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新内閣発足
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アラモサウルスは北米南部で生息していた最後の恐竜の1種だ。この恐竜の化石が発見された米国ニューメキシコ州の岩層の年代を測定した結果、小惑星衝突の直前の34万年前と判明した。(NATALIA JAGIELSKA) 今から約6600万年前の春、今日のメキシコのユカタン半島に、直径約10キロメートルの小惑星が衝突した。この衝突による大災害で、鳥類以外のほとんどすべての恐竜の系統をはじめ、地球上の生物種の75%が絶滅に追いやられた。(参考記事:「恐竜絶滅は春に始まった、小惑星衝突の季節をついに特定、研究」) とはいえ、小惑星が衝突したときに恐竜がどんな状況に置かれていたのかはわからない。恐竜はすでに衰退していたのか、それとも繁栄を続けていたのか。古生物学者たちは長年にわたって議論してきたが、直前まで現在の米国ニューメキシコ州で恐竜が繁栄したことを鮮明に示す論文が学術誌「サイエンス」に発表された。こ
宇宙の物理学とブラックホールの物理学には類似点がある。このことから、一部の宇宙論研究者は、私たちの宇宙はブラックホールの中で生まれたのではないかと考えている。(PHOTOGRAPH BY NASA GODDARD) 星空を見上げると、宇宙が無限に広がっているように思えるものだ。しかし、宇宙論研究者は、宇宙は有限だと知っている。第一に、宇宙論の最良のモデルは、空間と時間に始まりがあったことを示している。「特異点」と呼ばれる原子以下の点だ。この高温高密度の点は、ビッグバンが起きたとき、急速に外側へと膨張した。 第二に、観測可能な宇宙は「事象の地平面」と呼ばれる境界に囲まれている。宇宙は超光速で膨張しているため、その先は観測不能な断崖絶壁だ。最良の望遠鏡でさえ到達できないほど遠すぎる領域がある。(参考記事:「最新望遠鏡で原始の宇宙へ」) 特異点と事象の地平面という2つの要素は、ブラックホールの重
上空から見た2つのチャクという石造構造物。長い石壁は、多くが長さ約150メートル、高さ約1.5メートルで、急な山の斜面に築かれていた。(ADRIÁN OYANEDER) アンデス山脈のはるか上空から撮られた画像を見ていたアドリアン・オヤネデル氏は、山岳地帯に奇妙な配置で点在する76基の石壁の建造物を発見した。2025年10月13日付けで学術誌「Antiquity」に掲載された研究で、氏はこれらの建造物の正体や、今回の発見がもつ意味について報告している。 氏はチリ北部のカマロネス川流域と呼ばれる人里離れた山岳地帯の衛星写真を丹念に調べていた。しかし、自分が見ているものが何なのか説明できなかった。 「最初はたくさんの壁、それも非常に長い壁を見つけました」と、オヤネデル氏は語る。チリで育った氏は、英エクセター大学で古代南米文明を専門とする考古学者だ。「新しい眼鏡かパソコンが必要なんじゃないかと考
腰痛は姿勢や寝違えのせいにされがちだが、本当の原因はもっとからだの深いところにあるかもしれない。(PHOTOGRAPH BY SOLSTOCK/GETTY IMAGES) 刺すような痛み、うずくような痛み、鈍い痛み。腰痛は前触れもなくやってくる。姿勢や寝違えのせいで片づけるのは簡単だ。だが、真犯人はからだのもっと奥深くに潜んでいるかもしれない。それは股関節屈筋、なかでも特に腰筋(ようきん)だ。 腰筋は、大腿骨の上部から骨盤の前面を通り、腰椎と下部肋骨まで伸びる帯状の筋肉だ。「腸腰筋(大腰筋・小腰筋・腸骨筋の総称)という複合筋の一部です」と、米ニューヨーク大学グロスマン医学部リハビリテーション科臨床助教であるリチャード・ラウ氏は説明する。 人は30歳を過ぎると腰筋の筋肉量が10年ごとに4~6%ずつ減っていくことが日本の研究で示されている。男性は60歳を過ぎると筋肉量の減少はさらに加速する。し
2025年10月2日、ポルトガルのダークスカイ・アルケバ天文台で観測されたC/2025 A6(レモン彗星)。緑の光を放ちながら、地球に近づいていく。(PHOTOGRAPH BY MIGUEL CLARO) 10月21日、レモン彗星「C/2025 A6」が地球に最接近する。今回の接近後、この彗星を見られるのは1000年以上先だ。 「彗星はごく普通に見られるものですが、今年地球から観測できる中で最も見ごたえがあるのは、間違いなくレモン彗星です」と、米アリゾナ州立大学隕石研究センター所長のロンダ・ストラウド氏は言う。 レモン彗星はどこから来るのか、夜空のどこを探せば見られるのか、いつまで見られるのかなど、この彗星について知っておきたいことを紹介する。 レモン彗星はどこからやってきたのか 宇宙空間には何もないわけではない。われわれの太陽系の周辺には、氷や塵(ちり)の粒子が散りばめられており、それら
自然の中で遊ぶことで、子どもはリスクと向き合い、問題を解決することを学び、より回復力のある大人へと成長する。(PHOTOGRAPH BY JONATHAN KIRN, GETTY IMAGES) 子どもたちが丸太と格闘しながら、どこへ置こうと言い合っている。1人が木に登り、枝にシャツを引っ掛けてしまった。別の子は水たまりの近くに膝をつき、ぬかるみに宝の地図を描いている。子どもに付きまとって「気を付けて」と叫び、あれはダメこれはダメと干渉する親たちのいないこうした子どもたちだけの冒険が、過密なスケジュールや画面を見てばかりの日々に抵抗感を抱く家族たちの間で注目を集めている。 背景にあるのは昔を懐かしむ感情ばかりではない。ある2018年の調査によると、米国の子どもたちが外で自由に遊ぶ時間は、親たちが子どもだったころに比べ35%も短くなっている。 子どもたちの外遊びの時間が減っていることは問題だ
英ロンドン自然史博物館が毎年開催している野生生物写真コンテスト「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」の最優秀賞に輝いたのは、南アフリカの写真家ウィム・ファン・デン・ヒーバー氏。めったに見られない近危急種(near threatened)のカッショクハイエナ(Parahyaena brunnea)が、かつてダイヤモンドの採掘が行われていたナミビアのゴーストタウンをうろつく姿を撮影することに成功した。(WIM VAN DEN HEEVER, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR) 太っちょクマのコンテストが大人気、野生ならではの悲惨なハプニングも 写真7点 ミクロの世界が描く壮大さと繊細さ 顕微鏡写真コンテスト2025 その完璧な一枚を撮るのに10年かかった。ナミビア南部の海岸沿いにある廃鉱山の町で、ウィム・ファン・デン・ヒーバー氏は足跡とふん
紅海中央部で、共生するイソギンチャクの白化した触手の間から、クマノミの一種であるレッドシーアネモネフィッシュ(Amphiprion bicinctus)の幼魚が顔をのぞかせている。(PHOTOGRAPH BY MORGAN BENNETT-SMITH) 健康なイソギンチャクは、岩やサンゴに咲くピンクの花のように見え、映画『ファインディング・ニモ』で有名になったクマノミのすみかとなる。しかし2023年、生物学者たちは紅海で、白化現象で幽霊のように真っ白になったイソギンチャクの群落を発見した。この現象は、そこにすんでいたクマノミの大半も死滅させた。論文は9月12日付けで学術誌「npj biodiversity」に発表された。 研究チームは、サウジアラビアの紅海の中央部にある3つのサンゴ礁で、すべてのセンジュイソギンチャク(Radianthus magnifica)を白化させた海洋熱波を記録した
ヨーロッパハムスターは、ペットショップで見かけるハムスターよりも大きく、気性が激しい。国際自然保護連合(IUCN)から近絶滅種(critically endangered)に指定されている。(Photograph By Mikhail Rusin) 2023年2月、ウクライナの都市ヘルソンやキーウが巡航ミサイルによる攻撃を受ける中、首都キーウに暮らすミハイル・ルーシン氏は、ほぼ1週間にわたって暖房も電気も使えない状態で過ごすことになった。夜間の最低気温は約マイナス10℃。これも戦争がもたらす苦難のひとつだったが、ルーシン氏には自分や家族のほかにも心配なことがあった。キーウ動物園のハムスターたちだ。ハムスターは暗い部屋に置かれた広いカゴの中で冬眠しており、一般的に寒さには強いが、体温が下がりすぎると回復できなくなる恐れがある。(参考記事:「ハムスターの爪、冬眠中は伸びが止まると判明、でも綺麗
「日本人の睡眠時間は世界で最も短い」 「睡眠不足は高血圧や糖尿病など病気のリスクを高める」 「長く眠りすぎるのも体に悪いらしい」 いずれも過去の数多くの研究で明らかにされてきた睡眠習慣と健康との関係についての“常識”だが、最近の研究により、従来の調査で用いられてきた「睡眠」の定義に問題点があることが示唆されている。 睡眠時間と健康リスクの関連を解き明かした多くの疫学調査や臨床研究では、睡眠ポリグラフ検査で客観的な睡眠時間(脳波上の睡眠)を測定したものはごく少数で、大部分は調査紙などで調べた主観的(自覚的)な睡眠時間を指標にしている。時には数万〜数十万人という膨大な人数を対象として行う調査研究では、簡便さやコスト面から主観的睡眠時間を採用せざるを得ないという事情もある。 例えば、日本人の睡眠時間の実態を表すデータとしてしばしば引用されるものに、総務省が実施している「社会生活基本調査」とNHK
野生でのトラフザメの交尾自体、初めて記録された。2024年7月12日撮影。(Video by Dr Hugo Lassauce | Aquarium des Lagons | Zebra Shark Project | StAR Project | University of the Sunshine Coast) 交尾の映像が残されているサメは、ごくわずかな種にとどまる。だからこそ、南太平洋のニューカレドニア本島沖で、交代で交尾を行う3匹のトラフザメ(Stegostoma tigrinum)に出くわした際、それが貴重な記録をものにする機会であることを海洋生物学者のヒューゴ・ラソース氏は自覚していた。 これまでに目撃されてきたサメの交尾には、激しく暴力的な行動を伴うものが多かった。オスがメスに噛みついたり、より有利な位置を確保しようと互いに争い合ったりするのだ。しかし、ラソース氏が目撃した
アラビア砂漠のジェベル・ミスマで発見されたラクダの岩絵。丸い目、丸い鼻面、強調された顎の輪郭を持つ、様式化されたラクダが描かれている。自然に近い描写の岩刻画(白線でなぞったもの)と、より様式化された岩刻画(青線でなぞったもの)が重なっている。(PHOTOGRAPH BY SAHOUT ROCK ART AND ARCHAEOLOGY PROJECT) アラビア半島北部のネフド砂漠で発掘調査を行っていた考古学者、マリア・グアニン氏のチームは、人間、ラクダ、野生のロバ、アイベックス、ガゼル、オーロックス(絶滅した野生のウシ)の岩絵を約130点発見した。なかには高さが2mを超えるものもあった。制作年代は1万2800年〜1万1400年前と推定され、グアニン氏らが2025年9月30日付けで学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表した論文によると、年代がわかっているものとしては、アラビア半島で
ダイアナ・ブルさん(右)と娘のジョージア・ウェバーさん(中央)、友人のエラ・オドスキさん(左)。マイラ・ウェバーさん(ジョージアさんの姉妹)がエラさんの後ろにいる。2025年9月26日、米国コロラド州のコマンチ国有草原で、ブルさんの腕に乗せたタランチュラを観察している。(PHOTOGRAPH BY KEITH LADZINSKI) 9月26日と27日、米国コロラド州ラ・フンタで、毎年恒例の「タランチュラ祭り」が開催された。これはクモ類をたたえる2日間の祭典で、一般向けの科学講演、多数のタランチュラが生息する草原のツアー、1990年の映画『アラクノフォビア』(「クモ恐怖症」という意味)の上映会、さらにはクモの仮装をするパレードなどが行われた。 ラ・フンタ市の観光責任者パメラ・デナヒー氏によれば、この祭りは2018年、タランチュラの存在をうまく活かし、どう観光に結びつけるかというアイデアから始
草や小枝で編まれたアゴビアというサンダル。研究者によれば、727~771年前のものだという。(PHOTOGRAPH BY SERGIO COUTO) 700年以上前、スペイン南部に住んでいた人が、草や小枝で編んだ粗末なサンダルを脱ぎ捨てたか、あるいはなくした。通常、そのような靴は時間が経てば分解する。しかし、ハゲワシの一種であるヒゲワシ(Gypaetus barbatus)がそれを拾い上げ、洞窟の巣に運んだとき、運命が変わった。 2008年から2014年にかけて、科学者たちは崖を降りて12カ所のヒゲワシの巣に到達し、内部の分析を始めた。そこで発見されたのが、中世のものを含む200点以上の人工物だった。その成果を報告した論文は、2025年9月11日付けで学術誌「Ecology」に発表された。 洞窟の冷たく乾燥した空気は、靴を完璧に保存した。ヒゲワシが何世代にもわたって営巣地を維持したおかげで
年齢を重ねることは否定的に語られがちだが、意外な恩恵も明らかになってきている。写真は、練習中にポーズを決めるシニアのアーティスティックスイミングチーム。(PHOTOGRAPH BY KENDRICK BRINSON, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 私たちはアンチエイジングに毎年膨大な費用を投じている。シワを隠し、白髪を染め、若さという幻想を追い求めるために。老化はゆるやかな衰退だと言われがちだ。しかし、それは全体像を見落としていると科学者たちは指摘する。実は、年を重ねるほど良くなることもあるのだ。 「誰もが老いを衰えとして語ります」と話すのは、米エグゼクティブ・メンタル・ヘルス社の最高臨床責任者で、老年心理学と老年医療を専門にする心理士のミシェル・フェン氏だ。「でも、老いることはまさに生きることです。加齢とは文字通り、あなたが生きているということにほかなりません」 老
たびたび切望が隠された土地、日本に無数にあるトンネルのひとつを行く。(PHOTOGRAPH BY PAUL SALOPEK) ピュリツァー賞作家でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)であるポール・サロペック氏は、地球の物語をつむぐ3万4000kmの徒歩の旅「Out of Eden Walk(人類の旅路を歩く)」に挑んでいる。人類の拡散ルートをたどりつつ、日本に到達した。最終回は神奈川県横浜市から。 私が歩いた日本は、切望に染まっていた。 切望すること。それは確かにどこにいても逃れられない、まさに世界共通の人間の状態かもしれない。歩いて世界を巡っていると特に、どこにいても感じる。よそから徒歩で来た、ゆっくり移動する、共感しやすいか少なくとも寛容に見える人物。そんな存在は、心の奥底に埋められた希望や打ち砕かれた夢のつかの間の器になる。例えば、カザフスタンのステップを吹きすさ
ポルトガル、ダークスカイ・アルケバ保護区にあるモンサラス城の上に昇るスーパー&ブルームーン(ひと月に2回満月が現れる現象)。2025年の10月から26年1月にかけて4カ月連続でスーパームーンを見ることができる。なぜ月が一番大きく明るくなるのか、それを観測できるタイミング、そして撮影の方法を紹介しよう。(Photograph by Miguel Claro) 10月6日は中秋の名月、つまり旧暦の8月の十五夜で、翌7日の満月はいつもより明るく見えるスーパームーンだ。おまけに、2025年はなんとスーパームーンが3カ月連続で発生する。10月7日、11月5日、12月5日の満月はそれぞれ「ハーベストムーン」「ビーバームーン」「コールドムーン」と呼ばれており、2025年はそのすべてがスーパームーンだ。めったに見ることができないこの現象について、詳しく解説しよう。(参考記事:「10月の星空9選:スーパーム
血を吸える獲物を探すステフェンスハマダラカ(Anopheles stephensi)。科学者たちは、蚊に刺されやすい人がいる理由を解明しようと音楽フェスの会場で調査を行った。(Photograph By VOLKER STEGER, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 多くの人が集まる音楽フェスは、蚊にとっては食べ放題のビュッフェだが、8月に論文投稿サーバー「bioRxiv」に発表された「血と汗とビール:騒音と酩酊の真っ只中で蚊が刺す好みについての大規模音楽フェスティバルにおける横断的コホート研究」という論文によると、ビールを飲む、日焼け止めを塗らないといった行動が蚊を引きつけている可能性があるという。論文はまだ査読を受けていないものの、衛生状態や酔った状態などの要因が、蚊の食事の選択に及ぼす影響を調べた研究としてはこれまでで最大規模だ。 獲物を探す蚊は、最初に人間が吐く息の二酸
著名な霊長類学者であるジェーン・グドール氏は、野生のチンパンジーの生活を数十年にわたって研究し、人間に最も近い知的な類人猿に対する私たちの理解を根本から変えた。(PHOTOGRAPH BY VICTORIA WILL, INVISION/AP) 2025年10月1日、ジェーン・グドール研究所は、その創設者で国連平和大使でもあるジェーン・グドール博士が91歳で死去したと発表した。グドール氏は霊長類学者で、動物行動学者で、自然保護活動家で、動物福祉の擁護者で、教育者でもあった。 「ジェーン・グドール博士はこの世界に多くの光をもたらし、ひとりの人間にどれだけすばらしいことができるのかを美しく示してくれました」とナショナル ジオグラフィック協会のジル・ティーフェンターラーCEOは語る。「ジェーンは非凡な科学者、自然保護活動家、人道主義者、教育者、指導者であり、そして何より希望の擁護者でした」 「6
人工甘味料や植物由来の甘味料は、砂糖の代わりに甘みをもたらすだけでなく、代謝、食欲、さらには腸内細菌にまで変化を及ぼす可能性があることが研究で示されている。(PHOTOGRAPH BY TONY CENICOLA, THE NEW YORK TIMES/REDUX) 市販されている低糖や低カロリーの食品の多くには、人工甘味料や植物由来の甘味料が含まれている。砂糖よりも健康的な選択肢だとうたわれてはいても、これらは中立的な代用品ではない。甘味料はカロリーを減らすだけにとどまらず、複雑な形でわれわれの体に影響を及ぼす可能性がわかってきた。 砂糖の主な成分はショ糖(スクロース)だ。小腸の酵素はそれをブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)に分解し、その後すばやく血流に取り込まれる。 「ブドウ糖は脳が好む燃料です」と、米ニューヨーク大学栄養学教授のマリオン・ネスル氏は言う。「砂糖を取りすぎたと
45億年前、火星に衝突した巨大な天体の破片が、いまも火星の内部にたくさん残っていることが分かった。米火星地下探査機「インサイト」が観測した地震データなどをもとに、英米などの研究グループが解明した。火星には地表のプレート(岩板)が移動するプレートテクトニクスの仕組みが存在しておらず、同じような惑星の内部構造の理解につながるという。 火星断面の想像図(縮尺は不正確)。地殻の下にあるマントルに、太古の天体衝突でできた岩石の破片が散在している。地表の左側の明るい部分は、天体が衝突して内部に地震波が生じる様子、右側はインサイトの機体を示している(NASA、米カリフォルニア工科大学提供) 地球とは違いプレートテクトニクスがない火星では、プレートの動きで地殻にひずみがたまって起きる地震はないものの、熱や圧力で岩石が割れて起きるタイプの地震と、天体の衝突で起きる地震はあるとされる。地震で生じた波はさまざま
力強くそびえるヒマラヤ山脈のアンナプルナI峰。標高は8091メートルで、世界で10番目に高い山だ。だが山の高さの測り方はいくつもあって、新たに提唱される方法で測った場合、雄大さという点でエベレストを上回るという。(PHOTOGRAPH BY OSWALD RODRIGO PEREIRA) 山の高さをどうやって測るのか? 最近、新しい測り方が提唱されて、この古くて新しい議論が再燃している。世界に名だたる峰々の高さの順位が大きく入れ替わるかもしれない。 1953年5月29日午前11時30分、エドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイは、エベレストの山頂を踏んだ。シェルパのノルゲイが晴れ渡る青空に向かってピッケルを突き上げると、くくり付けられたネパール、国際連合、英国、インドの四つの小さな旗が、強い風にあおられて激しくはためいた。それまでの30年間で少なくとも75人が登頂に挑み、十数人が命を落とし
【動画3-1】3頭のシャチはこの動画のヨットに向かって来る前に、そばで航行していた別の船に体当たりを仕掛けていたことが目撃されている。シャチたちは船体に穴を開け、海水を流入させた。(VIDEO BY MERCEDES-BENZ OCEANIC LOUNGE) 9月13日の正午ごろ、ポルトガルのリスボン沖で、イルカウォッチングツアーを楽しんでいた一行が岸に戻ろうとしていたところ、大型のヨットが前後に不規則に揺れているのに気付いた。ツアーを率いていたメルセデス・ベンツ・オーシャニック・ラウンジのマネジャー、ベルナルド・ケイロス氏は、シャチたちの仕業ではないかと考えた。 実際、ヨットを撮影していたケイロス氏は、3頭のシャチがヨットの横を泳いでいるのに気づいた。ヨットは下から体当たりされ、船体に穴が開き、やがて沈没してしまった。 「ツアーをしていると、イルカは98%の確率で現れますが、シャチが現れ
「バイユーのタペストリー」は、イングランド南部ケントの女性たちによって制作されたとされる。ノルマンディー公ウィリアム率いる軍によるノルマン侵攻、イングランド征服、そして1066年のヘースティングズの戦いでハロルド2世が命を落とすまでの出来事が刺繍で描かれている。ハロルド王は、目に矢を受けて死亡したとする伝説があるが、ここでは剣で殺されている。(Photograph by Bridgeman Images) 1000年近くの歳月を経て、「バイユーのタペストリー」がついに英国に里帰りする。1066年にウィリアム征服王がヘースティングズの戦いに勝利したさまを刺繍で描いた、11世紀の歴史的傑作だ。(参考記事:「ノルマン人の英征服を描く驚きの刺繍絵、バイユーのタペストリー」) 2025年9月19日の夕刻、この作品は厳重な警備のもと、フランスのバイユー・タペストリー美術館から保管施設へ移された。フラン
2025年1月頃からエーゲ海のサントリーニ島と周辺の島々で一連の謎の地震が発生した。このほど研究者たちが、その原因を明らかにした。(PHOTOGRAPH BY MARC STEINMETZ, VISUM/REDUX) 2025年1月下旬、ギリシャのエーゲ海に浮かぶサントリーニ島、アモルゴス島、アナフィ島の地下で何かがうごめきはじめ、のどかな島々は2万8000回以上の謎めいた群発地震に襲われた。マグニチュード5.0以上の地震も数回あり、非常事態宣言も出された。サントリーニ島の人々は、近々火山が激しく噴火するのではないかと恐れた。(参考記事:「サントリーニ島で謎の群発地震、科学者困惑 「極めて不可解」」) 地震の危機は約1カ月後に終息し、人々は胸をなで下ろした。そして今、科学者たちは各種の地震観測機器と人工知能(AI)を駆使し、犯人を特定できたと考えている。地殻の深くからシート状のマグマが急速
早わかり 分類: 鳥類 IUCNのレッドリストによる 危機の評価: 絶滅危惧種 食性: 肉食 平均寿命: 10~15年 体高: 約1.2メートル 体重: 約2.3~4.2キログラム ヘビクイワシとは ヘビクイワシは、アフリカのサハラ砂漠以南の地域の草原や灌木地に生息する猛禽類の一種だ。体高は1.2メートルほどで、主に地上を歩き回って過ごすため、立っている姿を見かけることが多い。木の上の巣に向かったり求愛行動をしたりなど、必要な時以外に空を飛ぶことはない。 ヘビクイワシの特徴は、長い脚と後頭部にある長く伸びた黒い飾り羽だ。体は灰白色の羽毛で覆われていて、先端が黒くて長い尾羽が2枚ある。顔には羽毛がなく、黄色や橙色、あるいは赤い皮膚が露出している。 長い脚の上半分は黒い羽毛で覆われているため、サイクリングパンツを履いているような印象を与える。下半分はうろこ(脚鱗)で覆われ、裸眼ではほとんど確認
アルゼンチンで発見されたメガラプトル類の新種ホアキンラプトル・カサリの復元図。口にくわえているのは白亜紀のワニの腕だ。(ILLUSTRATION BY ANDREW MCAFEE, CARNEGIE MUSEUM OF NATURAL HISTORY) 巨大なティラノサウルス・レックスが太古の北米で存在感を示していたころ、当時のアルゼンチンに全く異なる頂点捕食者がいた。新たに発見されたメガラプトル類のホアキンラプトル・カサリ(Joaquinraptor casali)だ。おまけに、その巨大な顎(あご)には、なんと白亜紀のワニの腕(前肢)がはさまっていた。この論文は9月23日付けで学術誌「Nature Communications」に発表された。 「行動が化石化されていたわけです。もしこれが本当にそうであれば、極めてまれな現象です。発見したら、祝うしかありません」と米カーネギー自然史博物館の
致命傷を負ったシルバーバック(ゴリラの群れを率いるオス)を運ぶ人々、孤児となったマウンテンゴリラと飼育係の間に生まれた強い絆、政治的紛争の犠牲者、そして自然保護に必要な闘志。100年にわたる不屈の精神をたたえるため、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)でもあるフォトジャーナリストのブレント・スタートン氏が制作したビルンガ国立公園の写真集には、胸に刺さる光景が収められている。 コンゴ民主共和国のビルンガ国立公園の創設は1925年。以後1世紀にわたり、約7800平方キロメートルに及ぶ自然を保護してきた。そこには豊かな森と活火山があり、ゾウ、カバ、ライオン、そして現存する最後のマウンテンゴリラを含む希少な野生動物が生息している。 スタートン氏は、ビルンガの光と闇を記録するため、18年間で13度足を運んだ。ビルンガやほかの野生生物保護区で撮影した写真は広く発表され、「ナショナル
パキケファロサウルス類の新種ザヴァケファレ・リンポチェ(Zavacephale rinpoche)が頭突きしあっている様子を描いた復元図。この行動こそが、パキケファロサウルス類の頭蓋骨が厚くなった理由だと一部の研究者は考えている。(ILLUSTRATION BY MASAYA HATTORI) パキケファロサウルス類として知られる白亜紀の草食恐竜は、頭蓋骨の上部が分厚くドーム状に丸みを帯びていた。その有名な頭部の用途は謎のままで、これまで北米やアジアで見つかった断片から推測するしかなかった。だが今回、知られている限り最も古く、最も完全なパキケファロサウルス類の化石が発掘された。2025年9月17日付けで学術誌「Nature」に発表された論文で、新種として「ザヴァケファレ・リンポチェ(Zavacephale rinpoche)」と命名された。 モンゴルで見つかったこの新種の草食恐竜は、約1億
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