5年前、オモコロに掲載した「【不動産ミステリー】変な家」はその後に書籍化され、発行部数は200万部を超えた。 5年目の節目に出版社の許可を得て、書籍に収録されたすべての内容を再構成し、これまで明かさなかった本当の真相を加えた「【完全版】変な家」を公開することとなった。 ぜひ、最後までお楽しみいただきたい。 第一章 謎の空間 ―――2020年9月 私は柳岡さんという知人から、家に関する相談を受けた。 彼は第一子の誕生をきっかけに、一軒家を買うことにしたという。 不動産屋に勧められたのは、東京都狛江市に建つ2階建ての中古住宅。 以前は若い夫婦と小さな男の子の三人家族が住んでいたらしく、家族構成が同じ柳岡さんにはうってつけだと言われたらしい。 ただ一つ、間取りに不可解な点があった。 柳岡:一階の、台所とリビングの間に謎の空間があるんです。ドアがないから中に入れないし、何となく気味が悪いと思いまし