精神疾患
せいしんしっかん
"The worst part about having a mental illness is people expect you to behave as if you don’t."
「精神疾患の最も悪いことは、他人に何気ないふりをしなければならないということだ。」
映画「ジョーカー」(2019)より
脳や心の働きに異常が生じ、思考・感情・行動といった精神機能に支障をきたす疾患の総称。精神障害と呼ばれることも。
広義には人格障害や行動障害を含む場合もある。古くはてんかんも精神疾患に分類されていたが、現在ではギラン・バレー症候群などと同様に「神経疾患」として扱われることが一般的である。また、発達障害とも一部関連が見られ、症状が類似するケースもあるほか、社会適応に伴うストレスなどから二次障害として精神疾患を発症する場合も多い。中には二次障害の治療のために受診した結果、検査を経て発達障害が判明するケースもある。
このように症状や傾向は多岐にわたり、「精神医学」がカバーする範囲も非常に幅広いため、具体的な病名などは後述する「精神疾患に関するタグ」を参照のこと。
また、本項目では精神疾患のすべてを網羅しているわけではない。そのため、気になる症状があったら速やかに専門の医療機関を受診し、医師の判断を仰ぐこと。
原因
強度のストレスや遺伝的要因、薬物や外傷による脳の損傷、さらに生活環境や人間関係といった社会的要因など、複数の要素が関与すると指摘されている。しかし発症に至る正確なプロセスは未解明であり、いまだ多くの謎に包まれている。
治療と生活への影響
かつては有効な治療法がほとんど存在しなかったが、現在では投薬による治療を基本とし、心理療法(サイコセラピー)を組み合わせる方法が主流である。もっとも、多くは症状を和らげるための対症療法であり、病気そのものを完治させる特効薬は存在しない。そのため寛解には長い時間を要することが多い。
症状が軽度の場合は自宅からの外来通院により治療と社会活動(仕事を含む)を両立できるが、重症化すると入院治療が必要となる。自傷・自殺企図、セルフ・ネグレクトなど生命に関わる状態や、他者への危害が懸念される場合には、閉鎖病棟への入院(措置入院や医療保護入院など)が行われ、外部との接触を制限せざるを得なくなる。
一方で、社会的偏見や支援体制の不足、身体疾患による不調などを理由に、精神疾患自体はある程度回復していても長期入院を余儀なくされる人も少なくない。国の方針転換により、入院が不要と判断された患者を退院させる動きも進んでいるが、患者や家族の不安・負担も大きく、一律に適用できるわけではないことが課題となっている。
ひきこもり
厚生労働省のハンドブックでは、精神疾患が原因となるひきこもりが指摘されている(参考)。これは精神疾患が原因でひきこもりに至ったケースもあれば、逆にひきこもりに伴う不安やストレスから精神疾患を発症したケースもあると考えられる。いずれにせよ、社会復帰には早期の治療とサポートが重要とされる。
雇用差別
厚生労働省の「採用の自由の濫用」に関するガイドラインでは、就職差別につながるおそれがある14事項の一つとして「合理的必要性のない採用選考時の健康診断」の実施を禁止している(参考)。また、精神疾患の既往歴(病歴)を問うこと自体は直ちに違法とはされていないが、不当な差別につながるおそれがあるため慎重な取り扱いが求められている(参考)。したがって精神疾患を理由に応募者を即座に不採用とすることは適切な対応とは言えない。
外国人患者
2020年代以降、日本在住の外国人における精神疾患も社会問題として取り上げられている。外国人の受診者は、言語や文化の違いから十分な診療を受けられないケースが多く、地域の医療機関では対応が困難な場合、遠方の精神科病院まで通院する例も少なくない。
「日本に来る外国人は日本人よりタフだから精神疾患にならない」といった通説は誤りであり(参考)、従来の「日本ほど豊かで平等で安全な国で病む者は、どこへ行っても病む」という言説も正しいとは言い難い。
インターネット上では、実際に精神疾患を抱える人だけでなく、精神的に不安定と見なされた人を含めて一括して「メンヘラ」と呼ばれることが多い。しかし精神疾患はいずれもれっきとした疾患であり、本来は一言で片付けられるものではない。実際には症状や病態、原因、患者本人の受け止め方は多様であり、安易に「メンヘラ」とひとまとめにして片付けることは適切ではないだろう。
加えて、精神医学は専門の病院や、研究・治療を担う医師、公認心理師をはじめとするカウンセラー、保健師、精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)などが関わる、確立された医学の一分野である。その多くには明確な診断基準が存在し、診断や症状によって有効な治療法は大きく異なる。したがって、素人が安易に病名を決めつけたり、自己流で治療を試みることは厳に慎むべきである。
さらに、これらの言葉がしばしば敵対する相手へのレッテル貼りとして侮蔑的に用いられることも問題である。他人への侮辱に「精神疾患」「メンヘラ」「ガイジ」などの語を使うことは、その対象となった人物だけでなく、実際に精神疾患を抱える人々全体をも傷つけることにつながるため、冗談であっても避けるべきである。
精神疾患の患者と関わる際には、患者を理解し支援する姿勢が求められる。患者の言動を頭ごなしに否定せず、受容的に耳を傾けること、無理に励まさず安心できる環境を整えることが大切である。また、家族や友人だけで抱え込まず、専門の医療機関や支援者につなげることが重要とされる。
こうした配慮が必要なのは、精神疾患が時に命に関わる疾患であるためである。精神疾患は自殺のリスクが非常に高く、それ以外にも不眠症や本態性高血圧などの併存症によって健康を損ない命を落とす例も少なくない。特に摂食障害では栄養不良による死亡リスクが高く、また脳機能障害や内科的疾患に起因する精神症状によって死に至る場合もある。
日本では、医師や公認心理師、精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)などの専門職のほか、地域の保健所や精神保健福祉センターなど公的機関が支援に関わっている。さらに、偏見に基づいた周囲の言動は受診や治療を妨げ、リスクを高める要因となるため、周囲にも正しい知識と理解に基づいた対応が求められる。
身体疾患と同様に、精神疾患も十分な理解がないまま創作の題材として扱われ、その結果として誤解や偏見が広まることが少なくない。
一方で、創作はその疾患や患者の実態に対する理解を促進する手段ともなり得る。その際には、専門書や学術資料に基づいた正しい知識を持ち、発表前には専門家や医療機関による確認を受けるなど、慎重な姿勢で取り組みことが望ましい。
なお、知識を持ち真摯に取り組んだ作品であっても、後年の社会的認識の変化により封印作品とされる例も多い。精神疾患とはそれだけ細心の注意が必要な題材と言える。
- 身体症状が出る心の病気
- 心気症(自律神経失調症として扱われることも)
- 作為症(ミュンヒハウゼン症候群)
- 対人関係に関する病気(パーソナリティ障害)
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