一樹守
いつきまもる
演:斎藤工
現代(昭和80年、西暦2005年)の人間で20歳。職業はオカルト雑誌「アトランティス」の見習い編集者。
就職した会社とはアルバイト時代からの付き合いで、予てからの熱心な仕事振りを評価され、今回の夜見島取材を任される事になった。これが災厄の始まりになるとも知らずに…。
プレイアブルキャラクターの一人であり、本作の主人公的な立ち位置。中肉中背の若い成人男性ということもあり持久力は高い方。武器を手に入れての戦闘も可能であり、民間人ながら銃を扱う事も出来る。
真面目で誠実だが、オカルト好きなだけあってなかなかの変わり者。夜見島近郊の漁港で働いていた木船郁子と初めて会った際、漁船を出してくれるよう交渉しに来た一樹に対する彼女の素っ気ない答え(泳いで行け)に「困ったな、泳ぎは得意じゃないんだよ」等とマジレスを返し、永井と行動を共にしていた際の「俺という観測者」は最早鉄板ネタである。
眼鏡をかけた容姿と雑誌編集者という職業、加えてオカルト知識を交えた難解な発言が目立つ事や、名前をアルファベット化して母音を取ると「MMR」と読める事などから、一部ユーザーからキバヤシと呼ばれている。
記者として初めて単独取材を許された一樹は、29年前に全島民が失踪した孤島「夜見島」の取材に向かう。しかし、島に向かう途中で突然の嵐に遭い、海が赤く染まる怪現象が発生。乗っていた船が難破し、同乗者たちともはぐれ、一人夜見島の桟橋に流れ着いた。
夜見島では人間の死体に屍霊が憑りついて生まれる怪物・屍人に遭遇し、それに襲われていた美女・岸田百合と出会う。百合の「閉じ込められている母親を救って欲しい」という謎めいた言葉に従い、彼女に言われるがまま奇妙な儀式を実行したが、それが一連の事件の黒幕である怪異「母胎」の復活を招いてしまう。
百合に騙されていたことを知って一時は落ち込んだものの、絶望よりも怒りが勝り、激情に駆られて屍人や闇人を殲滅。夜見島へ向かう船内で知り合った木船郁子や島で知り合った自衛官・永井頼人と共に怪異を食い止めるべく戦いを挑む。
作中では女には甘く、男には冷たい態度を取るシーンが多い。
百合に誘惑されて「母胎」を復活させる失態を犯してしまったこともあり、主人公であるにもかかわらず一部ユーザーからは嫌われている。ただし、百合の誘惑に負けてしまったのは「百合が持つ鳩としての力」の影響とも考えられる。百合と行動している間の一樹と、別れて以降の一樹は(洗脳を脱した為)微妙に性格が違うという意見もある。
また、作中のアーカイヴでは「中学時代に付き合っていた女性が一樹の不用意な発言を機に自殺未遂を起こしてしまった」という過去も明かされている為、女好き・フェミニストだから前述のような言動を取っていたわけではなく、女性との付き合いにトラウマを抱えていた為だからとも考えられる。なおこの女性だが、アーカイブの内容から「鳩」の一人である可能性があり、その場合子供の頃から怪異に人生を振り回されていたことになる。
とはいえ、一樹に比べると明朗で人好きされ易く、善良で能動的な前作の主人公の方が人気があるのは致し方ないかもしれない。
収束する世界
母胎を滅した一樹と郁子だが、母胎は猶も足掻き、赤い津波を呼び起こして彼らを押し流さんとする。一樹は郁子としがみつき合い津波に攫われまいとするが、逆巻く波には敵わず二人して飲み込まれてしまう。
一樹が暫くして目覚めると、そこには今までの恐ろしい出来事が嘘のように静まり返った海があった。空は朝焼けの薄紫に染まり、もうすぐ日が昇ろうとしているのが分かる。一樹は母胎を倒した結果、現実世界の夜見島に帰還することに成功したのである。
そう言えば郁子が居ないと気が付いた一樹が辺りを見回すと、一樹が倒れていた場所の一段下あたりで、郁子が気を失っているのを見つける。慌てて駆け寄り呼吸を確かめると、郁子は微かに唸り身動ぎした。彼女が生きていると安堵した一樹は、改めて海に向き直る。怪異の中でとうとう見ることのできなかった、そして何としても見たいと切望した太陽が顔を出し、穏やかな海を橙色に照らし出す。
「綺麗だな…」一樹が思わず呟くと、背後で郁子が起き上がる気配がした。振り向く事なく微笑む一樹。郁子は額に手を翳し、眩しげに太陽を見遣る。その表情は酷く疎ましげで、希望の光というより、何処か厭わしいものを見るような眼差しを向けていた…。
一樹の章はこれで終幕となるが、一見ハッピーエンドにも見えるものの、郁子が目覚め、朝日を睥睨するシーンで穏やかなBGMがいきなり不気味なメロディに転調し、何より郁子の仕草(朝日を嫌がる)はこれまで一樹らを散々苦しめて来た彼女たちに通じるそれに近い。
明確なシーンこそ無いが、郁子は過去に鳩の因子を受けた身であること、感応視で分かるように、島に来てから郁子の生まれ持った力が強化されてきた事実、波に攫われたショックや、彼女の双子の姉妹である柳子が既に覚醒していたことを踏まえても、郁子が“目覚めて”いない可能性は低い。更には郁子が“目覚めて”いた場合、母胎の悲願を潰した『怨敵』を前にして、女難の相がある一樹が無事で居られる保証は無く、二人の結末は非常に不穏であると言わざるを得ない(またプレイヤーから見た郁子の顔の左半分が既に弥生化しているという説もある)。
仮に柳子と同じように人類に敵対していないとしても、二人がいる場所は太陽が思い切り照らし出す場所であるため、陽の光に当たると消えてしまう『彼女たち』の性質を考えれば郁子もまた無事では済まない可能性があり、その場合一樹はまたしても大切な少女を救えなかった悲劇を繰り返すことになる。
いずれにせよ、せっかく生き延びた二人の未来が絶望的なのがまさに、SIRENらしいと言える。
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長編のオマケで入れてたものをサルベージしました。 その際に文章も整えました。 推敲をしないダメな人間です。 異界入りが起きずに、夜見島事件も全く違う結果になったパラレルワールドで、二人が幸せに暮らして十年目。 そんな設定です。 一永一みたいな、そんな感じがすきなんです。 永井くんから矢印がたくさんでてるみたいな。 もちろん、一樹からも矢印は出てるんだけど、隠してるんですね。1,272文字pixiv小説作品- 秋の一永
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