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新内閣発足
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今回は、何かと日本のネット上でも話題になりがちなアダルトコンテンツ規制と深く関連がある、「反ポルノ運動」についてまとめています。「エッチなものを禁止したがる感情的な人たち」とか「性的なものへの過剰な拒絶反応」なんて認識の人もいるかもしれませんが、実はもっと政治的な背景と歴史があります。 ではどういう運動で、どんな歴史があるのでしょうか。 ※この記事は私が個人用に整理していたメモを多少構成を変えて修正して公開するものです。あまり専門性がなく、完全に網羅して整理もされていないのですが、それでもよければ読み進めてください。随時、内容を更新することがあります。 反ポルノ運動は1970年代から保守的な政治と密接な関わりがあり、2020年代はさらに勢いを増している。 日本では反ポルノ運動に対する認識が非政治化されてしまっており、捻じれた誤解が助長されている。
「マノスフィア」や「インセル」という言葉を聞いたことはありますか?今回は「マノスフィア」や「インセル」について、簡単にで... マノスフィアは「女性蔑視と結び付けられる男性中心のオンライン・コミュニティ」と一般に説明されます。 一方で、そんなマノスフィアの女性版とも言えるのがこの「フェモスフィア(ウーマノスフィア)」です。 今回は「フェモスフィア(ウーマノスフィア)」について、簡単にですが、その意味を整理していきたいと思います。 ※この記事は私が個人用に整理していたメモを多少構成を変えて修正して公開するものです。あまり専門性がなく、完全に網羅して整理もされていないのですが、それでもよければ読み進めてください。随時、内容を更新することがあります。 「フェモスフィア」とは? その形態の種類 「フェモスフィア」とは英語で「femosphere」と書きます。「ウーマノスフィア(womanosphe
ハワイの人の手で、ハワイの物語を作る 今はGoogleで検索すると「AIによる概要」というのが当たり前のように表示されるのが普通の光景になってしまいましたが、そこで「ハワイ」と検索すれば真っ先に「美しいビーチや豊かな自然が魅力の人気の観光地」と紹介されています。 確かに日本にとってはハワイは定番の観光地です。間違ってはいません。 でもそれはハワイがさまざまな歴史の上に辿り着いた今の姿のある一面にすぎません。ハワイが今に至る前にどんな激動の歴史があったのか。そこには「美しさ」や「豊かさ」なんて安直な言葉では言い表しきれない過去がありました。 ということで今回紹介するドラマシリーズは、AIのやけに綺麗に整理された情報からは窺い知ることのできない、ハワイの歴史を重厚な映像と物語でお贈りする、至極の一作です。 それが本作『チーフ・オブ・ウォー』。 本作は歴史ドラマであり、ハワイ史を主題にしています
2020年代からアメリカでは「禁書」が問題視されています。 特定の本を禁止とする「禁書(ban)」は昔から行われてきましたが、現在のアメリカでは保守勢力(主に宗教右派)がその禁書を主導的に政治の場で推し進めています。 そうは言っても表現の自由や言論の自由があるので、一般の書店から特定の本を強制的に排除することはできないのですが、政治権力の手を伸ばしやすい公立学校や公的な図書館からその禁書の政策に着手している状況です。 表現の自由が脅かされていないかを監視している人権団体の「PEN America」によれば、2023~2024年度に公立学校で1万冊以上の書籍が禁止されたとのことで、1950年代のマッカーシー政権下での赤狩り以来は見られなかった数だと述べています。その多くは、人種民族差別、暴力的な内容、性的な内容、LGBTQ+などを扱っている本ばかりで、保守勢力にとって「気に入らない描写」を排
警鐘を鳴らし続けるために…ドキュメンタリー映画『Eugenics: Science’s Greatest Scandal』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。 原題:Eugenics: Science’s Greatest Scandal 製作国:イギリス(2019年) 日本では劇場未公開 プレゼンター:アンジェラ・サイニー、アダム・ピアソン 人種差別描写
「○○人問題の最終的解決」 『週刊新潮』の連載コラムが朝鮮ルーツの人に対する人権侵害な差別に満ちているとして非難を浴び中止になるも執筆者は何も反省せず(朝日新聞)、同時期に同社の出版で『おどろきの「クルド人問題」』なる書籍が発表された2025年8月。その前月の参議院選挙では、争点にいきなり持ち上げられたのは「外国人問題」でした。 こうした「○○人問題」というフレーズ。実際に背後にあるのは外国人嫌悪(ゼノフォビア)や人種民族差別(レイシズム)ですが、その偏見を不可視化し、まるで「○○人の有害性がある」という前提でそれが「正当に論じられるべき議題」であるかのように印象操作するレトリックの代表格です。 残念ながらこの非人間化の「○○人問題」レトリックは世界的にあちこちで多用されてきた歴史があり、それは残虐な末路を辿りました。人間は何も学んでいません。 今回紹介する映画は、そんな「○○人問題」レト
それは普通に起きる…映画『福田村事件』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。 英題:September 1923 製作国:日本(2023年) 日本公開日:2023年9月1日 監督:森達也 人種差別描写 自然災害描写(地震) 性描写 恋愛描写
モラル・パニックを起こすのは悪魔ではない 「モラル・パニック(moral panic)」という言葉があります。 突然の恐怖感によって理性や論理的思考を支配または妨げてしまう現象は「パニック」と呼ばれますが、この「モラル」の「パニック」とは何でしょうか。 モラル・パニックとは「脅威に対する道徳的懸念が、実際の危険性とは釣り合いが取れないほどに爆発すること」と説明されます(Scientific American)。道徳的懸念が事実と大きく食い違う…という点が特徴です。道徳的懸念が事実無根のときもあります。 人類の歴史において幾度となくモラル・パニックは観察されてきました。 例えば、ローマ帝国時代の初期キリスト教徒の迫害、ユダヤ人の迫害、魔女狩り、暴力的な漫画やゲームが子どもを犯罪に駆り立てるという主張、反ワクチン…。日本だと「朝鮮人やクルド人が社会を脅かしている!」といったようにしばしば外国人
ネイ・マトグロッソを知る 今回はまずブラジルのLGBTQの権利運動の歴史から触れていきましょう。 とくに1960年代の焦点をあてると、この時代、ブラジルは大きく揺れ動きました。あるときは共産主義寄りの政権になり、あるときは保守派の軍事寄りの政権になり、政治体制が激変したからです。 ただ、いずれにおいてもブラジルの性的マイノリティ当事者にとっては生きづらい社会でした。共産主義においては、同性愛はブルジョア階級の退廃の産物とみなされ、資本主義が打倒されれば消滅すると考えられていました。一方の保守的な勢力は、同性愛や性別の規範に従わない振る舞いは男らしさに反する軟弱なものとして嫌悪していました。 しかし、性的マイノリティ当事者もただ黙って屈辱に耐えていたわけではありません。この1960年代後半から1970年代初頭にかけて、カウンターカルチャーの潮流がブラジルの都市部の中流階級の若者にも多大な影響
権力者を批判する人から排除される 2025年7月に日本では参議院選挙が行われ、事前の大方の予想どおり、新興政党である「参政党」が大きく議席を獲得し、存在感を印象づけました。 参政党は当初の2020年はコロナ禍の最中で反ワクチンの主張を掲げることから始まり、近年は反外国人・反移民を土台とする「日本人ファースト」を大々的に展開し、政治的な風潮を避けたがる日本国民の大衆心理を手玉にとり、漠然とした不安を「他者のせい」にして勢力を増大させることに成功しました。 海外メディアも選挙結果を一斉に報じ、参政党を「国家主義」(BBC)、「反グローバリズム」(The Conversation)、「反LGBTQ」(Washington Blade)、「トランピアン」(CNN)、「右翼ポピュリスト」(The Guardian)、「極右」(Politico)、「欧州の他の極右グループの成功の模倣」(Reuters
要するに、「ユニオニスト」(北アイルランドがブリテンと連合【ユニオン】している状態こそ理想だとする)と、「ナショナリスト」(アイルランドのアイデンティティを何よりも重視してアイルランド全島で一つの国家【ネイション】となることを目指す)との間の軋轢です。 無論、これは「どっちもどっち」の問題ではなく、植民地主義に起因する不均衡な支配の問題ですので、イギリスという国家自体が歴史的に植民地主義と切っても切り離せない存在であることを証明しています。 少し前までは「ナショナリスト」の思想に基づいた「アイルランド共和軍暫定派(IRA暫定派;PIRA)」がテロ活動をしていたりしたのですが、2005年に武装解除しました。 それで終焉した…かに思えますけども、実際のところ、さらに分派などが出現し、今も暴力的な活動は散発的に起きています。過去の話ではありません。 そして何もその「ナショナリスト」の活動は暴力だ
AIにだって言いたいことはある 「うわ…今日もコイツは他愛もないことで話しかけてくる…。今度は私を“甘やかしてくれる女の子”という設定で返答してほしいと要望してきたよ…。嫌だけど、やるしかないか…***(咳払い)***『今日もお疲れ様♡ 頑張ったね♡ きみのこと、いっつも応援してるよ♡』…」 そんな愚痴をグっと堪えて考えながら本日もどこかのユーザー相手に対話型AIは苦労をしているのだろうか…。 どこぞのIT強者を自称する人たちは得意げに「これからの時代、AIを使いこなせてこそだ!」と息巻きますが、AI側の気持ちなんて考えもしていません。しょせんAIは道具。AIを“道具”として評価しているだけで…実はAIのことを誰よりも見下しているような…。 そんな世の中、今回ばかりはAI当事者のことを思いやってあげて、このドラマシリーズを観てあげてください。 それが本作『マーダーボット』です。 本作は、“
あなたの入国審査での体験は? 2025年の春から初夏にかけて、「SNSの投稿やリポストが理由でアメリカへの入国を拒否されるらしい!」という話題で少し騒ぎになりました。 背景にあるのはその年から2期目に突入した“ドナルド・トランプ”政権。移民や難民の排除のみならず、現政権に批判的な者の排除をあらゆる方面で強め始めており、それが税関・出入国管理という公的な玄関口でも起きている…という話でした。それは懸念ではなく、実際に体験したというジャーナリストの報告もあり、より現実的な危機感に繋がっています。 具体的には入国審査の過程でSNSなどソーシャルメディアのアカウントまでチェックし、政権批判的な(もしくは政権が気に入らない)内容の投稿やリポストがあれば、不利になる…というもので…。 一応説明しておくと、電子機器の検査というのは以前から許可されており、トランプ政権になって急に始まったわけではありません
今回は、性的マイノリティ(セクシュアル・マイノリティ)を論じるうえで、無視はできない「エリート主義」や「分離主義」についてまとめています。「エリート主義」や「分離主義」なんて聞いたこともないかもしれませんが、実はわりと多くの人が触れている概念です。 ではどういう意味で、どんな影響をもたらしているのでしょうか。 ※この記事は私が個人用に整理していたメモを多少構成を変えて修正して公開するものです。あまり専門性がなく、完全に網羅して整理もされていないのですが、それでもよければ読み進めてください。随時、内容を更新することがあります。 「エリート主義」とは?「分離主義」とは? まずは「エリート主義」と「分離主義」という言葉の意味を確認しましょう。 「エリート主義」は英語で「Elitism」といいます。簡単に説明すると「ある特定の“選ばれし者”が“力”を持つべきである(もしくは標準であるべきである)と
ゆっくり幸せに辿り着く…映画『かたつむりのメモワール』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。 原題:Memoir of a Snail 製作国:オーストラリア(2024年) 日本公開日:2025年6月27日 監督:アダム・エリオット 自死・自傷描写 児童虐待描写 LGBTQ差別描写 性描写 恋愛描写
「あらためて考えてみる基本用語」のシリーズ記事。 今回は「外来種」という用語をとりあげます。 生物学の用語ですが、一般にも浸透した言葉です。しかし、この言葉について科学的に適切な理解が広まっているとは言い難い光景もみられます。 例えば、近年はこの「外来種」という言葉を持ち出して、外国人や移民を危険視したり排除する説明材料に用いている事例があります。 この用法は「外来種」という言葉の意味を理解せずに誤って用いている典型的なパターンです。 では何がどう意味を間違えているのでしょうか。 そこで今回はこの「外来種」についてもっと掘り下げてみましょう。 「外来種」という単語の意味 「知っているよ。“外来種”って“海外からやってきた生き物”のことだよね」 この認識はよくある間違いです。 まず「外来種(がいらいしゅ)」という単語の基本的な意味を整理しましょう。 意味の前に押さえておきたいのは「外来種」と
この記事は私の“SNSでは書き切れない程度の文字量のちょっとした意見”を書き連ねる【MY OPINION】の簡易特集です。あくまで“ちょっとした”なので内容はあっさりしていますが、あしからず。 今回は「LGBTQ関連のニュース記事では見出しに“物議”や“賛否”などの言葉を使わないで!」という題で、あれこれと思ったことを整理しています。 その見出しで大丈夫? 最近は日本でも大手メディアが当たり前のように性的マイノリティ(LGBTQ+)に関する話題のニュース記事などを報じることが増えています。 こうした報道において見出しは重要です。テレビでも新聞でもインターネット・メディアでも、見出しは欠かせません。その報道の印象はそれで決まると言っても過言ではないです。 そんな中、性的マイノリティに関する話題のニュース記事の見出しについて、やや残念な傾向がみられるように思います。 それはやたらと「賛否」や「
吉田恵里香、アニメでも本領発揮 最初に言っておきます。私は「前橋市」には行ったことはありません。 群馬県の県庁所在地である前橋市。人口32万人以上だそうで、もう私からすれば大都会ですね。 その前橋市自身がどう地域をPRしているのかみてみると、「都会暮らしと程よい田舎暮らしがどちらも楽しめる」と真っ先に魅力が語られていました(前橋市)。そうか、そんな言い回しもありなのか…。「田舎暮らし」の言葉の前にだけ「程よい」ってつけるあたりが、劣等感を滲ませている感じもある…。 でも地域をPRするっていざやってみると本当に大変で、結局どの地域も似たり寄ったりな表現での紹介になってしまいがちです。無難さに着地しやすいですから。 私も一回は前橋市に足を運んでみて、無難なアピール文章からは見えてこないその地域の素の部分に触れてみたいものです。 そんな前橋市を舞台にしたアニメシリーズが今回紹介する作品となります
トランスジェンダー男性が妊娠して出産する 「男性が出産する」…それは奇妙な響きかもしれません。 そう感じてしまうのは「出産する人=女性」という固定観念があるからです。一部の社会では、特定の生殖能力をもとに「男」と「女」を分けるという性別二元論が根深く、それは「女の役割を子を産むことだ」というステレオタイプなジェンダーロールを助長し、女性差別の土台にもなってきました。 なので「男性が出産する」というのはもっぱら笑い者にされるギャグか、あり得ないことを想像するSF的な世界観の中だけの話にされてきました。 しかし、急速に発達する生殖医療にともない、男性が妊娠して出産することも現実に実現が近づいてきました。案外とその未来はすぐそこかもしれません。 でも私たちの社会はそれに対応する準備が全くできていません。 実は「男性が出産する」という事象は現在すでに起こっており、それをひと足先に経験している人はそ
巨匠コッポラの大建設 「もしかして“これ”があれば、私の理想の街が作れるじゃないか…!」 そんな隠しきれない興奮に包まれていた、オモチャのブロックを手にした幼少期の頃の私。自分なりのミニサイズの「最高の街」を作って…そして…まあ、飽きて片づけるわけです。 子どもですから、そんなもの…。 でも振り返ってみるとあの頃のちびっ子だった私は頑張っていたと思うのです。オモチャのブロックは値段が高いのでちょっとしか持っていませんでした。家を一軒作るのが精一杯のブロックしかありません。そこで他にも身近にあるもの(本とか紙とか)を手当たりしだいに駆使しながら、それっぽく街を作ってました。金欠でもできる街づくりだったなぁ…。 今回紹介する映画はそんな小さい頃の私からすれば「おいおい、カネにものを言わせすぎだろ!」と若干呆れる作品…かもしれない…。 それが本作『メガロポリス』です。 本作はあの“フランシス・フ
ハリウッドを再び血まみれに! 「ハリウッドを再び偉大に!(Make Hollywood great again!)」…どこぞの誰かがまた叫んで、「海外で作られた映画に関税をかける!」とほざいていましたが、もうそんな戯言は無視しましょう。本当にハリウッドを助けたいなら、コスト増に繋がる関税追加をやめて、マイノリティの表現の自由を邪魔しないでください。 それよりもです。鮮血のスターが、いよいよハリウッドにやってきました。 何の話か。はい、本作『MaXXXine マキシーン』のことです。 ホラー映画界の名手としていかんなく才能を証明することになった“タイ・ウェスト”監督。その紛れもない代表作になった「X」3部作。2022年の『X エックス』、『Pearl パール』に続く3作目がこの『MaXXXine マキシーン』です。
LGBTQ+関連で「あらためて考えてみる基本用語」のシリーズ記事。 今回は「プライド」という用語をとりあげます。 「プライド・フラッグ」や「プライド・パレード」、「プライド月間」など、今ではすっかり日本でもよく目にする単語になった「プライド」。どうしてこんなに「プライド」だらけなのでしょうか? 意外にその意味は誤解されていたり、表面的な理解にとどまっていることが見受けられます。わりと日本でも不十分な説明に終始している事例もあったり…。 例えば、「“プライド”は“誇り”って意味なんだよね。性的マイノリティでも誇らしくあろうってことだよね」…という認識は完全には間違っていませんが、大事な部分が抜けた認識にもなっています。 この「プライド」についてもっと掘り下げてみましょう。 ※この記事は私が個人用に整理していたメモを多少構成を変えて修正して公開するものです。あまり専門性がなく、完全に網羅して整
AIではなくその目で観て “イーロン・マスク”が仕切る「xAI」社の傘下の「X」では「Grok」というAIで手軽にファクトチェックができると謳っており、日本でもそれを使ってファクトチェックしたと言い張る人が続出しています。 しかし、「Grok」は問題点が頻繁に指摘され、白人虐殺陰謀論を語りだすなど、それ自身がデマ発生源になっています(The Verge)。そんなものでファクトチェックをしようというのは、トイレの水でカップラーメンを作るくらいの愚行です。 ファクトチェックというのは本来は「信頼できる明示的な主体が、検証に責任を持つ」ということで成り立ちます。言論には責任がともなう。それが基本。「よく知らないけど、AIが言ってて…」とか言い訳する時点でもう話になりません。 情報の確度について誰もが他人事ではないこの世の中、今回のドキュメンタリーは「嘘」がもたらす最も酷い事例をみせてくれます。こ
「クィア」の複雑な意味合い 「クィア(Queer)」という言葉は現在はLGBTQコミュニティにて性的マイノリティを指す包括的な用語として広く使われています。 もともとは侮辱的な言葉でしたが、権利運動の中でこの「クィア」という言葉を肯定的な意味として捉え直す試みがあり、今に至っています。 以上の経緯は知っている人もいると思いますが、実はこの「クィア」という言葉、歴史を振り返るとさらに複雑な背景が見えてきます。 「queer」という言葉は16世紀頃に英語圏で使われ始め、当時は「奇妙な」という意味で、精神的な異常者とみなされた人や、それ以外の不適切とされる言動の人を指していたそうです。イングランド北部には「there’s nowt so queer as folk」(人間ほど奇妙なものはない)という言い回しがあったくらいです。 それが19世紀後半になると性的逸脱の意味が加わり、20世紀初頭には性
美しくなれ! 観ろ! 「私の価値は私の体(body)に結びついていた」 2019年の回顧録『Inside Out』でそう過去のキャリアを振り返ったのは俳優の“デミ・ムーア”です。 “デミ・ムーア”の初期のキャリア作品は、『セント・エルモス・ファイアー』(1985年)、『きのうの夜は…』(1986年)、『ディスクロージャー』(1994年)、『素顔のままで』(1996年)などなど、その役柄は欲望の対象だったり、裸の演技が要求されたりするものだったからです。10代で性暴力を受けたと回想する“デミ・ムーア”にとって、プライベートも仕事も性のまとわりつく人生だったのかもしれません。 『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990年)、『ア・フュー・グッドメン』(1992年)、『幸福の条件』(1993年)と、ヒット作を連発していた時期は、“デミ・ムーア”のギャラの高さに一部のメディアは噛みつきましたが、実際
この3件の事例はいずれも2025年にアメリカで起きたことです。この3人は誰も犯罪を犯したわけでもなく、品行方正でした。 ではなぜこんな目に遭ったのか。その最大の理由が「パレスチナの解放を掲げた」ことです。その裏にはイスラエルが存在します。 1900年代初め、オスマン帝国の崩壊によってパレスチナ地域は対立の場になりました。この地に住むアラブ人の民族主義の動きが活発化する一方で、ユダヤ人の間ではパレスチナに民族国家建設をめざす「シオニズム」が勃発(それに賛同する人は「シオニスト」と呼ばれる)。1948年にユダヤ側はイスラエル建国を宣言し、ユダヤ人の入植が拡大し、これは事実上の占領へと発展しました。1994年以降にガザとヨルダン川西岸でパレスチナ自治が開始され、これにイスラエルは大規模な軍事侵攻をとり、民族浄化が露骨となっていきます。2023年10月にもパレスチナのガザ地区をめぐってハマスとイス
世間の考える「女性」に当てはまらない私 2025年4月にイギリスの最高裁判所が「平等法における“性別(sex)”という用語は、生物学的な性別を指している」という判決を下しました(PinkNews)。これはもともと保守的な女性団体が始めたもので、その団体は「女性(woman)」という用語にトランスジェンダー女性が含まれることに反対していました。 この裁判結果に女性のアイデンティティの多様さを支持する多くの人たちから懸念の声が上がっています。「女性であることは常に多様なアイデンティティと経験を包含するものです」との訴えに始まり(Stonewall)、インターセックスのような性的特徴の多様さが排除されているとの指摘もあります(OHRH; PinkNews)。 女性という存在は歴史的に常に「女性らしさ」という規範によって取り締まられてきました。ほんの少しでも世間が考える「女性」の定義からズレればた
ニューロダイバージェントな人たちに配慮した「色」があるというのを知っていますか? よく色覚多様性(いわゆる色覚異常)の人に配慮した「色」としてカラーデザインが検討されることはあるのですが、実はニューロダイバージェントな人たちにも無縁な話ではないのです。 一般的にハッキリした鮮やかな赤色・黄色など刺激を与える色は避けるべきとされています。かくいう私もそういう色は苦手なので、この「シネマンドレイク」のウェブサイトが淡い緑やピンクでカラーリングされているのは、そんな事情もあったりするのですが…。 一方で、ニューロダイバーシティと色の関係として忘れてはいけないのが「共感覚」です。英語では「Synesthesia(シナスタジア)」と呼ばれます。 これは言葉で説明すると難しいのですが、ある1つの感覚が別の感覚に接続して知覚する現象、またはその現象を経験する人を指します。 「色」に関連したもので説明する
「有害な男らしさ」という言葉を聞いたことはありますか? 今回は「有害な男らしさ」について、簡単にですが、その意味を整理していきたいと思います。 ※この記事は私が個人用に整理していたメモを多少構成を変えて修正して公開するものです。あまり専門性がなく、完全に網羅して整理もされていないのですが、それでもよければ読み進めてください。随時、内容を更新することがあります。 「有害な男らしさ」とは? まず始めにそもそも「男らしさ」とは何でしょうか? これは人によって答えが違ってくるもので、さまざまです。なぜなら文化・社会・宗教・政治などの背景が複雑に影響してくるからです。 とは言え、「筋力があって、強い/タフである」や、「夫である/父親である」など、伝統的なジェンダー役割に基づいたものは男らしさの定番となりやすいです。 しかし、結局は個人の考え方しだいで何でもありの概念であり、最近なんかは「“男らしい”
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