試作機
しさくき
飛行機、車両、兵器等の機械は構造や性能が複雑なこともあり、実際に存在して性能を発揮しないとはっきりと判明しない点も多い。そのために製造されるのが試作機であり、主として新規設計されたり改良を加えたものを、想定した性能等が発揮されるか、新たな問題が発生していないかなどの確認を行うため、少数製造される機体であり、反対語としては量産機がある。プロトタイプともいう。あくまで将来の量産化を前提にしている事が条件(想定していても量産機まで過程が進まず計画が終了することもある。)であり、研究が目的で量産を行わないものは実験機となる。
試作および先行量産の過程で不具合を確認する過程で欠点や量産に不向きな点などを洗い出し、それらをクリアした上で、完成品として大量生産に足る、もしくは理想的と判断されたものが量産型である。そのため、基本的に量産されたものの方が性能は良い。ただし量産品製造の問題がないことが前提条件である。試作型は研究開発費(量産機の製造予算に含まれる)扱い、量産型は正規の予算で製造されるため、開発が終了すれば試作機は員数外として扱われており、極論、試験終了後即座に解体処分してしまっても構わない(機材として継続使用される場合や、モニュメントとして保存されることはある)。逆に量産型は平時であれば償却資産として扱われるため、除籍処分するにも正規の手続きを取らないといけない。F-22やF-35、B-2が高価といわれるのは、単純な生産コストに研究開発費(つまりは技術開発・試作機やラインの構築分)を上乗せたものが「製造予算」として扱われるうえに、生産機数が少なく研究開発費の頭割り分が分割できないからである。ちなみに、かなりの部分が人件費だ。
また、量産機同士でもロットにより微妙に品質にバラつきはあり(工業製品としては好ましくはないのだが)、量産開始後も不具合の解消、供給メーカーの都合による部品などの変更、もしくはさらなる生産性の向上などを理由としてしばしば改良されるので、生産時期により仕様が異なる場合はよくある。そのような場合は、製品名や製造番号等といった製造元でしかわからない情報で区別される。
概念的に言えば予算にしたがって生産ラインを構築しそのラインで製造されたものであれば、製造機数がたとえ1機のみであっても「量産型」であるし、数が複数あっても研究開発費で製造され正規の生産ラインで作られたものでない機体は「試作型」、量産機とほとんどおよび全く同じ構造をしていても広義の試作機「全規模開発機」「増加試作機」と扱われる(これらは部品が共用できるため供与に回されることもある)。「先行量産型」というものは正規の予算で作られてはいるが機能の検証が済んでおらず、特に戦時などの場合早急に戦場に送るため先行開発された既存機体の部品を組み合わせてとりあえず戦える状態として送り出されるため、間に合わせの部品で構成されキメラ的外観となり、そこに魅力を見出すファンも多い。(「強化カスタム機」などの元ネタである。)
またプロトタイプに含まれる「プロモーション用機体」などはこちらに含まれないことがある。
量産機のページにも記載しているが、ガンダムやその他のリアルロボットアニメなどにおける試作機の場合、量産機よりも性能が高いのがほぼお約束となっている。同じ外観の登場人物が活躍しているとモブキャラクターとしての印象が強くなり、唯一無二のキャラクターが活躍する方が目立つ上に見栄えが良いという物語上の都合もあれば、量産機が急造品にあたることや、コンベンションなどで使用するための特別試作機、採算・安定性を度外視したある種のスペシャル機であることが主な理由である。
作劇上では現実世界と違い、文字的な理屈云々よりも古典作劇的な看板役者と三下・切られ役の区分に近いかもしれない。そのため量産機と称する機体に主役級キャラが乗った場合、至極あっさり大活躍することなどざらである。試作機と呼称するよりは看板役者・ヒーローのアバターといったほうが適切かもしれない。
ただ実際に、試作機の方が量産機より性能が高かった例がなかった訳ではない。日本軍では量産された兵器が試作機ほど能力を発揮できなかった例が多くあるが、職人による一点ものと量産技術の低さや、工場の人間の錬度などの問題によるものが大きいとされる。アメリカでも、P-39戦闘機は試作機にはあったある装備が諸事情で量産型ではオミットされてしまい一部性能が落ちたという事例がある。
また、鉄道の業界では「高性能な試作機」は意外なほど溢れている。
鉄道の場合は公共交通機関という側面がある故、「起こしてはならない万が一のこと」を起こすことがないように、「実際の営業運転では目標値を余裕をもって出せるようにする」ということを求められるため、技術試験的な意味で営業用よりも高性能なものを作る(作らざるをえない)ため、このようなことが起こると思われる。
例:
・500系900番台「WIN350」…350km/hでの走行が余裕をもって可能な仕様で製造されている(量産車は目標値としては320km/h程度)
・FASTECH360…E5・E6・H5系の実質的な試作車。360km/h走行を目指した性能を有している。
架空戦記などでは「史実では量産型が作られなかった試作機がもしも量産されていたら?」という物語は定番。その場合は現実には存在しなかったので架空兵器扱いとなる。
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