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アベノミクス (あべのみくす)とは【ピクシブ百科事典】
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概要

第2次安倍政権が2012年末に打ち出した経済政策。

背景にはバブル崩壊以降の慢性的なデフレ、2008年のリーマンショック民主党政権時代の強烈な円高、2011年3月の東日本大震災による日本経済の停滞及び消費者心理の冷え込みなどがあった。

安倍晋三の先輩であり同志でもあった、元内閣官房長官の中川秀直が名付け親。安倍首相の名字とエコノミクスのかばん語であり、かつてのアメリカレーガン大統領の経済政策『レーガノミクス』になぞらえたものである。

解説

安倍の経済観は竹中平蔵を用いていたことからも分かる通り小泉純一郎の「聖域なき構造改革」を一部継承している面があるが、これにインフレターゲット政策(デフレ克服のための無制限の量的緩和=リフレ政策)、「上げ潮派」的な公共投資を組み合わせている事が特徴である。

  1. 「大胆な金融政策」
  2. 「機動的な財政政策」
  3. 民間投資を喚起する成長政略

安倍はこれを毛利元就の故事になぞらえて「三本の矢」と呼んだ。

特に金融緩和は日銀・黒田東彦総裁との連携により「黒田バズーカ」という名前が付くほどの衝撃的な内容で、文字通り異次元と呼べるものであった。

具体的には

  • 日銀の中長期国債買い入れ(量的緩和、QE)を更に強烈にし、2年間でマネタリーベース2倍という目標を掲げ、年80兆円という貨幣供給を行った。
  • 国債だけでなく株式ETFやREITも毎年千億円単位で大量に買わせ、株高を演出した(官製相場)。最終的に30兆円以上を購入し、評価額は倍以上になった。
  • 長期金利をゼロ付近になるように10年債を無制限に買わせる指値オペ(イールドカーブ・コントロール)を行った
  • 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用ポートフォリオも見直させてリスク資産比率を高め、この資金も国内株式に流入させた。
  • 政策金利は「マイナス金利」(雑に言うと、市中銀行は日銀に金を預けていると残高が減る)が設定された

という、日本史上稀に見る規模の金融緩和を行った。

結果目論見通り円安が進行し、株価と名目GDPは上昇したものの、インフレにより実質所得が下落(2019年に毎月勤労統計調査の不正が明らかになったため、数値は発表のものより悪かった可能性がある)。そんな中でも所得控除の見直し・社会保険料の値上げ・消費税率10%への引き上げを行ったため、被雇用者の可処分所得は大きく目減りした。

このようにインフレターゲットのもくろみはうまく機能しなかったため、2016年ごろから緩和のペースを緩めざるを得なくなった。

インフレターゲット政策は、本来はむしろインフレ抑制のために用いるものであり(マネタリズムを参照)、従来デフレを後押ししてきた構造改革路線(規制緩和などによる供給力の強化と、増税や社会保障削減などによる総需要抑制政策)を一層推進しつつ、金融緩和と官製相場で株高と物価上昇を演出するアベノミクスは本質的に矛盾を孕んでいたと言える。

2018年に黒田の留任が認められアベノミクスは継続するが、この年の4月の経済・物価情勢の展望(展望レポート)から物価高の達成時期目標が削除された。この頃から黒田は賃金・物価上昇に慎重な見方を示すようになり、異次元緩和を終わらせる「出口戦略」が公然と語られるようになる。

結局、日本が万年デフレを解消できたのは、2022年以降のウクライナ侵攻米国の利上げによる強烈な円安によるコスト・プッシュ型のインフレが契機となった。安倍はこの円安が始まった直後の7月、凶弾に斃れた。

2023年4月に植田和男が日銀総裁に就任すると、マイナス金利の解除とイールドカーブコントロールを終了する金融緩和の正常化に舵を転じ、アベノミクスは完全に終了した。

評価

アベノミクス本来の狙いであるインフレ誘導は結局達成できず(黒田総裁時代末期にはインフレに突入したが上述の通りこれは外部要因によるもの)、「過度な円安」「財政赤字」「雇用者の可処分所得減少」といったツケを残して手仕舞いを余儀なくされたため、経済政策としては明らかな失敗である。アベノミクスには当初から「実需が存在しないのにカネを無理やり金融市場や株式市場に流してもバブル経済を起こすだけ」という批判が多かったが、現実にその通りになった。平成バブル崩壊の不良債権問題のような破滅的な事態にならなかっただけマシであったとも言えるが。

それにもかかわらず、現在でも一定の支持が存在する。これはアベノミクスによる金融バブルと円安政策で利益を得た層があったからである。輸出産業の企業、観光関連産業、都市部の不動産・建設業、それら企業への投資家などがそれである。「国民のデフレマインドを変えた」という精神論的な理由で評価している人もいる。また、安倍には絶大なカリスマがあり、「信者」と揶揄される岩盤支持層が厚かったため、その安倍の名を冠する政策が盲目的に礼賛されたという面も大きい。アベノミクスの成果として、新卒者の就活が楽になったことがよく挙げられていたが、就活の「売り手市場」化は少子化によるものであり、一部の業界を除いてアベノミクスとは関係がない。安倍と黒田以外の誰が政策当事者になっても改善していただろう。

一方で、インフレと増税・社会保険料負担増などにより国内労働者の実質的な可処分所得が大きく減ってしまったため、アベノミクスは資産家ではない多くの大衆、特に投資に回すほどの余裕がない中小企業労働者や非正規雇用者には損になる面が多かった。批判的な論者からは「賃下げ政策」「日本人窮乏化政策」としばしば非難され、安倍・黒田は円安による「日本の安売り」をもたらした元凶と指弾されることもある。

なお、野放図な円安とハイペースのインフレをもたらしかねないと懸念されたアベノミクスの幕を引き、正常な金融政策への転換を成し遂げた植田和男総裁の手腕は高く評価されている。2024年7月31日の日銀の追加利上げ決定に対し市場が過敏に反応し株価が暴落した「植田ショック」と言われる混乱が一時あったものの、暴落は短期間で収拾した。ただ、日銀が37兆円も買い込んだ上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の後始末が課題となっているが、植田総裁はETFが簿価で年間3300億円程度、REITは簿価で年間50億円ずつ売却する方針を示していて、「市場を撹乱しないよう少しずつ売却していく。全売却には100年以上かかる」としている。

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