サーヴァント
さーゔぁんと
サーヴァントとは、英雄や偉人が死後、人々に祀り上げられ英霊化したものを、魔術師が聖杯の莫大な魔力によって使い魔として現世に召喚したもの。
ただし本質的には全くの別物であり、詳細は後述するが存在その物が魔術より上の存在の為、一般的に想像される使い魔とは別格の存在であり、本来使い魔として扱うには手に余るモノ。
魔術世界における正式名称は境界記録帯(ゴーストライナー)。これは魔術師が自分の手で作った使い魔ではなく、人類史そのものからかつて記録された現象を呼び出す使い魔であるという意味合い。
なお、帯と称するのはサーヴァントとは生命ではなく「巻物・書物のようなもの」という魔術師達の認識からくるもの。
聖杯戦争では聖杯あるいは聖杯戦争そのものによって叶えたい願いのため、召喚した魔術師“マスター”と協力し、他のサーヴァントやマスターとたった一組になるまで争い合う(参加数は基本的には7組だが、7組を超える組み合わせで行われる聖杯戦争もある)。
※以下には基本的な情報を記載する。
より詳細な内容や強さ議論などの解釈は、個別記事があるものはそちらや、専門の外部サイトを参照されたし。
英霊
上記で示したとおり、英霊とは「英雄・偉人が死後、祀り上げられ精霊化した存在」のことである。
“人間を守る”力としては最高位の存在であり、その分類は亡霊ではなく精霊に近い。
精霊は人々のイメージという筐を使って具現化する“力”であるが、英霊はその中身も人々の理想で編まれている。
英霊は世界の法則から解き放たれており、世界の外側にある「英霊の座」と呼ばれる場所から世界の危機に伴う「世界からの要請」によって、過去・現在・未来を問わずあらゆる時代に召喚される。
また本来はその形態も直接具現化するのではなく、その時代に生きる人間への憑依に近い形で現界し、それを後押しするという間接的な介入しか行わない(メタ的な言い方をすればその在り方は「主人公補正」に近い)。
その力は現代の人間では太刀打ちできないほど強大なものであるが、英霊の「本体」を直接召喚できるのは世界のみ。人間が本体を召喚することは不可能であり、サーヴァントは本体を基に各クラスごとの側面を切り出したコピーのようなものである。
ゆえに「英霊としての強さや能力」と、「サーヴァントとしての強さや能力」は必ずしも一致しない。
英霊は実体化する際に、まず霊核を得て、その霊核が魔力で出来た肉体を覆うことで実体化する。文字通り霊核とはサーヴァントの核であり、これを破壊されると、どのような不死性を誇るサーヴァントでも現世にとどまることができなくなる。
サーヴァントが実体化する際には、心臓と首がこの霊核に直結した部位となるため、同時にサーヴァントにとっての弱点となる。
霊核は魔力消費、肉体損傷によって弱体化し、その状態で強力な魔力、呪い、宝具を受けると現界を保てなくなり、サーヴァントは霧散する。
ただしサーヴァントを消滅させても、それは単にサーヴァントが現界できなくなっただけに過ぎず、「本体」そのものが消滅するわけではない。一度消滅したサーヴァントが別の聖杯戦争で再び召喚される場合もある。
また、英霊は本来力の塊であり、生前の人格をほとんど有しておらず、サーヴァントとして召喚された際に聖杯から生前の人格を模倣した人格を与えられる。同時に召喚された時代・場所の基本知識や言語も与えられるため、いかなる時代にも問題なく適応できる。
聖杯戦争時の記憶についても、消滅後に英霊の座へと帰還した際記録として本体にフィードバックされる。
ただし、過去と未来における全召喚時の記録だと、英霊であっても耐えられない膨大な量となるため、それらの多くは実感を伴わないものして、次の現界時には他の召喚時の記憶を全て忘れてしまう。
したがって、同一の英霊をベースにしたサーヴァントが、同じクラスで別の聖杯戦争で召喚されたとしても、厳密にはそれは別の存在といえる。
しかし記録の中でも、強烈な印象として残るものは実感として再現され、「他の時間軸の聖杯戦争の思い出」として引き継ぐ場合もある。
その場合は現界したサーヴァントに何らかの精神的影響を与えているケースが多く、歴史・伝説上は面識のない英霊と知古である場合や、生前の願望や葛藤が変化している場合もある。
現代の文化や出会いに強い感銘を受け、生前にはなかった趣味やキャラクター性を会得している英霊も少なくない。
これらには英霊の座に時間の概念がない関係上、全部覚えているとタイムパラドックスを容易に生みかねないリスクを回避するため、記憶を調整される作用も大きい。それ故、人理焼却など歴史の修正力自体が機能していない状況が続く世界では、その条件が解決されるまで再召喚時の記憶持ち越しが比較的容易となる模様。
なお、英霊にもある種の区別が存在する。
- 生前の偉業が称えられ英霊となった一般的な英雄。
- 世間から悪と認識されながらも結果としてそれが人々の救いとなったもの、自らを強大な悪として有象無象の小さな悪を打ち消すもの、本人の意思とは裏腹に周囲が救い手と祭り上げたもの、このいずれかに該当する反英雄。
- 生前、英雄としての力の代償として死後の自分を星に売り渡した守護者。
反英雄ではない英雄は、純正とされる。真っ当な英霊であり、呪いに耐性がないため、黒い影に触れるだけで激しい痛みとともに霊基が蝕まれる。反英雄は根が近いため蝕まれはするが、強い痛みはない。
他にも信仰や伝承の知名度などの条件さえ整えば、人間以外の生物、架空の人物や概念、偉業、現象そのものすらサーヴァントとして召喚することが可能。
オルガマリーによれば、実在した英雄であれ、実在しなかった英雄であれ、彼等が"地球で発生した情報"である事は同じであり、英霊召喚とは、この星に蓄えられた情報を人類の利益となるカタチに変換することであるという。
架空の人物、概念、現象を除いた英霊の共通項として、ヒトとしての死を迎えていることが英霊であることの絶対条件である。
そのため、歴史の中で功績こそは残してはいても、なんらかの事情で死ぬ間際、あるいは死ぬことができなくなったため世界が終わる時まで生き続けなければならない者は、英霊級の実力を持っていても厳密には英霊ではなく、そもそも生きているために本来は召喚されることは叶わない存在。
とはいえ、スカサハは『EXTELLA LINK』では普通に召喚されている為、ムーンセル・オートマトンによる召喚は話がまた別であるらしい。
何らかの契約、あるいは特殊な召喚のシステムを介することで、本来のサーヴァントとは若干異なる形だが召喚することが可能である。一応、死んではいるが自分が死んだという事すら認識できないほどの狂気に囚われていたバーサーカーも存在する。
なお英霊とは本来、世界の危機に際して世界自身によって運用される兵器のようなものだが、同時にそれだけに留まらない役割を担っていることが示唆されている。
『Fate/strange Fake』においては死徒が“人類史を否定するモノ”、人間世界のルールを汚すために存在してきた地球そのものの影法師であるのに対し、英霊は“人類史を肯定するモノ”、人間世界の秩序(ルール)を護るものである人類史の影法師と語られている。
『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』においてはロアが「英霊も死徒もつまるところゴールは同じ。『この星の最終解答』だ」と発言しており、反英雄である巌窟王は特に“こちら寄り”であるとして、彼に対し自身の行う儀式へ手を貸さないかと勧誘を行った。
その他にもTYPE-MOON BOOKS vol.15内収録のロード・エルメロイⅡ世の冒険用語集では、思想魔術の術者のうち最上位の思想鍵紋を受け継ぎ、その能力を完全に引き出すに至った者(天仙)は半ば世界と融合しつつある状態となり、ある意味で境界記録帯にも比肩する影響力を持つことになるとされるなど、英霊を戦闘力ではなく影響力で引き合いに出す解説が為されている。
英霊をサーヴァントとして召喚するための器「霊基」の特性で、英霊それぞれの能力や逸話に応じて7つのいずれかに分けられ、基本的に重複はしない。
複数のクラスに該当する英雄の場合、サーヴァントとして召喚される際は、いずれかのクラスに該当する側面が召喚される。
元が同じ英霊でも、クラスによって姿・能力などが異なる別個のサーヴァントとして召喚される場合がある。
クラスがある理由は、如何に聖杯といえども精霊に近い存在である英霊を、ヒトが無差別に呼び出すことはできないため。
悪魔と呼ばれる第六架空要素の実体化には“人々が創造したカタチ”が必要なように、 英霊たちもこちらの世界で活動できるカタチが必要。そのため予め使い魔としての役割を用意しておき、召喚された英霊がその役割に憑依することで、仮初めの物質化を手助けする。
基本7クラス
| セイバー | アーチャー | ランサー |
|---|---|---|
| 剣士のサーヴァント | 弓兵のサーヴァント | 槍兵のサーヴァント |
| ライダー | キャスター | アサシン |
| 騎兵のサーヴァント | 魔術師のサーヴァント | 暗殺者のサーヴァント |
| バーサーカー | ||
| 狂戦士のサーヴァント | ||
セイバー・アーチャー・ランサーをまとめて"三騎士"と呼び、これ以外の4つを(こちらはややマイナーではあるが)"四騎士"と呼ぶ。
クラスカードとアイコン
クラス適性
大抵が生前の英霊に纏わる逸話、主に功績や武器が条件となっているが、以下の変化球も存在する。
- (公式で言及されない場合を含めて)本来は適性がなく、本人の要望で獲得してしまったパターン
- 死因が由来のパターン
- ランサーのメドゥーサなど
- ただし、アーチャークラスでありながらヒュドラの毒矢を扱わないケイローンなど、宝具は死因にならないパターンもある。
- 親族に由来するパターン
- そもそも該当する逸話なし
- 赤ランサーなど
この他、原典でクラスに該当する逸話があるが公式設定で言及されていないというケースや、実際に行使される能力や持ってくる宝具が逸話にない要素を持つ斜め上な代物というケースもある。
二重召喚
読み方は「ダブルサモン」。
三騎士及びエクストラクラスを除いた、ライダー・バーサーカー・キャスター・アサシンの4種については召喚の際に特殊な条件付けを行う事により、2つのクラス別スキルを保有することが可能。これ自体もサーヴァントにとってはスキルの1つとして付与される。
作中で正式な形で描写されているのは現状セミラミスのみだが、『EXTRA』では李書文が強引な令呪移植の影響で二属性持ち(マルチクラス)となったり、『Grand Order』ではジキル&ハイドが通常のジキルはアサシンで宝具を使うとバーサーカーのハイドにスイッチする、という形で実装される等の例がある。
仮称として
聖杯戦争ではサーヴァントの真名(本名、諱)を知られると容易に弱点を露呈してしまう恐れがある為、真名を隠しクラス名で呼ぶのが一般的であり、場合によってはマスターにさえ隠す事もある。
そのためシリーズ当初はサーヴァントの正体、あるいはそれを探る経緯が物語の重要な要素になっており、真名だけで呼ばれるのはこの人くらいしかいなかった。
それゆえ歴史やクラスから真名を考察するという、推理小説のような楽しみが生まれた。
しかし近年では派生作品が増えた事により、クラス名だけを使うと個々の区別がつきにくくなったというメタ的な事情で、真名を晒すリスクを気にしない英霊や、隠すことに意味のない世界線も増えてゆき、『Grand Order』以降、ファンの間では真名で呼ばれるのがほぼ一般的になった。
一応現在でも、七組のマスターとサーヴァントによる聖杯戦争を描く作品やストーリー内では、その中に限りクラス名で呼ぶローカルマナーも残っている。
サーヴァントの特徴の1つとして、生前の英雄としての逸話や伝説に応じた能力を具現化したスキルと宝具を持つ。
サーヴァントたちの能力、その在り方については大きく二種に分類されている。
第一に、生前の逸話や後世で付加された伝説・伝承によって強化されている者。
歴史上の人物など現実に実在する者は主にこちらへ分類される。如何に勇猛果敢で知られる将軍であろうと、生来の能力は現実の範疇に収まっている。ただし、生前から魔術なりの神秘を備えていたのであれば、当然話は異なる。
第二に、サーヴァントという枠に当て填められる事によって、生前よりも力が弱体化している者。
神話、伝説、伝承に登場する存在がこちらに分類される。例えば神代の大英雄であれば間違いなくこの分類だとされている。
『Fate/EXTRA』においては、この二つを「神話系体(マイソロジ)」及び「史実系体(ヒストリア)」と分類している(出典)。
霊基を再臨させることで、英霊としての原初の力に近づくことはできるが、いくら再臨を繰り返しても通常は英霊の座の本体より能力が上がることはない。だが、例外はいくらでも存在する。
ステータス
これらのパラメータはマスターが最も認識しやすい形で確認でき、ゲーム中で閲覧できるステータス画面はこの機能によるものと設定されている。
基本パラメータ
以下の6つ。ゲーム中の設定説明や奈須きのこ氏のインタビューではゲーム用語に近い表現がされていることから、ここではそれに応じた意味も併記する。
| 項目 | 内容 | ゲーム用語
|
|---|---|---|
| 筋力 | 肉体的な力の強さ | STR:腕力
|
| 耐久 | ダメージにどれだけ耐えられるか | CON:耐久力
|
| 敏捷 | 素早さ、反応の早さ | AGI:敏捷
|
| 魔力 | 魔力をどれだけ扱えるか | MGI:魔力
|
| 幸運 | 運の良さ | LUK:幸運
|
| 宝具 | 所有する宝具の強さ | (無し) |
ランク
基本パラメータ、能力が形となったスキルや宝具、召喚時の各クラス特有のスキルは、それぞれが低い順にE~A、EXのランクで区分されている。
ランクに+表記がついている場合は、瞬間的に能力を倍化できる。数によって倍率が変わり、+は2倍、++は3倍、+++は4倍。
例えばE=10、D=20、C=30、B=40、A=50とした時、「B+」は普段は40だが一瞬だけなら(40×2=)80にすることができ、Aを大きく上回れるというもの。
最近はステータスにA+やEXなどある英雄が増えているが、コンプリートマテリアルで幸運Bのアルトリアをよほどの幸運と説明していることから、普通レベルがD~Dで、Bで高水準である。また+による倍加は一瞬しか発動しないので、常時は+無しと変わらない。
逆に-表記がついている場合は、判定上はそのランクだが実際の能力はそれ未満であるもの、また安定しない数値を表す。
例えば「B-」である場合、各種判定はBであるが実際の能力そのものはC程度でしかなかったり、安定してB相当の能力を発揮できなかったりする。
なおEXは文字通り規格外、つまりE~Aの強弱で括れないといった意味であり、単純に比較の意味がないほどの強さとしてAより強力という時もあるが、あまりに異質・特殊である場合もEXと判定され、その際は単純な出力ではEにすら劣る場合もある。
※これは後から改訂された設定であり、設定資料の1つ『コンプリートマテリアルvol.3』が出た段階では"EXは別格で、比較する意味がない程の強さを表す"としか記述されていなかった。
性能を分かりやすく視覚化した、10(E)~100(A+)までの数値で表記されたゲージを見ると、EXランクはメモリがカンストし、100を超えた性能として記載されている。また+などの数値が変動するものは増えるメモリを違う色で塗られているが、EXはEからAと同じ色で塗られている。
また計測不能であったり、カウントがオーバーしているのではなく数値にすることが出来ないパラメータは「★」で表される。
昨今では「-」という「表記なし」も登場しており、方向性は異なるだろうがこれと同様の意味を持つ……のかもしれない。
ステータスは項目ごとに他サーヴァントと比較出来るようになっているが、この比較は項目だけを取り出した参考値であり、様々な要素が複雑に絡み合う実戦に当て嵌められるものではないとのこと。
要は、6項目しかパラメータがないが、実戦では項目がさらに細分化されるので、強さを比較するにはかなり大雑把なものになっている。コンプリートマテリアルの説明によると、場合によっては敏捷Cのアルトリアが敏捷Aのクー・フーリンより素早く動くこともあるとされる。
また同じステータスでも得意分野などが異なったり、力量によりステータス以上 / 以下の戦闘力を発揮したりすることから、他のサーヴァントとの比較に使うというより本人の得手不得手を確認出来る程度と思っておいた方がいい。
※能力値とは別の総合的な強さは奈須氏が決めているので、能力値だけでは強さは決まらないとのこと
スキルの場合は、同じ名称・同じランクでも個々のサーヴァントによって効果が微妙に違ってくる事がある。
英霊の格
サーヴァントとしての能力は呼び出された英霊の格によって変わる。
勿論、生前どれくらい強かったかというのも大きいが、その能力を「知名度」がどれだけ支えられるかによっても決まる。
例えばクー・フーリンは、アイルランドでは高い知名度を誇るためヘラクレスやアーサー王に並ぶ存在になると言われているが、日本では知名度が低いため本来の力より劣ってしまう。
生前何をしたか、どんな武器を持っていたか、というのは不変のものだが、基本能力はその時代でどのくらい有名なのかで変わってくる。
英霊は神のような存在のため、人間に崇められれば崇められるほど強さが増し存在が濃くなる。信仰を失った神霊が精霊に落ちるのと同様、人々に忘れ去られた英雄にはそう大きな力はない。だが忘れられていようが知られていなかろうが、元が強力な英雄だったらある程度の能力は維持できる。
多くの人が知っている英雄で、かつその武勇伝も並はずれていたら間違いなくAランクのサーヴァントとのこと。世界規模で知られている英雄は10にも満たず、今のところ判明しているのは、ヘラクレスとアキレウスである。
魔力による現界
サーヴァントの召喚や現界に必要な魔力は聖杯戦争中に限りある程度は聖杯から供給されるため、魔力の少ないマスターでもサーヴァントの召喚及び現界の維持は可能。
ただし、戦闘行為や宝具の使用にはマスターの魔力が用いられるため、魔力の少ないマスターだとサーヴァントのパラメータが下がったり、宝具を使えなくなったりする場合もある。
加えて、マスターには「サーヴァントが現世に留まるための要石」という役割もあるため、マスターを失うとサーヴァントは自力で要石となる存在を捻出しなくてはならなくなり、他のマスターと再契約するか、人を襲い「魂食い」で大量の魔力を得ない限り消滅することになる。
なお召喚に必要な触媒が概念ではなく遺物だった場合、この遺物も要石として機能する。とは言えマスターが健在であればさらに万全となる。
一応サーヴァント自身が別のサーヴァントのマスターになる事も原理的には可能だが、自らは魔力源や要石を担えないのが彼らである為、上記遺物など代わりとなる手段を用意していなければ机上の空論に終わり非常に困難。
傷つけば人間同様に血を流すが、血液ではなく魔力を主動力としているため、サーヴァントは出血多量で弱る事はあれど死ぬことはまずない。
人間の戦闘であれば敵の手足の付け根を切り落とすという出血を狙った戦術もあるが、サーヴァントは上述で述べたように血液よりも魔力が生命線であることと、大動脈を欠損しても再生することからこの戦術の効果は薄い。
四肢の切断となると話は変わるが、易々と手足を刈り取られるサーヴァントはまずおらず、逆に相手の手を1本獲ったら自分の首を獲られていたということが起こり得る。
同様にサーヴァントは生物的な肉体を持っていても、生理活動(食事、睡眠、排泄、発汗等の恒常機能)は必ずしも必要では無い。肉体の実感を得やすい様に無意識にそれらの生理活動は再現されているが、その気になれば任意でOFFに出来る。逆に魔力不足やデバフを空腹や疲労、体調不良という実感しやすい形で再現する事もある。
実体化していても高次元の存在であることは変わらないため、通常の物理現象では核兵器だろうと全くダメージを受けず、良くて痛覚を刺激する位。サーヴァントを害するには、その存在に比類する「神秘」が不可欠であり、ただ単に魔力を用いるだけでは蚊が刺す程度のダメージしか与えられない。
この定義は、現在進行形で様々な描写が増えているがゆえ曖昧になりやすく、ファンによる解釈論争も非常に起こり易い。
一応、サーヴァントが起こした物理現象も「神秘が絡んだ事象」と見做される為、彼らが手にする普通の武器や、物体への叩きつけなどはダメージになり得る他、英霊や聖杯の影響を受けた力や、現存する宝具やサーヴァント以上の神秘を持つ魔術といった手段で神秘の壁を突破さえできれば、現世の人間でもサーヴァントやその眷属を倒すことは理論上可能である。
同様にサーヴァントに影響するような神秘が関わらなければ、いくら身体を鍛えたり暴飲暴食をしても、肉体的変化は一切起こらない。
肉体も基本的な着衣も魔力で編まれたものであるため、その肉体から切り離された毛髪や衣服の断片などは、しばらく時間が経つと疑似的な物質であることをやめ、本人の魔力に還元される。
また、聖杯戦争が終了すると聖杯から魔力が供給されなくなるため、大抵の場合マスターの魔力だけでは現界に必要な膨大な魔力を維持できず、勝ち残ったサーヴァントであっても結局は退去する運命にある(規格外の魔術師がマスターだった場合や、聖杯に「2度目の生」や後述する「受肉」を願えば話は別になる)。
霊体化
サーヴァントは基本的に実体を持てる幽霊のようなものなので、自分やマスターの意思で物質的な肉体を魔力分解する事で霊体化して物理的に消えることが可能。また霊体化すると、身体の汚れや実体化中に傷んだ髪なども元通りになるという。
その間はサーヴァントに対する物理的干渉を完全に無効化できる為、マナの薄い無機物をすり抜けたり人目から隠れたりできる。サーヴァントの維持に必要な魔力消費量も著しく低下するが、物理的影響を他者に及ぼすこともできず戦闘行為は行えないため、マスターは無防備になってしまう。
また霊体状態は完全に無敵というわけではなく、敵の魔力攻撃に対して完全に無防備になるとされ、もしも魔術師やマスターに霊体を攻撃する術があった場合は一方的に消滅させられる恐れがあり、一例として直死の魔眼等であれば霊体状態でも殺せる事が明言されている。
なお、Fate/strangefakeにおいては偽アサシンがオーランド・リーヴ他数名の警察官に姿を目撃されそうになったことで咄嗟に霊体化したものの、上記の理由から再び即座に実体化を行っている。
この時点での偽アサシンによるオーランドの認識は単に“魔術師である”というだけであり、彼がマスターであることや英霊を打倒し得る贋作宝具を有することを把握しておらず、そもそもこの時は贋作宝具を装備していない。
にもかかわらず実体化による警戒を選択していることから、霊体化中のサーヴァントを一方的に消滅させられる可能性のある攻撃は特別な異能や神秘の類のみならず通常の魔術の中にも含まれていることや、サーヴァントにとって戦場において霊体のままでいることはかなり危険であることが窺える。
他にも、特殊な事情がある一部のサーヴァントに関しては、霊体化できない場合もあり、霊体化を好まず普段から実体化しているサーヴァントもそれなりにいる。
また、霊体化と実体化の切り替えの瞬間も刹那の戦いの中では致命的な隙となりえると言われたり、霊体化していても他のサーヴァントや霊感の強い人間には姿が見えてしまう事もある。
その他
サーヴァントとマスターは魔力で繋がっているため、記憶や認識をある程度共有したり、テレパシーのように会話したりすることができ、これらはマスターやサーヴァントの意思でシャットすることも可能。ただし感覚器官をリアルタイムで共有する場合は、サーヴァントは実体化していなければならない。
また、概念と遺伝子が入り交じるサーヴァントに、外見で人種を見て取るのはナンセンスな場合が多いと作中では言われている。
魔術師が聖杯戦争の舞台となる土地とタイミングで特定の儀式を行うことで、クラスに応じたサーヴァントを召喚することができる。
ただし、聖杯戦争開始時期になってもマスターとなる魔術師が揃わない場合、マスターとしての才能を持つ一般人の前に強制的にサーヴァントが召喚される場合もある。
召喚条件
英霊召喚は時代・土地・人理の在り方により難易度が変わるが、最低条件は以下の3つ。
- 聖杯もしくは霊脈の有る土地
英霊を呼び出すために必要な力の源泉の事。彼らを喚び出すに足る魔力源がどこにも無ければ、そもそも召喚自体出来ない。
- 土地そのものが持つ記憶
土地というブロックに存在する持つ記憶や歴史。
例えば召喚地が日本列島の場合、北海道・本土・四国・九州・付属諸島のブロックごとに大体の日本人英霊を呼び出せるほか、日本で電球の芯となる竹と出会ったエジソンのように、他国生まれでもその土地に強い縁があれば召喚が可能。
- 召喚者本人
召喚者個人が持つ記憶、すなわち遺伝子=血。
魔術師の血の中には延々と紡がれる遺伝と言う名の縁があり、触媒を一切使用しなかった状態で上記2つが当人にとって縁のある地域の場合、召喚者の遺伝と近い物が縁を結びやすい。
- 『stay night』にて、触媒無しで召喚を実行した日本人の遠坂凛は、召喚地である冬木市出身の日本人英霊を呼び出している。
- 『Grand Order』にて、霊脈を見つけては手当たり次第に行ったギリシャ人のオデュッセウスがフランス人のコルデーを召喚したが、これはオデュッセウスの末裔がローマ帝国=ヨーロッパ文明であるため。
召喚が失敗する状況もあるが、それは
- 上記最低条件の組み合わせが正しく成立していなかった(その土地で自身と縁のある英霊がいなかった、あるいは遠かった)
- その触媒に該当する英霊がいなかった(完全な偽物の遺物。ただし、英霊によってはそれでも呼べる場合がある)
の2つが大きな原因であり、こじつけの縁すら全く無ければ召喚不可能というのが、現代の魔術師の共通認識。
召喚詠唱
素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。 (※1)
降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すつどに五度
ただ、満たされる刻を破却する
―――――Anfang(セット)
――――――告げる
――――告げる
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ ※2
誓いを此処に
我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者
(されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者―) ※3
汝三大の言霊を纏う七天
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!
※1 - マスターの起源や個性、系譜など様々な要素による一節が組み込まれることがある。
例えば遠坂家は「祖には我が大師シュバインオーグ」。
また『Apocrypha』では各陣営の色を宣言する一説が加えられている(黒の陣営「手向ける色は“黒”」、赤の陣営「手向ける色は“赤”」)
※2 - アニメ版『冠位時間神殿ソロモン』の公開直前PVで明らかになったカルデア式召喚の詠唱は、現在分かっている範囲でこの後が
人理の轍より応えよ
汝星見の言霊を纏う七天
糾し、降し、裁き給え
天秤の守り手よ―――!
となっている。
※3 - 括弧内はバーサーカー召喚の際に加えられる。アサシンも同様に追加詠唱が必要なようだが、文面は不明。
召喚の傾向
召喚時に呼ばれる英霊は、基本的にはマスターと波長の合う、性質の似た気質の者が召喚されるが、基本がマスターと別の性格であっても、別側面のパターンとして比較的性質の似た側面が選ばれて召喚される。
※ここで言う「性質の似た」とは文字通り性格等が似ている事を意味するが、イコール相性の良いサーヴァントとなるとは限らず、性質が似ているが故の同族嫌悪が起こりうる可能性が作中で指摘されている。
このように、基本的に聖杯によってマスターとサーヴァントの組み合わせは決定されるが、英霊指定召喚の場合は根本的に主従の反りが合わない場合もあり、そこから生じる仲間割れのリスクも内包している。
なおマスターの人格的影響を受けることも有り、個体差はあるがマスターの性質に引っ張られて冷酷さや凶悪さがマシになったり、逆に酷くなるケースもある。
決められた手順で儀式を行ったり、特定の英霊と縁の強い遺物を触媒として用いれば、完全では無いが誰が召喚されるのか狙う事が出来る。
クラスの指定も、バーサーカーは前述の追加詠唱によって可能だが、それ以外は不可。
ただし触媒を用いても、絶対に召喚できない英霊という物は必ず存在する。
実在しない架空の英霊も確かな信仰さえあればサーヴァントとして召喚可能だが、中には架空の英霊そのものではなく、そのモデルになった人物、もしくはその架空の英霊と類似点のある人物が召喚される場合が存在する。詳しくは「幻霊」の記事で。
また、冬木の聖杯戦争は大聖杯の製造元が西洋のアインツベルンであり、そもそも聖杯という概念自体が西洋のものであるため、基本的に東洋圏の英霊は(何らかのイレギュラーな要素がない限り)召喚できない。
派生作品ではアインツベルン製でない聖杯を使った別の聖杯戦争が描かれるケースが多くなり、知名度補正を除けば出自を問わない英霊召喚の比率が多くなっている。
召喚に応じるかは英霊の自由であり、例え触媒を用意してもサーヴァントとして強制的に召喚出来る訳ではない。当然、召喚されるメリットを英霊は求め、それがないのなら拒否する。
「聖杯で願いを叶えられる」と名目を掲げるマスターもいるが、逆に聖杯という対価がなくても召喚に応じる者もいる。しかしエミヤの弁によれば、英霊の格や種類によっては召喚を拒否できない可能性もあるらしい。
また、一部のサーヴァントは、自らの同士や家臣達を、E-相当の単独行動スキルを持つクラス無しサーヴァントとして召喚できる宝具を持つ事がある。
主に騎獣ありきのライダーや、彼らこそが自らの人生・功績であると考える英霊に見られる傾向で、召喚に応じるかは各員の自由意志による模様。
1人のマスターが契約できるサーヴァントは、基本的に1人のみ。マスターを失ったサーヴァントとの再契約などで2人以上のサーヴァントと契約する事も可能ではあるが、その分維持に必要な魔力も倍増するため、何らかの形で魔力を補える状態にない限りは現実的ではない。
『EXTRA』においては召喚方法がムーンセルのデータベースに記録された人類史から英雄を召喚するという形式になっており、サーヴァント自体も第三法と呼ばれる魔術で実体化した霊子生命体という扱いである。
ただし、ムーンセルに記録された人類史は、多元的に英霊の座と繋がっており、ムーンセルに召喚された場合でも、英霊の座に記録がフィードバックされる。
サーヴァントが聖杯の力などによって物理的な肉体を手に入れること。
先述した通り、聖杯戦争が終了した時点でサーヴァントは消滅するのが原則だが、受肉すれば、マスターや聖杯の支援無しに行動する事が可能。
デメリットとして、霊体化ができなくなる、重傷を魔力だけで回復できない、食事や睡眠を必要とし、月日が経てば老化するなど人間に近い存在となる。
受肉自体に人格を変質させる要素は無いが、マスターや聖杯の有無といった制限から解き放たれた事で(令呪が効果を発揮するかは前例が無いため不明)、一部のサーヴァントは人類選別、世界征服、人類の救済といった野望に本腰を入れる様になる為、現世にとって非常に危険な存在となりかねない。
また、受肉した状態で死亡した場合でも、英霊の座に記録はフィードバックされ得る模様。
基本的に受肉によって能力が消失することは無いが、『禁忌降臨庭園 セイレム』では、偽りの受肉によって通常の人間と同じ状態となる等、弱体化する場合もある。
受肉したケース
| サーヴァント | 作品 |
|---|---|
| ギルガメッシュ | |
| セイバーオルタ | Fate/stay night Heaven's Feel |
| ヘラクレス(黒化) | Fate/stay night Heaven's Feel |
| 天草四郎時貞 | Fate/Apocrypha |
状況が特殊なパターン
マスターのいないサーヴァントの通称。逸れのサーヴァントとも呼ばれる。
何らかの理由でマスターを失ったパターンと、土地や聖杯に喚ばれたパターンに大別される。
立場以外は従来のサーヴァントそのままだが、魔力切れの消滅を避ける意味でも、マスター不在での無計画な戦闘行為は自粛する者が殆ど。
- オルタナティブ
通称オルタ。
英霊の持つ負の側面が召喚者の干渉や強力な呪いによって表在化した状態。一般的には悪堕ちのイメージを持たれているが、中には謎のヒロインX〔オルタ〕や沖田オルタといった元の英霊から乖離したコピーというのも存在する。
性質が特殊なパターン
別名:人類悪。エクストラクラスの1つであるが通常のサーヴァントを遙かに上回る力を持ち、後述の冠位(グランド)を冠するサーヴァント達が対処をする存在。
人類悪を滅ぼすために召喚される人類最高峰七騎の英霊。本来、世界が持つサーヴァントや英霊といったシステムはこの為に行使されるものであった。
- シャドウサーヴァント
文字通りサーヴァントの影。影の国の女王曰く、英霊に後一歩及ばなかった霊体・もしくは召喚者の実力不足や召喚陣の不備で影となった英霊の総称。
通常のサーヴァントと違って核となる魂や霊基を持たない抜け殻であり、オリジナルとなったサーヴァントと容姿こそ同じものの、明確な自意識はほぼ無く亡霊のようにさまよう存在。
『FGO』や『EXTELLA』シリーズに登場し、全身が黒く塗りつぶされて黒い霧を纏い、辛うじて輪郭だけが分かるものがほとんど。
ある程度存在の強いものになるとサーヴァントの持つ霊核を欲し、襲い掛かってくる。
宝具を所持するなどサーヴァントとしての性能は一応保持しているものの、オリジナルと比べると格落ちしている。
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』にも、似たような存在が登場するが、同じものかどうかは不明。
成り立ちが特殊なパターン
- 幼年体・リリィ
本来、サーヴァントはそのクラスでの全盛期の姿で召喚されるが、何らかの要因によって全盛期よりも若い、未成熟な姿で召喚される場合がある。
女性サーヴァントの場合は名前の後に「リリィ」と付けられる事もあるが、未だ正式な総称は出ていないため、ファン界隈では仮称として、上記の黒に対して「白化英霊」などと呼ばれている。
英霊や神霊を現世の人間に憑依させてサーヴァントとして成立させたもの。
英霊と人間を融合して成立させたサーヴァント。
- 準サーヴァント
詳細不明。
宇津見エリセが該当しており、今後出てくることがなさそうな例外。
複数の神話エッセンスを合成して作られた人工サーヴァント。
- 贋作英霊
聖杯の所持者が自らの理想とする設定を付け加え作り出した英霊の贋作。座には残らずに消える存在だが、ジャンヌ・オルタのような例外もある。
設定を上書きするため召喚時に霊基を弄ったり継ぎ接ぎしたりした結果、外見はともかく人格やクラスが多少変化している者が殆ど。一様に贋作であることに多少のコンプレックスを抱いているようだが、召喚者を恨んではおらず、逆に普段とは違う自分になれたことに感謝している。
特殊な呪術により、虐殺を繰り返す修羅の屍へと堕ちたサーヴァント。
特殊な枠組み
『Grand Order』の期間限定イベントに登場する、どちらかと言えばギャグシナリオ寄りの存在。
- クラスカード
『プリズマ☆イリヤ』シリーズに登場するサーヴァントの形。
英霊の力を術者自身が纏うことによって、マスターが一時的にサーヴァント化できるシステムである。形態としては上記のデミサーヴァントに近いものだが、具現化するのはサーヴァントの能力のみであり、人格は基本的に召喚者自身のままで変わりがない。
具体的な運用実態などに関しては「夢幻召喚」を参照。
その他
『Grand Order』ではTYPE-MOON作品のサーヴァントではないキャラクターが、サーヴァントとして複数登場する。
これは人理の危機という特殊な状況のために「特定の人物が英霊となった可能性」として登場したり、疑似的なサーヴァントとなっていたり、カルデアの召喚術式が聖杯のものと異なっているからであると思われる。
『EXTELLA』ではオルタ化とは異なる汚染で性質を歪められたサーヴァントが登場する。
サーヴァントが使い魔としてどのような意味で規格外であるかは、一般的な使い魔がどのような存在であるかと比較するとわかりやすい。
ここでは『魔法使いの夜』内で言及された、一般的な使い魔の定義と、それらと比較した場合にサーヴァントがどのような意味で規格外であるのかを記述する。
定義
使い魔とは魔術師が使役するロボットのようなものであり、「従者」や「ペット」のようなもの。多くの場合は小動物をベースに作られる。
これは使い魔は術者からの魔力供給で動くタイプが多く、大きな使い魔であるほど魔力供給を必要とするためである。このため魔力消費が少なく、一度作ってしまえば栄養(どうりょく)を自力で補充できる小動物は便利な存在として好まれる。
基本的な活動は素材集めや外界の偵察、外敵の駆除など。魔術師は工房に籠って研鑽を重ねるのが生業であるため、それらの活動は信頼できるものに任せるのである。
役割が重複しているように思える弟子と使い魔の最大の違いは、能力的に上回り得るかである。魔術師にとって弟子とは業を引き継いで師を超える後継者であり、そうでなければ取る意味がない。彼らにはいずれ師を超える義務があり、師の側もそういう者でないなら弟子には取らないのである。
一方で使い魔は造られた時の性能が全てであり、成長しないため後継者にすることはできない。
これらのセオリーから外れた戦闘用に調律された自動人形、人間互換できる知性を持つ使い魔なども存在しているが、大抵は術者本人が済ませた方が早かったり、もっと安い材料で代用できるなどコストが高いだけであり、そのような使い魔を作ろうとすることは基本的に手段と目的を取り違えるだけの結果に終わる。
なお使い魔はその性質上作成した魔術師の能力を超えることはないが、使い魔が魔術師本人よりも弱いとは限らない。術者本人の1/10程度の性能しかなくとも、術者より“強い”使い魔を作ることは簡単である。
いわゆる人形師と呼ばれる、使い魔の使役によって戦闘を行うタイプの魔術師はこのケースにあたる。
比較
以上の情報を踏まえると分かりやすいが、サーヴァントが使い魔として規格外なのは単に戦闘力が高いからではなく、使い魔でありながら人間互換の知性を持ち、マスターである魔術師を上回る能力を有するがためである。
(そもそもサーヴァントとは、前述したように存在そのものが魔術を上回る神秘である)
このような存在が使い魔として成立しているのは、サーヴァントが魔術師本人によって造られた使い魔ではなく世界に刻まれた情報を呼び起こしたようなものであり、召喚そのものも厳密にはマスターではなく聖杯などが行なっており、召喚者本人は要石として呼び出されたサーヴァントを現世に繋ぎ止めるだけでいいためという理由によるものである。
むしろ、万能の願望器である聖杯を持ってしても英霊そのものの召喚は叶わず、その一側面をクラスに当てはめて抽出し召喚することが限界であるあたりに、英霊という存在がいかに規格外であるかが窺い知れるだろう。
(魔術師本人を超える使い魔の例は他にもないわけではないが、そちらは曲がりなりにも召喚システムが確立しているサーヴァント以上の例外である)
サーヴァントになりうる偉人の中には宗教絡みの人物、権利関係がある人物、近年の政治絡みの人物、割と最近に亡くなった人物もいる(史実出身で最も没年が遅いのはテスラ:1943年)ため、リヨ鯖のように真名を伏せたまま(それと思しい人物の没年は1978年)ならともかく、そうでない場合は問題になりうる危険性があるため、基本的にはそのような英霊は登場しない傾向にある。
ヨーロッパは、神話関連でギリシャ・北欧・ゲルマン出身、聖書関連でイスラエル出身、ローマ帝国関連でイタリア出身が多い他は、イギリスとフランスに偏っている。
中東は、メソポタミア神話関連と、独自の解釈によるアサシン教団の当主が中心で、他は伝承由来の1騎、史実出身は1騎のみ。
アフリカは、ファラオ関連でエジプト出身は比較的多いが、他はエチオピア2騎とコンゴ1騎のみ。
南北アメリカは、北米は徐々に増えてきているが、中南米はアステカ・マヤ神話関連のみ。
オセアニアは、アボリジニー神話関連の1騎が20周年を前にようやく登場した。
地域をアジアに限定しても、
- 日本:日本神話関連以外は、平安時代・戦国時代・幕末出身が中心。平安時代における平家の関係者や、それ以前の時代の人物(弥生2騎、古墳1騎、飛鳥〜奈良1騎)が極端に少ない。
- 中華圏:三国時代・封神演義関連中心。春秋戦国の人物は1騎のみ。
- インド:インド神話関連が中心。十六大国など史実の人物はまだ2騎しか登場していない。
- それ以外の地域については、朝鮮半島由来の人物はまだ未登場で、東南アジア圏もベトナム1騎のみである。
サーヴァントの中には、型月の独自解釈が過ぎるパターンもあり、史実とは大きく異なるサーヴァントも登場する。
もはやお家芸。FGO以降はなんとかして理屈をつけている事が多く、型月世界に置いても生前は男性だったが様々な要因で女体化したというパターンも出てきている。
異星人の巨大戦艦(合体機能付き)であるオリュンポス十二神及びその加護や祝福を受けた英雄。
日本の平安時代の源氏一門など時代地域を問わず結構いる。
劇中の台詞から「ギリシャ以外にもいるのはオリュンポス十二神の残骸が漂着しそれを利用したのでは?」と言う説が有力。
主に中国の夏王朝がサイバー技術を有した古代文明という設定で、その技術を用いてサイボーグ化したサーヴァントが登場する。
- クトゥルフ関係者
主にフォーリナークラスの事。何らかの理由で名状しがたき邪神の力を得ている者たち。
- 番外:ケルト戦士のぴっちりスーツ
史実では「全裸に入れ墨」なのでやむを得ずといった所。
その強さ
直接的な言及こそ多くないものの、奈須きのこを始めとするライター陣より度々言及されている。
「アルク以外にサーヴァントとガチンコできるのか?」という質問に対しては、
「一対一、宝具が極めて平均的なものであるなら…という前提でいきます。二十七祖のほぼ全員、軋間紅摩、蒼崎青子。防衛戦だが戦闘になる、というのであればシエル。
式、志貴の主人公コンビはサーヴァントには及びません…でも、「両儀式」ならシエルクラスまであがるかも。」
とのこと。また埋葬機関のメンバーは人の身でありながらサーヴァントと渡り合うことが可能とされる。
ただし月姫関連のキャラクターはリメイク前後で設定が大きく変更されたケースも多く、原作者である奈須きのこ氏もコンマテ焚書事件のように過去の設定を「あれは嘘だ」と白紙に戻すことが度々あるため、上述のリメイク前における設定が現在も残っているのかについては疑問視されることも少なくない。
一例として先述したシエルのスペックを挙げると、リメイク前は魔力量が一般の魔術師を40とした際に4000、武装は黒鍵とパイルバンカーの第七聖典であり、体術は鍛えているとはいえ対城レベルではないので不死身でないなら埋葬機関の戦力としての魅力はないという扱いであり、機関長のナルバレックから戦死による足切りを目的として二十七祖の一角である腑海林アインナッシュの討伐に派遣させられ、一命を取り留める形で帰還している。
一方でリメイク後のシエルは魔力量が一般の魔術師を20とした際に5000、第七聖典は対吸血鬼武装車両(7つの死因に準えた武装に個別分解可能)であり、前述のアインナッシュを含む3体の祖を本編開始前時点で討伐し、その原理血戒をもとに大魔術(そのうちの1つはエクスカリバーと同格の神秘とされる)を開発した。
また他に偉大な者、(戦力的な意味合いで)おかしな人はいるとされながらも、シエルの破城弩弓による狙撃技術は超人の巣窟である埋葬機関をして“特例”と言わしめるものであり、それ以外にも神域の衝撃伝達技法による“死徒が死徒を殺す”為の剣術なども習得しているなど、リメイク後では主に不死性以外の部分で埋葬機関の戦力としての評価を受けている。
さらにリメイク前ではなす術のなかった暴走状態のアルクェイドを、リメイク版ではルート次第で倒す事に成功(なおその後...)しており、これらを踏まえると、死徒二十七祖の討伐数が0であるリメイク前でサーヴァント相手に防戦は可能とされていた事から、逆説的に死徒二十七祖のうち3体を単身で討伐し、劣勢とはいえ本気のアルクェイドとも戦闘らしい戦闘が成立しているリメイク後のシエルは、サーヴァントと同等以上の戦闘能力を有しているのではと見做される事が多い。
(ただしこれらの見解は作中描写から推定されるファンの間での見解であり、公式から明言されてはいない点には留意すべきである)
また劇場版HF1章の一問一答において全盛期のマキリ・ゾォルケンが『サーヴァントを相手にしても善戦、状況さえ良ければ(一騎くらいは)勝てるレベル。Lv.70ぐらいの典位(プライド)』と言及され、ロード・エルメロイⅡ世の冒険では白若瓏が自身と同等の戦力を持つ存在としてエルゴ、ジズ、ムシキと共に、噂としてその存在を知る冬木に召喚されたサーヴァント達を挙げている。
Fate/strange Fakeではエルメロイ教室初の色位(ブランド)到達者であるヴェルナー・シザームンドの魔術は最高に近い仕上がりを見せている際にサーヴァントに近しいと表記され、『冒険』では幼少より色位相当の才能を示した夜劫にとって千年にひとりの天才である夜劫雪信の魔術はサーヴァントの高速神言に匹敵する絶技とされているため、現代の魔術師の場合はおおよそこの段階からサーヴァントの領域に足を踏み込み始めるものと推測される。
月姫リメイク本編において阿良句寧子から「万年に一人の怪物」と称された遠野秋葉は、MELTY BLOOD: TYPE LUMINAでは牛若丸から「深山幽谷に坐します物精の気のよう」「師匠に勝るとも劣らぬ大物」と目されており、実際に戦った際にも本気にさせることは出来なかった事から、九郎義経として全力で再戦しようとしていた。
ファン界隈
「鯖」と略して呼ばれる事もある。公式でもそのまま鯖表記こそ無いが"サバ~"という略称が使われる事は度々あるため、半公式と言える。
なお、オンラインゲームでは「サーバー」の略称としても使われているため、紛らわしくならないように注意。
サーヴァントはその設定上、様々な英雄や歴史上の人物、果ては虚構のキャラクターにも当てはめることができるため、二次創作では様々な「ぼくのかんがえたサーヴァント」が作られている。
pixivにおいても、「Fate/EXTRA-Re:connect」という企画内で「ぼくのかんがえたサーヴァント」が募集されている。
また、TYPE-MOON総合板にて下記の様なスレッドが存在し、様々なサーヴァントが考えだされている。
なお、ニコニコ動画においては、他のアニメ作品の登場キャラクターや、別シリーズのサーヴァントを用いた「Fateサーヴァント差し替えシリーズ」なるMADムービーが制作された。
Fateの設定やストーリー展開や演出を踏襲しつつ(一部改変あり)、他作品のキャラクターや設定を実に上手く絡ませてあり、非常に見ごたえのあるものとなっている。
(※以下、ニコニコ動画への外部リンク)
サーヴァントは本質的に死者であるため、今を生きる生者と共に歩み助けになることはできても、自ら世の行く末を定めてはならず、出来ない。
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