バイク
ばいく
一般的には自動二輪車のことを指すが、広義には三輪バイクやサイドカー、全地形対応車(ATV)のような三輪以上の乗り物も含まれる。
二輪車を意味する英語の【Bicycle】の略語である【Bike】が語源。
英語圏で【Bike】というとマウンテンバイクなどの自転車を指すのが一般的で、自動二輪車は【Motor Cycle】と呼ばれるとされるが、【Bike】も通称の一つとして使われるので十分通じる。
と言うよりは、市販車ベースのレースの最高峰は"World Super Bike Championship"であるほか、ダカールラリーの二輪部門の英語名も"BIKE"なので、エンスー的にはむしろBike呼びのほうが主流と思われる。
日本ではオートバイとも言うが、こちらは和製英語であり、バイクに比べるとタグのついた作品はかなり少ない。しかし、英語圏同様に自転車と紛らわしいので、オートバイのほうが推奨できる場面もままある。
道が混みやすく平均所得が低い南アジアや東南アジアの発展途上国では、細い道や渋滞もすり抜けられる、車両価格や維持費が安い、街角のどこにでも停められるといったメリットからうってつけの乗り物で、旅行に行けばバイクがごった返しているのを見ることができる。
例えば、ベトナムでは深刻な渋滞問題のために政府が四輪自動車の輸入を制限しているぶんバイクの法律は緩いため、1台に3人4人と乗れるし、バイク1台あれば屋台も開けるし海や山の収穫をすぐ市場で売ることができるので、バイクさえあればそこそこの生活が維持できる。「家は売ってもバイクは売るな」という格言もあるほどである。
しかし、逆にインフラ・法整備・経済が成熟しており、大衆でも四輪の自動車が当たり前な現代日本を含む先進諸国ではデメリットばかりが目立つ。
具体的には、
- 発展途上国と違い無造作に路上に停められない。特に、日本の都会では路上駐車禁止の場所が多く、駐車場所に気をつかう
- 身体がむき出しなので、肌の露出を無くした上でヘルメットやプロテクターなどの防具の装着が必須だが、それでもなお傷害率、死亡率が高い
- 自動車では一般的な、衝突被害軽減ブレーキのような先進安全装備は一切ない。ABSは2018年10月以降に発売されたモデルからようやく義務化された(継続生産車は2021年10月以降)
- 2人乗りはできるが、荷物がほとんど載らなくなる
など危険と不便を芋づる式に挙げることができる。
これらのデメリットの多くは足として重宝されている東南アジアでも同様で、バイク事故は日常茶飯事。街角では壊れたバイクとゴザを被せられた遺体の横でお香が焚かれているさまは割とよく見かける。
近年の日本では中型以上のバイクは案外高価であり、安い軽自動車と変わらないほどになってしまった(ついでに言うと燃費も軽自動車と大して変わらない)。軽自動車と比べてメリットらしいメリットは、細い道ですれ違いしやすく駐車場で幅をとらないコンパクトさと、車庫証明が要らないことくらいしかない。安価な原付バイクであれば維持費が安く燃費が良い(加えて原付一種であれば駐輪場に停められることが多い)という利点もあるが、今度は自転車との競合が視野に入ってくる…。こういうわけで、バイクの需要自体が激減してしまった。
そうしたことから、日本では日常の足や業務用としては小排気量の原付バイクにほぼ限られる。
しかし上に羅列したデメリット全てを覆してあまりある、圧倒的な楽しさがバイクにはあるのもまた事実である。中型以上のバイクは趣味の乗り物として、ファッション感覚で乗る人も居れば、大量の荷物を積載してツーリングで遠くを目指す人、カスタムを専門に楽しむ人もいる。四輪より安いのを活かしてサーキット走行やモータースポーツに参加するのもいいだろう。
バイク漫画『ばくおん!!』に出てくる、
「バイクは バカにしか乗れん」
という台詞は、こうした現代日本におけるバイクの実質的立場を端的に言い表している("賢い"人は軽自動車でも買うのだろう)。
ただし"バカ"と言っても、"人に迷惑をかけるバカ"は乗ってはいけない。
昭和時代のバイク文化があの特撮ヒーローの様に花開いていた頃、各地の若者が組織した珍走団(暴走族/半グレ/野人)が幅を効かせていた為、「バイク=珍走団」といった偏った解釈により「3ない運動(免許を取らせない、買わせない、運転させない)」が全国で外来生物法や暴力団対策法、暴力団排除条例の様に勝手が過ぎる展開をされてしまい、バイク文化の衰退に繋がった。ここで強調したいのは、そもそも全部人間のせいである。なので、車やバイク自体は何も悪くないということである(包丁と同じで、全ては人間の使い方次第である)。
今は暴走族こそなりを潜めてはいるものの、マナーの悪いライダーは依然として多い。もし発展途上国なら街角に停めるのも、渋滞をひょいひょいすり抜けるのも何の問題もないかもしれないが、この日本ではどちらも迷惑行為、危険行為である。現役のライダーにはイメージを下げるようなライディングは絶対に避けて欲しい。
そして万一が起きた際、後の人生に支障をきたさないためにも、ヘルメットやプロテクターのような各種防具の装備はもちろん、任意保険や傷害保険、ロードサービスへの加入といった備えは必ずしておこう。特に任意保険の未加入は、相手はおろか自分の身すら破滅に追い込む所業であることを肝に銘ずるべきである。
法律(排気量)による区分
日本の場合、エンジンの排気量をもとに下記のように分類され、運転免許もそれぞれ用意されている。原付を除くそれぞれのクラスに、AT限定免許が存在する。
- 大型自動二輪:排気量401cc以上。教習を受ける際には普通自動二輪の取得を前提条件とする自動車学校が多いが、免許センターの一発試験なら何も持ってない状態からでも受けられる(受かるかどうかは別のお話)。
- 普通自動二輪:排気量126cc~400cc。最もオーソドックスなクラス……だったのだが、メーカー各社が国際市場を意識している昨今、日本にしか存在しない400cc基準を意識した車両開発は低調であり、新車のラインナップが年々減っている。
- 軽二輪:普通自動二輪の中でも250cc未満の車両。道交法ではなく道路運送車両法の区分であり専用の免許はないが、車検が要らないというメリットが有る。国際市場でも競争力のある車格なので各社ラインナップが充実している。
- 小型自動二輪:排気量51cc~125cc。道路運送車両法では原付二種に分類されるため高速道路には乗れないが、法定時速は自動車と同じ。車検がない、原付一種と同じ保険(ファミリーバイク特約)が使えるなど維持費面で有利な部分が多い。
- 原動機付自転車:排気量50cc以下。原付一種。法定時速は30km/h。一般的にバイクとは呼ばれず、"二段階右折"など法的にも異なる部分が多い。原付専用の免許もあるが、四輪の普通自動車免許でも乗れる。
排気量によって税金が異なるが、250cc以上は一律6000円である。
ボディタイプ
- スクーター:エンジンを座席下に格納し、両足を揃えて乗る二輪車。ATのものが多い。収納が広く、主に日常の足として使われる。大型のものは「ビクスク」と呼ばれる。当該項目参照。
- ネイキッド:直訳すると「裸」で、カウルのついていない、一般的にイメージされるようなオーソドックスなバイク。「スタンダード」とも呼ばれる。
- ツアラー:ネイキッドにカウルが装着されたような形状と性能のバイク。カウルのお陰で空気抵抗を身体で受ける必要がないので長距離の移動が楽だが、取り回しや整備性が悪くなるというデメリットがある。特にハヤブサのように、直線ならスーパースポーツを凌ぐ走行性能を持つツアラーは「メガスポーツ」と呼ばれる。
- スーパースポーツ(SS):本格的なスポーツ走行を前提に開発されたバイク。バブル時代前後に一斉を風靡したものたちは特にレーサーレプリカとも呼ばれる。カウルがあるという点でツアラーと同じだが、サーキットでのパフォーマンスを重視しているため車重は軽くしたり、空気抵抗を減らすためにきつめの前傾姿勢を強いたり、高回転型のエンジンを搭載していたりする。ツアラーとの境界線は曖昧で、定義を巡って四輪におけるスポーツカー論争のような議論もしばしば起きる。
- ストリートファイター:スーパースポーツの性能はそのままカウルを取っ払った形状をしており、スーパースポーツと同時に発売されることが多い。前傾姿勢は基本的に直されるなど、日常での取扱いのしやすさも重視しつつスポーティーな走りも味わえる。ツアラーとは逆の意味で、ネイキッドとスーパースポーツの中間にある存在で、自動車で言えばホットハッチが近い存在かもしれない。「〇〇(スーパースポーツ)のネイキッド版」と紹介されることもある。
- オフロード:読んで字のごとく、オフロードを走るためのバイク。パフォーマンスや整備などの都合上、競技では単気筒や中小排気量がメインである。外観の好みは人を選ぶが、バイクの大きな弱点である路面変化を苦にしないため、これを最強のバイクと言って憚らない者もいる。近年は前輪も駆動する、二輪駆動(=全輪駆動)のオフロードも開発が進められている。公道仕様のオフロードバイクは「トレールバイク」「デュアルパーパス」などと呼ばれる。
- アドベンチャー:カウルのついたオフロードのような形状で、「冒険」を意味する名称の通り長距離ツーリングが主眼。舗装路性能も重視されるためオフロードに比べると大排気量が好まれる。「マルチパーパス」「アルプスローダー」など呼び方が多数あるが、それぞれの定義は曖昧なので深く考えなくてよい。四輪自動車でいうところのクロスオーバーSUVのような存在。
- クルーザー:大陸の長い直線をゆったり走るために設計された、アメリカスタイルのバイク。一般には「アメリカンバイク」のほうが通りが良いだろう。ハーレーダビッドソン社が特に有名で、バイクを知らない人からは「ハーレー」という名のボディタイプと勘違いされやすい。
- トライク:タイヤが3つついたバイク。転倒の心配が圧倒的に少ない。車種によっては道路運送車両法上「特定二輪」に区分されるが、これは普通自動車免許で乗れる上、ヘルメット着用の義務がない。最近YAMAHAが熱心に開発しているジャンル。
- サイドカー:横にもう一台「側車」と呼ばれる車がついた乗り物で、一見するとバイクではないが、運転には排気量に応じた自動二輪免許(構造によってはトライク扱いとなって普通自動車免許)が必要となる。
四輪に比べると構造が比較的シンプルで法規制も緩く製造しやすい二輪は、現在も各国に中小規模なメーカーが多く存在している。過去には富士重工業(現SUBARU)、トヨタ、ブリヂストンも二輪事業に参入していたこともある。
概要で述べたとおり、アジアの発展途上国はメイン市場となっているのに加えて人件費も安いため、そこで生産をして世界中に輸出するのが一般的となっている。ちなみに世界最多保有台数国はインドで1億5000台(年間生産2000万台、年間販売2000万台も同国が世界一)、一人あたり保有率1位は台湾で100人あたり63台にも及ぶ。
タイ、フィリピン、バングラデシュ、サウジアラビアなど現地独自のバイクメーカーも多数存在する。
四輪同様日本勢が得意とする分野だが、その強さは四輪以上である。世界シェアでは常に本田技研工業(ホンダ)とヤマハ発動機が1-2位を占めており、モータースポーツではMotoGP、EWC(世界耐久)、世界トライアル、MotoAmericaなどはここ10年日本車以外のチャンピオンがいないほどである。
Pixivでは実在するバイクから架空のバイクまで様々な車種が描かれており、クルーザー(アメリカン)やスクーター、スーパースポーツなどが好まれて描かれている。
人物と一緒に描かれる場合は女性とセットになっていることが多いが、これはバイクの機械的で武骨なカッコよさを引き立たせる効果が大きいことや、しなやかな女性の肉体との対比が大きな魅力を生むからであろう。もちろんそうした事情抜きに単純に、バイクに乗ってる女性は良いぞ。
またライダーの若さや、反対に老いによる渋さを演出するアイコンとして用いられる場合もある。
その他のバイク
漫画・アニメ
※1:現実のバイクにも強い影響を与えた。
※2:パワードスーツ形態に変形するライドアーマー。
※3:陸戦型メタルアーマー。
※5:バイクで走りながらカードバトルをするという斬新な設定。レースとは違うためバイクの速さで勝敗が決まるわけではないが、速い方が先攻を取れる、周回遅れにしまくると相手のスピードカウンターを減らせるなど得なこともある。
ゲーム
※1:DLCで配信された。
※2:エージェント・アンドロイドでバイクに変形する。
※3:彼女のペルソナ。
※4:馬とバイクを組み合わせた乗り物(?)。
※5:バイクがモチーフのポケモン。実際にバイクに似た姿に変形できる。
特撮(仮面ライダー以外)
※1:相棒ポジション。
※2:バイクに変形する特撮ロボットの元祖。
pixivision
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