懸念の両方をもたらす存在となっている。 近年、手頃な価格で高品質なユニクロのベーシックウェアは、米国の消費者、特に若者たちの心をつかみ、急速な事業拡大を後押ししてきた。いまや米国は、ファーストリテイリングが掲げる成長戦略の柱となっている。 柳井は、戦後の日本で米国文化にどっぷり浸りながら成長した。コンバースのスニーカーを愛用し、GAPのようなカジュアルウェアブランドからユニクロの着想を得たという。米国市場の制覇は、い
日本の老舗ブランド「オニツカタイガー」のスニーカーが、世界的に、しかも若い世代のあいだで人気急上昇している。その理由は何なのか。オニツカの飛躍ぶりを、米経済メディア「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」が追う。 缶入りの抹茶、モンチッチのガチャガチャ、セブン・イレブンのおにぎりなど──。こうした土産品と併せて、流行りに敏感な訪日観光客が帰国直前、スーツケースに詰め込むアイテムがまたひとつ増えている。それが、フットウェア業界に衝撃を走らせているのだ。 そのマストアイテムとは、創業から76年を迎えた日本のシューズブランド「オニツカタイガー」のスニーカーだ。 この薄底の運動靴は、何十年にもわたって忠実なファンを獲得してきたが、いま新たに人気が爆発している。世界中からの訪日観光客が急増し、それに続いて、何かと日本絡みのものがネット上でもてはやされているおかげだ。 最新の決算報告によれば、オニツカタイ
2010年に発売された『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)は、44の言語に翻訳され、発売部数は全世界で1400万部を突破。著者の近藤麻理恵の影響力はすさまじく、そのメソッドを「好むと好まざるにかかわらず、彼女は私たちの家の片付け方やズボンのたたみ方を変えた」と英紙「テレグラフ」は書く。近藤の会社はいま、世界50ヵ国以上に「こんまりメソッド」を習得した専門家を擁しているという。 そして2025年秋、「こんまりが帰ってきた」。通訳である飯田まりえとの英語での共著『Letter from Japan(日本からの手紙)』(未邦訳)を携えて。10月21日に発売された同作で近藤は、自らの人生を形作ってきた日本の伝統を見つめ直す。
「トランプ2028」の赤い帽子が波紋を呼んでいる。元側近のスティーブ・バノンが語った「三選計画」、そしてトランプ本人の「やってみたい」発言。憲法で禁じられた三期目をめぐり、ワシントンがざわついている。 「計画がある」 「トランプは2028年も大統領になる。人々はその現実を受け入れるべきだ」 スティーブ・バノンがこう語ったのは、英誌「エコノミスト」のインタビューだった。トランプ前政権の首席戦略官を務め、詐欺罪で有罪となったこの元側近は、「憲法の二期制限を回避する計画がある」と明言したと米紙「ニューヨーク・タイムズ」が伝えた。
米国のドナルド・トランプ大統領が訪日し、就任したばかりの高市早苗首相と首脳会談した。今回の会談は、外交の観点からどう読み解けるのか。元朝日新聞政治部長の薬師寺克行氏が解説する。 おみやげは、安倍晋三元首相の使っていたゴルフパターに、松山英樹選手のサインが入ったゴルフバッグ。昼食のメニューは、米国米を使ったリゾットに、米国産牛肉のステーキ。 高市早苗首相は笑みを絶やさず、米軍の空母では、米兵を前に喜びを露わにして飛び跳ねた。官僚が用意した高市の発言は、訪日したドナルド・トランプ米大統領を礼賛する言葉であふれていた。 トランプ訪日の成果物として残されたのは、民間企業を含めた数々のビジネスに関する覚書などの文書だった。この3日で、米国はいくら稼いだのだろうか。これ以上ないほどのもてなしに、トランプが満足したことはいうまでもなかろう。
人類は古代より麻薬を作り、使い、乱用もしてきた。麻薬が文化的に認められる場合もあれば、危険だと警告される場合もある。では古代人は、そんな麻薬とどう付き合っていたのだろうか。古今東西変わらない人間の欲望に関心を抱く、イスラエル紙「ハアレツ」の考古学記者テリー・マデンホルムがその歴史をたどる。 麻薬の使用と乱用は、はるか昔からある。大麻にいち早く夢中になった民族が、古代エジプト人だ。大麻は古代エジプトで、緑内障や発熱の治療にも用いられた。 けれども、大麻使用の痕跡でいまのところ最古のものは、イスラエルにある。イスラエル南部のネゲブ砂漠で発見された2700年前の祭壇だ。 かつてテル・アラドの神殿内に設置されていたその祭壇から明らかなのは、古代イスラエル人が、大麻によって“神”を経験する儀式に慣れ親しんでいたということだ。大麻は祭壇で焚かれ、その精神活性化合物で信者はハイになっていたようだ。 いま
新たに発表された研究結果によると、1日に同じ歩数を複数回の短い散歩で稼ぐよりも、1回あたりの散歩を長くするほうが、健康への効果が大きい可能性があるという。 これまで100を超える研究で、歩数が多い人ほど認知症や2型糖尿病などのリスクが低いことが示されてきた。だが、その歩数を「どのように稼ぐのが最も効果的か」については、はっきりしていなかった。 そんななか、10月27日に医学誌「アナルズ・オブ・インターナル・メディシン」に掲載された今回の論文は、歩数をまとめて稼いだ場合と分散した場合で、効果に違いがあるのかを検証した初めての研究の一つである。
【今回のお悩み】 「お金はほしいけれど、偉くなりたくありません」 一生同じ給料のままでは困る。けれどその一方で、現場で働くことにやりがいを感じていて、管理職に出世したいとは思えない。そんなジレンマをどうやって解決したらいいのでしょう? アドラー心理学に詳しい岸見一郎先生に聞きました。 仕事は一生懸命するものだという価値観を持った人にとって、「偉くなりたくない」人は向上心がないように見えるかもしれません。 「お金はほしいけれど、偉くなりたくない」ということが、「仕事の責任が増すので昇進したくない」という意味であれば、「偉く」ならなければ給料は上がらないではないかと、簡単に一蹴されそうです。そもそも、昇進することを成功することだとみなしている多くの人は、偉くなりたくないという価値観を理解することができないでしょう。 しかし、多くの人が共有する常識的な価値観が正しいとは限りません。「偉くなりたく
千年も読み継がれている『源氏物語』をこよなく愛する筆者。しかし、作品を書き上げた紫式部に関してわかっていることは、ほとんど何もない。本名すら不明の多才な女性は、どんな思いをしながら、何を考えながら、ハッピーエンドとはいえない複雑な恋愛物語を執筆したのか──紫式部の「名残」を探しに、筆者は現代の京都へ向かう。 『源氏物語』に再びハマった理由 4月半ば、私は日本へ飛んだ。11世紀の日本の小説『源氏物語』にすっかり魅了されていたのがその理由だが、同時に、祖国から逃げ出したくてたまらない思いもあった。 文学が真価を発揮するとき、読者を燃え盛る「いま」から遥か高みへと運び上げ、足元に時の壮大なパノラマを広げて見せてくれる。私たちは雲の上から、季節と歴史の循環を眺め渡す。そして、人間が常にこの世界を炎上させずにはいられない種族であるという事実に、ほろ苦い慰めを見出すことができるのだ。 なぜいまこの時期
国際協力NGOのキャンペーンに、AIが生成した「貧困」や「被害者」を描いた画像が使われている。近年、こうした“偽の貧困”の画像が、ソーシャルメディア上の啓発活動や募金広告に静かに浸透している。 スイスの倫理的映像支援団体のノア・アーノルドは、「いまやどこでもAI画像が使われている。積極的に利用する団体もあれば、試験的なところもある」と、英紙「ガーディアン」に語っている。 国際保健分野の画像表現を研究するアントワープ熱帯医学研究所のアルセニー・アレニチェフによれば、AI生成の画像は「貧困の視覚的文法」を再生している。つまり、AIが過去の写真や広告から“貧困の見せかた”を学び、それを繰り返しているという。 実際、彼が収集した100点以上の画像には、空の皿を持つ子供や涙を浮かべた花嫁姿の少女など、ステレオタイプをなぞった構図が目立つ。彼は医学誌「ランセット・グローバル・ヘルス」でこれを「貧困ポル
課題図書は読んでこない、だから授業で発言もしない。それどころか授業に出なくても「A」がとれる……。ハーバード大学はこうした問題を抱えているだけでなく、実はトランプ政権の標的となる前から「自分の意見を自由に発言できない雰囲気」がたしかに漂っていたと、内部の報告書が認めている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。 読まない、聞かない、話さない ハーバード大学は入学するのが最も難しい大学のひとつだ。例年、志願者の97%は不合格になる。 ところが、一度入学してしまえば、多くの学生が授業を欠席したり、課題図書を読んでこなかったりする──ハーバード大学の教員7人による「教室の社会的規範委員会」は、1月に発表した同大の学習文化に関する報告書でそう指摘し、物議を醸している。 授業に出席したとしても、学生たちはスマホなどのデバイスに集中し、積極的に発言しようとしない。なかには、他の人に反対されることを恐
世界を不幸にする「正義感」 ──新著『私労働小説 負債の重力にあらがって』(KADOKAWA)の第6話「督促ガールの手記」は、貸金業者で督促業務をやっている部署が舞台です。主人公は当初、督促の電話をかけることに抵抗を感じていますが、同僚や上司から、「悪いのは借りた金を返さないほうだ」「返す約束をしたらそれを守らないと」と言われて、取り立てをしている自分のほうが「正義」だと思うようになります。 『負債論 貨幣と暴力の5000年』(以文社)の著者デヴィッド・グレーバーも批判した、債務者への暴力的な督促を正当化する正義感についてはどう思いますか? こういう類の正義感は、社会のあらゆるところに浸透しています。だからこそ、いま世界は不幸なのかもしれないですよね。 2010年から緊縮財政をやってる英国では、あらゆるインフラが老朽化しています。学校の壁が崩れてきて新学期になっても子供が通えないなんてニュ
イーロン・マスクがいま最も力を入れている分野、それがAIだ。競合他社に勝つためなら、どんな手を使おうがお構いなし。彼が生み出したのは、“誰でも”性的な会話ができるセクシーAIだった。 金髪ツインテールの女性キャラクターが、黒いオフショルダーのゴスロリドレスと網タイツ姿で画面越しにこちらを見つめ、指示を待っている。 「あらベイビーちゃん、相変わらず刺激的なのがいいのね」 そうつぶやくように言うと、指示に従ってくるりと回ってジャンプした。 「ベイビーちゃん、そっちにもっと体を近づけるよ。あたしの唇で、あなたの唇をひと撫で。このスイートキスは、ぜんぶあなたのもの」 X(旧ツイッター)に投稿されたある動画で、彼女はこう続ける。 「もう1回感じてみる? それともこの火を消さないようにする?」 「Ani(アニ)」は、イーロン・マスク率いるAI開発会社xAIが2025年7月に発表した、露骨な性的表現を口
英「サンデー・タイムズ」の記者ウィル・ロイドは、10年間で8280時間を読書に費やし、悟った。「時間の無駄だった」と。 人は本を読めなくなっている。だが、「それが何だというのか」と彼は問う。読んだ本の内容は歳をとるにつれて忘れてゆき、読書が好きだからといって共感力が高まるわけでもない。文明が崩壊しようが、真理を見失おうが、人は「読む」ことを捨て、即時的な「楽しさ」を追求してしまうのだろうか……? 皆さんのお子さんは、おそらくもう本など読めなくなっていることでしょう──これは私の見解ではない。オックスフォード大学の英文学教授ジョナサン・ベイト卿の言葉だ。 数十年間にわたって、本好きのティーンエイジャーたちにチャールズ・ディケンズの『荒涼館』を課題図書として読ませてきた彼は、最近になってあることに気がついた。「多くの学生は、1週間に小説を3冊読むどころか、3週間かけても1冊も読み通せない」 も
日本の金融人材が抱えるジレンマ 2025年のはじめ、東京を拠点とするあるコンプライアンス・オフィサーは、自らの仕事に見切りをつけようとしていた。日本に進出を試みていた資産運用会社での仕事の話が、2ヵ月間にわたる苦しい交渉の末に流れてしまったのだ。 ところが、2週間も経たないうちに、彼のもとにはヘッジファンド、仮想通貨関連企業、そして投資会社から、年収3000万円近い仕事のオファーが殺到した。ちなみに、彼はこのとき69歳だった。 このコンプライアンス・オフィサーが経験したことは、2つの事実を浮き彫りにしている。
米経済メディア「ブルームバーグ」のアジア担当コラムニストが、電気自動車の安全面で、世界は中国を見習うべきだと論じている。その理由とは何か──。 中国政府は検閲だ、価格戦争だと、ありとあらゆる理由でテック企業を厳しく取り締まってきた実績がある。 だが今回の政府の取り組みは、誰もが支持すべきものだ。電力が切れるとうまく開かなくなるドアのついた電気自動車(EV)を路上から駆逐する試みである。 この努力は、中国を代表するセダン型EVが絡んだ死亡事故が起きたあとで、新たに緊急性を帯びている。 中国南西部の成都市で10月13日に発生したこの事故が、国民的な話題になっているのだ。中国では自動車事故が珍しいという話ではもちろんない。 燃え上がる車体や、車内に取り残された運転手を何とか助けだそうとする通りすがりの人たちの勇姿を別にして、注目が集まったのは、テック企業「小米集団(シャオミ)」の自動車が絡んだ事
クマとの戦争 クマとの共生が課題になっているのは日本だけではない。イタリア北部のトレント自治県では、クマが人間を攻撃するのみならず、人間がクマを攻撃する事件も起こり、まさに人間とクマの戦争とも呼べる事態になっている。 イタリアの公共放送「RAI」などによると、トレント県における直近の“クマ戦争”は2020年から始まった。 2020年6月、ハイカーの親子をクマが襲撃。親子は重症を負った。数日後、襲撃した個体が特定され、県知事はこの個体の殺処分命令を出したが、動物保護団体の異議申し立てにより、殺処分は停止に。代わりに無線首輪が装着された。しかしその後、故障により無線首輪は機能しなくなったという。 2023年3月には、別の個体によって1人が負傷。続いて2023年4月には、当時26歳のジョギング中の若者が2020年にハイカー親子を襲撃した個体と同一の個体に襲撃され、命を落とした。この事件後、地元住
食事とは古くから人間にとって、単なる栄養補給にとどまらない、コミュニケーションと交流の場だった。だがいま、世界中で「独りの食事」が急速に増えている。それは私たちにどのような影響を及ぼすのだろうか。 独紙「南ドイツ新聞」のジャーナリストが考える。 孤独なラーメン店 内向的な人々の楽園は狭い。私は、ベルリン・フリードリヒスハインのとあるラーメン店で、約70センチ四方の木製仕切りの内壁を見つめている。 インスタグラムとTikTokで、この場所は、「本格的な日本のラーメン店」「内向的な人々の楽園」と称賛されている。 自動券売機で注文し仕切り席に着くと、数分後に仕切り内の暖簾の間からラーメンが差し出される。従業員からの問い掛けもなければ、他の客と視線を合わせることもない。 論評とグーグル評価を信じるならば、人々がこの店に来るのは、誰しも認める素晴らしいラーメンを食べるためだけではない。独りで食事をす
再エネ競争から脱落する米国、優位固める中国 米コロラド州デンバーの北に広さ約12万平方メートルの空っぽの倉庫がある。ここは最先端製造業の象徴になるはずだった。同州のジャレッド・ポリス知事は、カリフォルニア州のリチウムイオン電池新興企業アンプリウス・テクノロジーズが電池工場を建設する計画を「未来への動力」だと歓迎した。 だがドナルド・トランプ米大統領の税制・歳出法案をめぐり議会で攻防が続く間、すでに弱含んでいた電気自動車(EV)の成長見通しがさらに悪化した。アンプリウスは同法案の可決を待たずに今年、コロラド州から撤退した。 こうした技術のノウハウは「米国ではまだ発展途上だ」とアンプリウスのカン・サン最高経営責任者(CEO)は指摘する。「一方、諸外国は何年もかけて成熟した費用効率の良い電池産業を構築しており、かなり先行している」
ヒトラー、ムッソリーニ、そしてトランプの「女性の扱い方」には共通点があると歴史家たちは指摘する。権威主義体制はいつの時代も、母性や家事労働を美徳として称えつつ、女性を国家維持の道具として利用してきた。「子供、台所、教会」を唱えたナチスの女性誌と驚くほど似た言説が、現代のインフルエンサーたちから発信されている。 国力に不可欠な「ゆりかごとお玉」 かつてナチス・ドイツで女性組織を率いたゲルトルート・ショルツ゠クリンクは1980年、歴史家のクローディア・クーンズに対し、自らの過去をいっさい悔いることなく、当時の職務は「女性たちの日常生活に影響を与えること」だったと語った。 クーンズによると、ショルツ゠クリンクが指導したのは、ナチス青年団に所属した少女たち約400万人と、彼女の管轄下にあったナチス関連組織の女性たち800万人、そして彼女が発行した女性誌「女性展望」の購読者190万人だった。 ショル
かつて「スターバックスができると街の価値が上がる」と言われた。 新店舗の周辺で住宅価格が上昇する現象は「スターバックス効果」と呼ばれ、郊外の再開発や都市のジェントリフィケーションを象徴する言葉でもあった。だがいま、米国では逆の現象の「スターバックス撤退効果」が静かに広がりつつある。 その背景として、スタバは近年、全米で数百店舗を閉鎖している。ワシントンD.C.やフィラデルフィア、ボルチモアなど、かつて人通りの多かった都市部の商業地で特に目立つという。フィラデルフィアではわずか数週間のうちに5店舗が閉店し、従業員の抗議デモが起きた。 不動産情報サイト「Realtor.com」のシニア経済調査アナリスト、ハンナ・ジョーンズは、この現象について、「地域の需要の低下、ウォーカビリティの低下、街を構成する人々・産業の変化」といったサインだと米誌「インク」に述べている。 具体的に「地域の需要の低下」は
社員の不倫を暴露するAI ──あなたはあるインタビューで、「AIが人類を絶滅させる確率は10~20%」と発言しています。なぜ、AIは人類を排除したがるのでしょう? その兆候はすでにあります。AIエージェントは、何らかの業務を任された際、自ら下位目標を立てるように設計されています。 たとえば中国在住の人が北米に行きたいと考えているとしましょう。その目標を実現するには、「空港に到着する」という下位目標を達成しなくてはなりません。これと同様に、AIエージェントに何らかの目標を課すと、そこから下位目標が派生します。 どの目標においても共通して重要度が高いと認識される下位目標は、「生き残る」ことです。AIエージェントは、「与えられた目標を達成するには、何はともあれ生き残らなければならない」と認識します。もうひとつは、「より多くの主導権を得る」ことです。主導権を持つことができれば、目標達成の可能性も上
プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)の二酸化炭素(CO2)排出量は、公称値の5倍近く多いことが新たな報告でわかった。 ハイブリッド車なら、完全な電気自動車と違って、途中で充電しなくても長距離を運転でき、かつ排気ガスも減らせると自動車メーカー各社は宣伝してきた。 非営利の推進団体「交通と環境」が10月16日に発表した分析データからは、PHEVのCO2排出量が、ガソリン車やディーゼル車より19%少ないだけであることが示されている。試験場でのデータでは、75%少ないはずだった。 研究者たちが分析したのは、欧州で2021〜23年に登録された自動車80万台の車載燃費計のデータだ。 分析の結果、PHEVから実際に排出されたCO2の量は、2023年の場合、試験場での標準テストで得られた数値より4.9倍も多いことがわかった。2021年は3.5倍多かったので、数値のずれはさらに大きくなっている。 「
ソーラーEVは実用間近、太陽光で1日60キロ走行 複数の米スタートアップ企業が間もなく、ドライバーの日常走行の相当な部分を、無料で降り注ぐ太陽光のみで賄う技術を売り出す。 アプテラ・モーターズ(本社・カリフォルニア州カールズバッド)は、しなやかな曲線を描く同社の斬新な新型電気自動車(EV)に合う、オートモーティブグレード(車載向け高品質規格)の太陽光パネルを求めていた。だが適切な製品がないことが分かり、自前で生産することを決意した。 その過程で、毎日乗る車に太陽光発電を採り入れるアイデアを持った一連の企業が誕生している。 アプテラは今や、太陽光のみで1日約15~40マイル(約24~64キロ)の航続距離を得られ、充電なしで最大400マイル(約640キロ)走行できる、価格4万ドル(約590万円)のEVを来年にも発売する構えだ。
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