東京大学大学院農学生命科学研究科・科学技術振興機構ERATO東原化学感覚シグナルプロジェクトの新村(にいむら)芳人(よしひと)特任准教授と東原(とうはら)和成教授らの研究グループは、24種の霊長類について匂いを認識する鼻腔にあるタンパク質「嗅覚受容体(OR)」の遺伝子を詳細に比較し、嗅覚系の退化のシナリオを明らかにした。米科学誌「モルキュラー・バイオロジー・アンド・エボリューション」オンライン版で11日(米国東部夏時間)に公開された。 哺乳類の多くは800~1200個のOR遺伝子を持つのに対し、ヒトやチンパンジー、ニホンザルではその数は300~400個と少ない。それぞれの生物種が持つOR遺伝子の数は、その種の匂いの嗅ぎ分け能力を反映している。これまで、霊長類でOR遺伝子数が減ったのは、霊長類は視覚に大きく依存し、嗅覚にはあまり依存していないためと考えられてきた。しかし、霊長類の進化過程にお