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新内閣発足
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<イスラエルの次なる一手と地域の脆弱性について...> イスラエルは今、ガザ市の制圧にとどまらず、パレスチナ自治区ガザ全体の構造そのものを再編しようとしている。 ガザ市は経済活動と人の往来の中心地であり、「天井のない監獄」と呼ばれるガザ地区の中でも辛うじて都市機能を担っていた。小規模なショッピングモールや高層アパートが点在し、域外から「輸入」された生活物資も流通していたが、戦火でその姿は失われつつある。 ネタニヤフ政権はガザ市の制圧なくしてハマス殲滅は実現不可能だと考える。ガザ地区ではイスラエルとアメリカが関与する民間団体「ガザ人道財団(GHF)」が食料配給を担っているが、配給所が南部と中部に絞られているのも作戦の一環だろう。 その狙いをひもとく鍵となるとみられるのが、昨年にイスラエル軍のシンクタンクの刊行物として発表された論考だ。 執筆したのはGHFとも深く関わる2人のイスラエル軍関係者
イスラエル軍に逮捕され『英雄』となった入植者のポスター(ヨルダン川西岸地区、2024年6月6日撮影) TAICHI SOGA <イランやシリアへの相次ぐ攻撃の裏で、イスラエル国内では急進的なユダヤ人入植者たちによる暴力行為が拡大し、社会の分断を招いている> イスラエルとパレスチナの共存を目指したオスロ合意の立役者で、ノーベル平和賞を受賞したイスラエルのイツハク・ラビン首相(当時)が公衆の面前で極右の過激思想者に殺害されてから今年で30年。パレスチナ和平は風前の灯火となり、イスラエルでは過激派の蛮行に歯止めが利かなくなっている。 野放図な蛮行を象徴する事件が起きたのは今年6月末。ヨルダン川西岸で極右の過激派のユダヤ人入植者が、取り締まりに当たるイスラエル軍の拠点を襲撃したのだ。投石に車両破壊、さらには治安維持機材などに放火した。こうした過激派入植者による暴力行為は近年、悪化の一途をたどってい
<「ミスター・イラン」こと、ネタニヤフ首相が政権維持のために頼る相手と、イスラエル社会が直面する深い分断について> 6月13日、イスラエルはアメリカの制止を振り切ってイランの核施設に先制攻撃を仕掛けた。 イランの脅威をあおることで国民の支持を取り付け、「ミスター・イラン」と呼ばれてきたネタニヤフ首相の足元はその直前、大きく揺らいでいた。 イラン攻撃前日の12日、ネタニヤフ政権への事実上の不信任決議となる解散法案がイスラエル議会で否決された。 この採決の行方を左右したのは与党連立の一角を担い、イスラエル政治に大きな影響力を持つユダヤ教超正統派の政党である。 イスラエルは国民皆兵制だが、超正統派の徴兵免除について最高裁は昨年、違憲と判断。しかし、連立政権の一角を占めるユダヤ教超正統派政党は徴兵免除の継続を求め、政権に圧力をかけてきた。 今回、ネタニヤフが議会解散を免れたのも、ユダヤ教超正統派と
<社会に内在化されている集団心理の原因、それを支える「社会装置」について。また、イスラエルに対して「親」や「反」で国際社会が分断しないためにすべきこととは> イスラム組織ハマスによる奇襲攻撃によって、イスラエル社会に共有される根深い「被害者意識」が改めて浮き彫りとなった。 ポーランドの片田舎に人目を避けるように建設されたアウシュビッツの収容施設に立ち入れば、当時ユダヤ人が感じたとてつもない恐怖を強制的に想像させられる。ホロコーストは紛れもない事実であり、虐殺されたとされる600万人というユダヤ人犠牲者の規模はわれわれの想像をはるかに上回る。 国家としてのイスラエルには、この「恐怖」が深く根付く。5月5日、ホロコースト追悼祈念日「ヨム・ハショア」に向けて、イスラエル軍のハレビ参謀総長は声明を出した。 「われわれを滅ぼそうとする凶悪な敵に押し付けられた戦争で、突然終わった全ての命。しかし、今回
アメリカのユダヤ系大物政治家はなぜ「異例の発言」に踏み込んだのか...「痛烈なイスラエル首相批判」の背景 <「イスラエルの親友」と呼ばれてきた米上院民主党トップのチャック・シューマーが「道を失った」と断罪。「ユダヤ人の心の叫び」はイスラエルに届くのか> 「親友」からの忠告は届くのだろうか。米連邦議会上院の与党・民主党のトップ、チャック・シューマー院内総務が3月14日に行った演説は、イスラエルの将来を懸念する一人のユダヤ人の心の叫びだったと言える。 シューマーは多くのユダヤ人が暮らすニューヨーク出身の政治家で、公職にあるユダヤ系では最高位にあり、「イスラエルの親友」とも呼ばれてきた。 そのシューマーが演説で矛先を向けたのは、歴代最長にわたりユダヤ人国家を率いるネタニヤフ首相だ。ガザ紛争をめぐる対応で国益を損なっているとして「道を失った」と断罪。 「10月7日以降、ネタニヤフ政権がもはやイスラ
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