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新内閣発足
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アナログレコード専門店「Face Records」(東京都渋谷区)が、米ニューヨーク・ブルックリンに構える直営店「Face Records NYC」の販売データをもとに、2025年上半期の「今、売れている邦楽レコードランキング(2025年版)」を発表した。 同レポートによると、10代〜30代を中心とした若い世代のアメリカ人リスナーの間で “日本のフュージョン/インストゥルメンタル作品” が注目を集めているという。実店舗での販売状況をもとに作成したランキングは以下の通り。 【2025年版 Face Records NYC 人気邦楽レコードランキング】 1.CASIOPEA『MINT JAMS』(1982年) 2.高中正義『SEYCHELLES』(1976年) 3.高中正義『ブラジリアン・スカイズ』(1978年) 4.高中正義『虹伝説』(1981年) 5.CASIOPEA『カシオペア』(197
上原ひろみが2023年に結成した「Hiromi’s Sonicwonder」の第2作『OUT THERE』が4月4日にリリースされる。上原のピアノとキーボード、アドリアン・フェローのベース、アダム・オファリルのトランペット、ジーン・コイのドラムスが織りなすスリリングな演奏に、私はノックアウトされてしまった。4パートからなる組曲〈OUT THERE〉を中心としたアルバムについて、上原ひろみにじっくりと話を聞いた。 上原ひろみ Hiromi’s Sonicwonder 『OUT THERE』(ユニバーサルミュージック) ライブ盤のような迫力 ──新作『OUT THERE』が始まったとたんに、あまりの迫力にのけぞってしまいました。Sonicwonderの『Sonicwonderland』という1枚目も好きですが、今度のアルバムを聴くと、あれは「はじめまして」っていう感じに思えるぐらい。今回はライ
ジャズ・ジャーナリストの小川隆夫が「日本のジャズ黎明期を支えた偉人たち」を追うインタビュー・シリーズ。今回登場するのはトランペット奏者の大野俊三。10代でプロ活動を開始し、1974年に渡米。以来、現在に至るまでニューヨークを拠点に音楽活動を続ける巨匠は、いまも向上心に満ちていた。 大野俊三 おおの しゅんぞう/トランペット奏者。1949年3月22日、岐阜県岐阜市生まれ。中学のブラスバンド部でユーフォニアムを吹き始め、トロンボーンを経て、高校二年からトランペットに転向。高校時代に地元のキャバレーで演奏活動を開始し、卒業後、名古屋でプロ入り。19歳で東京に進出。猪俣猛(ds)のサウンド・リミテッドやザ・サード、稲垣次郎(ts)のソウル・メディアなどで評判を呼び、71年、ジョージ大塚(ds)クインテットに参加。翌年、初リーダー作『フォルター・アウト』録音(発売は73年)。74年、アート・ブレイキ
2024年にリリースされた “ジャズ系” 作品の中から、聴き逃せない50作をセレクト 構成・文/土佐有明 Abdullah Ibrahim/3 50年代から南アフリカ共和国で活動してきたピアニスト、ダラー・ブランドは、イスラム教に改宗後はアブドゥーラ・イブラヒムと名乗っている。そんな彼が89歳にしてリリースしたロンドンでのライヴの実況盤。フルートやピッコロも吹くサックス奏者とチェロも弾くウッド・ベースとのトリオで、悠々たる中にも緊迫感が漲る演奏が展開される。イブラヒムのピアノはやはり格別で、ベテランならではの芳醇な味わいを醸し出している。 Amaro Freitas/Y’Y これをジャズに括っていいのか迷うところだが、ジャズ本来の融通無碍で雑駁な性質を正当に受け継いでいるという意味では、極めてジャズ的だと言えるだろう。ブラジル出身のピアニストが、自然や先住民をテーマに作った楽曲が並んでおり
「音楽」に深いこだわりを持つ飲食店を紹介するこのコーナー。今回は2024年7月にオープンした、神保町(東京都千代田区)のカフェ&バー『肆(ヨン)』を訪問。ビル一棟をリフォームし、地下に音響ルーム、2Fにギャラリーを併設したカルチャー発信基地ながら、想像以上にリラックスできる空間でした。 アバンギャルドのスピーカーで鳴らす地下室 都営地下鉄の三田線と新宿線、東京メトロ半蔵門線が乗り入れる神保町駅A7出口から徒歩約2分、靖国通り沿いにある『肆(ヨン)』。古本屋街として知られる神保町だが、ここはかつてオタクの聖地と言われた『コミック高岡』のあったビル。そこを一棟借りし、1Fをカフェ&バー(肆cafe)、地下を音響ルーム(地下肆)、2Fをギャラリー(肆 gallery)というカルチャー発進基地に仕立てた。将来的には3Fにスーベニールショップを併設する予定もあるという。 フロアごとに個性を持たせてい
音楽をよりよい環境で聴くために、こだわって作られたミュージックバーやジャズ喫茶などを紹介する本特集。今回は、ジャズの生演奏が毎日楽しめる『HUB(ハブ)浅草店』にお邪魔しました。英国風パブとして知られるチェーン店が、なぜジャズの演奏が楽しめるお店になったのか? そこには興味深い歴史がありました。 古き良き英国パブを再現した店内で、サッカーの試合やミュージックビデオを眺めながら、エールビールとフィッシュ&チップスで乾杯する。『HUB(ハブ)』と聞けば、そんなスタイルを思い描くだろう。いまや全国で102店舗(82 ALE HOUSE含む)を展開する大型チェーン。しかし、浅草店だけは、そのどの店舗とも違う独自のスタイルを貫いている。 大きな違いは、毎日のようにニューオリンズ・ジャズを中心としたライブ演奏が聴けるということ。また、キャッシュオンではなくフルサービスであること。ライブの時間帯はチャー
2023年にリリースされた “ジャズ系” 作品の中から50作をセレクト 構成・文/土佐有明 Aaron Parks Little Big/Live In Berlin ブラッド・メルドーの再来とも称され、ジェイムス・ファームなどで活躍するピアニスト、アーロン・パークスのリーダー作。本作はバンドの一体感や結束力を強く感じさせる内容。時にコンテンポラリー・ジャズの枠を大きくはみ出し、ロック的なダイナミズムが漲る場面も。iPhoneのボイスメモで録音されたという本作だが、意図せず入り込んでしまったざらつきや歪みがアクセントとなり、アルバムに深みや奥行きを与えている。 Banksia Trio/MASKS 須川崇志(b)、林正樹(p)、石若駿(ds)という豪華メンバーによるトリオ作。これが3作目とあって、これまで以上に緊密で濃密な音のコミュニケーションがはかられている。また、菊地雅章やポール・モチ
さまざまな分野で活躍する音楽愛好家/有識者の皆さんが、独自の視点と尺度で「2023年の音楽作品ベスト3」を選びました。
Home ニュース 天才トランペッター急逝─ 最後のツアーを追ったドキュメンタリー映画『ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅』|エリアン・アンリ監督インタビュー 投稿日 : 2023.11.15 天才トランペッター急逝─ 最後のツアーを追ったドキュメンタリー映画『ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅』|エリアン・アンリ監督インタビュー 2018年11月2日、現代最高のジャズ・トランペッター、ロイ・ハーグローヴは49歳の若さで亡くなった。映画『ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅』は彼の最後のツアーとなった同年秋のヨーロッパ・ツアーを追いつつ、彼のキャリアをたどるアーカイヴ映像、そしてミュージシャンたちのインタビューを編集して構成した 「人間ロイ・ハーグローヴ」の軌跡だ。ロイの長年の友人でもあるエリアン・アンリ監督に話を聞いた。 取材・文/村井康司 マネージャーの怒号 村井 映画を観て
「世界3大ジャズ・フェス」に数えられるスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバル(Montreux Jazz Festival)。これまで幅広いジャンルのミュージシャンが熱演を繰り広げてきたこのフェスの特徴は、50年を超える歴史を通じてライブ音源と映像が豊富にストックされている点にある。その中からCD、DVD、デジタル音源などでリリースされている「名盤」を紹介していく。 デヴィッド・ボウイは70年代半ば、スイスに居を定め、モントルーのスタジオで盛んにレコーディングを行っていた。彼がその「ホーム」のステージに立ったのは2002年のことである。当時の新作『ヒーザン』発売後のツアーの一環だったそのライブでは、彼の最高傑作と定評のある『ロウ』のほぼ全曲が演奏された。自身の現在と過去に対峙しながら最高のパフォーマンスを見せたボウイの姿が、音源と映像に残されている。 「デヴィッド・ボウイ」という架空の
投稿日 : 2023.07.28 東京のミュージック・バー&カフェ ─2020年代の新たな情勢は?【いつか常連になりたいお店/特別編】 “音楽に深いこだわりを持つ飲食店” を紹介する連載記事「いつか常連になりたいお店」は、本誌『ARBAN』で最長の連載企画。今回はそんな人気連載の担当ライターと編集者が、この5年を振り返りつつ “東京のミュージックバー&カフェ” 近年の傾向を考察する。 『BLUE GIANT』の効果絶大 担当編集者(以下:編集) 以前、この連載が5年目へと突入したとき(2018年)に 振り返り記事を作りましたが、あれからさらに5年経ちまして。 担当ライター富山(以下:富山) 月日が流れる早さは恐ろしいですね…。 編集 というわけで、この5年を振り返りつつ、昨今のミュージックバーやカフェ事情を教えてほしいのですが、その前に。最近、映画『BLUE GIANT』効果でジャズバーや
Home ニュース ジャズ業界は異常? 素人の僕が“セッションの現場”を1年間取材して分かったこと【ジャムセッション講座/第12回】 投稿日 : 2023.06.06 更新日 : 2024.10.12 ジャズ業界は異常? 素人の僕が“セッションの現場”を1年間取材して分かったこと【ジャムセッション講座/第12回】 これから楽器をはじめる初心者から、ふたたび楽器を手にした再始動プレイヤー、さらには現役バンドマンまで、「もっと上手に、もっと楽しく」演奏したい皆さんに贈るジャムセッション講座。 今回は、ジャムセッションの現場を体験してきたライターの千駄木雄大が、この1年間の取材で感じてきたことを編集者のヤマシタにぶちまけていきます。 【今回の登場人物】 編集者 ヤマシタ 本誌編集者。40代男性。ライター千駄木とともに当連載企画をスタート。音楽はジャンルを問わずなんでも聴く。ライター千駄木に無理難
構成・文/土佐有明 桑原あい ザ・プロジェクト|Ai Kuwabara The Project 『Making Us Alive』 石若駿とのデュオ作もあるピアニストの桑原あいが、デビュー10周年を記念してリリースしたライヴ盤。2022年4月から7月に行ったライヴのベスト・テイクを収録。昨今の活動の中心である鳥越啓介(b)、千住宗臣(ds)とのレギュラー・トリオ=桑原あいザ・プロジェクト名義での作品だ。桑原は自身のオリジナルの他、クラシックやロック、ソウルなどをハイテンションで演奏しており、主張の強いリズム隊に真っ向勝負を挑んでいるかのよう。 魚返明末&井上銘|Ami Ogaeri &Mei Inoue 『魚返明末&井上銘』 東京藝大出身の魚返明未(p)と、CRCK/LCKSなどでも活躍する井上銘(g)のデュオ作。ピアノとギターのデュオというと、どうしてもジム・ホールとビル・エヴァンスの『
大和田俊之 慶應義塾大学教授(ポピュラー音楽研究) 専門はアメリカ文学、ポピュラー音楽研究。『アメリカ音楽史』(講談社)で第33回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)、『アメリカ音楽の新しい地図』(筑摩書房)で第34回ミュージック・ペンクラブ・ジャパン音楽賞ポピュラー部門著作出版物賞受賞。他に編著『ポップ・ミュージックを語る10の視点』、長谷川町蔵との共著『文化系のためのヒップホップ入門1、2、3』(アルテスパブリッシング)、また『山下達郎のBRUTUS SONGBOOK』では解説を担当した。 Moor Mother『Jazz Codes』 自らの手法を「ブラック・クォンタム(量子)・フューチャリズム」と呼ぶ詩人で実験音楽家、ムーア・マザー。「規則」とも「暗号」とも読めるCodeをタイトルに付した作品は、アブストラクトなビートにハープやサックス、グリッチ音などを散りばめ、そのサウンドを掻い潜
さまざまな分野で活躍する音楽愛好家/有識者の皆さんが、独自の視点と尺度で「2022年のベストアルバム」を選びました。 ※五十音順に掲載
投稿日 : 2022.02.12 更新日 : 2023.03.07 上演禁止曲「奇妙な果実」をめぐる物語─映画『ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』 © 2021 BILLIE HOLIDAY FILMS, LLC. アメリカが怖れた「自由」 9.11のテロが起こった時、アメリカの放送局の多くが、「イマジン」を放送自粛のリストに入れた。たったひとつの曲が社会で大きな力を持つことを、ポップ・カルチャーを生み出してきたアメリカは知っているのだ。 そんななかで、「イマジン」に先駆けて社会を揺るがせる強烈なメッセージを持った名曲が「奇妙な果実」だ。黒人差別がおおっぴらに行われていた1940年代のアメリカ。ジャズの女王、ビリー・ホリデイはリンチにあって木に吊るされた黒人を「奇妙な果実」に例えて歌った。それがいかに衝撃的なことだったのか。映画『ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリ
古来、芸術や芸能のパトロンはときに貴族であり、ときに社会的アウトローだった。禁酒法下にあった1920年代のシカゴにおいてジャズを庇護したのは、アウトローであると同時に「犯罪貴族」でもあったギャング集団である。その頂点に君臨したアル・カポネは、黒人ギャングに特権を与え、黒人ジャズ・ミュージシャンを厚遇した。イタリア人であった彼は、なぜ黒人を擁護したのだろうか。20年代のシカゴで活動した名ピアニストの証言をもとに、ジャズとギャングの関係を探る。 閉店後に姿を見せるオーナー テディ・ウィルソンは1930年代のスウィング期から数多くの録音を残してきた黒人ピアニストで、ジャズ・ファンの間ではレスター・ヤング(テナー・サックス)とレコーディングした『プレス・アンド・テディ』(1956年)などのアルバムがよく知られている。彼がキャリア初期に腕を磨いたのが1920年代の、つまりアル・カポネの支配下にあった
「世界3大ジャズ・フェス」に数えられるスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバル(Montreux Jazz Festival)。これまで幅広いジャンルのミュージシャンが熱演を繰り広げてきたこのフェスの特徴は、50年を超える歴史を通じてライブ音源と映像が豊富にストックされている点にある。その中からCD、DVD、デジタル音源などでリリースされている「名盤」を紹介していく。 2018年、ジョージ・クリントンはライブ・ツアーからの引退を表明した。ブラック・ミュージックの可能性を大きく広げたPファンク軍団を率いておよそ半世紀。その間、何枚かのライブ・アルバムが発売されてきた。2004年のモントルー・ジャズ・フェスティバルのステージを記録したライブ盤もその一つである。2000年代バージョンのPファンクの音楽の記録を紹介しながら、ブラック・ミュージックの可能性を大きく広げたファンク集団の歴史と功績を振
Home ニュース アート・ブレイキー初来日公演の秘蔵音源が奇跡の発掘! 録音テープ発見者が語った “謎解きの苦難と興奮” 邦ジャズ文化が急展開した大事件 2016年の春、東京都内の個人宅でそれは「発見」された。古ぼけた箱に収められた正体不明の録音テープ。その内容はジャズミュージシャンのアート・ブレイキーによる演奏で、彼のグループが1961年に初来日ツアーを行った際に録られたものだった。 この音源が先日ついに、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ 『ファースト・フライト・トゥ・トーキョー』として正式リリースされ、世界中のジャズファンに衝撃を与えた。本作をパッケージ化したのはジャズ界屈指の大ブランド、ブルーノート。レーベルの代表を務めるドン・ウォズはこうコメントする。 「このレコーディングの発売は私たちすべてにとって大きな誇りである。もっとも素晴らしい陣容のひとつだったときの、輝
投稿日 : 2021.10.22 更新日 : 2022.06.03 挾間美帆の新作と「ラージ・アンサンブルの歴史」を一気に解説 ─おすすめ作品リストも 挾間美帆はいま最も注目度の高い日本人作曲家のひとり。彼女はジャズのビッグバンドやラージ・アンサンブルと呼ばれる分野で活躍し、2018年発表のアルバムはグラミー賞候補に選出。また、指揮者としてヨーロッパの有名バンドに招聘されるなど破天荒の活躍を続けている。 そんな彼女が新作を発表した。今回もまた国際的な評価を期待される本作は一体どんな内容なのか。また、彼女が主戦場とするジャズのビッグバンドやラージ・アンサンブルとは、どんな世界なのか─。挾間美帆の新作『イマジナリー・ヴィジョンズ』日本盤CDのブックレットで解説を担当した村井康司氏に話をきいた。 挾間美帆が目指したもの ──挾間美帆の新アルバム『イマジナリー・ヴィジョンズ』がリリースされました。
ピアノ+弦楽四重奏。上原ひろみの新プロジェクト「上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテット」名義でのアルバム。コロナ禍の自粛期間中に書き下ろした組曲や自身のSNS企画で発表した楽曲、過去のオリジナル曲を新たに編曲したものを収録。 上原ひろみ 『シルヴァー・ライニング・スイート』 1991年にフランス・パリの「La Grande Halle」でおこなわれたマイルス・デイビスのコンサートを収録したライブ作。『The Lost Septet』『The Lost Quintet』という『The Lost』シリーズ3部作の最後を飾る作品。 マイルス・デイヴィス 『The Lost Concert(Live)』 ※現在、Spotifyでは未配信 グラミー賞にノミネートされた前作『ダンサー・イン・ノーホエア』以来3年ぶりとなる挾間美帆の新アルバム。 挾間美帆 『Imaginary Visions』 米ギタリス
投稿日 : 2023.05.02 更新日 : 2023.06.20 3人のユダヤ人と「最高のジャズ・シンガー」が生み出した名曲─ビリー・ホリデイと「奇妙な果実」【ヒップの誕生】最終回 最も早い時期に黒人によって歌われたプロテスト・ソングであり、ブラック・ライヴズ・マターの原点であるとも言われる「奇妙な果実」。しかし、その作者は黒人ではなかった。ビリー・ホリデイの絶唱によってジャズの歴史に名を刻むことになったこの曲をつくったのはユダヤ人であり、この曲を歌う場所を用意したのも、レコード化したのもまたユダヤ人であった。3人のユダヤ人と1人の黒人の共同作業によって名曲「奇妙な果実」が誕生した背景を探る。 アメリカ南部で頻発したリンチ殺人 日本語で「私刑」と訳される「リンチ(lynch)」という言葉は、実在した人物の姓に由来するらしい。名祖(なおや)と考えられる人は3人いて、米バージニア州の治安判事
投稿日 : 2021.09.02 更新日 : 2025.08.29 「日本のジャズ」この20年で何が起きたのか─ 定型に執着しない現代のミュージシャンたち “新世代”と呼ばれる、日本の若きジャズ・ミュージシャンたちが、かつてないほどユニークな作風で本邦ジャズ史を更新し続けている。 彼らは一体どんなマインドで創作をおこなっているのか。また、現在の日本のジャズ環境や、ミュージシャンの養成システムはどんな状況にあるのか。音楽大学のジャズコースで教員も務める、評論家の村井康司氏に話を聞いた。 挾間美帆のポテンシャル ――今回は「いま活躍している日本のジャズミュージシャン」についてお聞きしたいのですが、その前にひとつ。70〜80年代って、日本のジャズミュージシャンが今よりも “大衆的” な存在だったと思いませんか? 村井 そう思いますよ。たとえば渡辺貞夫や日野皓正といったジャズマンが、よくテレビCM
スリー・ブラインド・マイス 創始者・藤井武インタビュー|「あの頃、世界中が “自分たちのジャズ” を模索しはじめた」─日本初のインディ・ジャズレーベル物語〈1〉 投稿日 2022.07.04 更新日 2023.12.19
投稿日 : 2021.09.02 更新日 : 2022.06.27 日本のジャズ─“あの頃”の情熱と気概と創造性をふたたび【Days of Delight 平野暁臣インタビュー】 空間メディアプロデューサーとして、海外万博の日本館を数多く手がけるなど多方面で活躍してきた平野暁臣さん。芸術家である、故・岡本太郎の身内であり、岡本太郎記念館の館長という顔も持つ。そんな彼は2018年にジャズ・レーベル「Days of Delight(デイズ・オブ・ディライト)」をスタートさせた。70年代初頭、日本のジャズが持っていた独創的なクリエイティビティ、そこから受けた刺激を現代のアーティストたちに還元する試みとは? Days of Delightのホームページ 70年代初頭、欧米的な価値観とは異質なものを生みだし世界で評価された ──平野さんは子どもの頃からさまざまな音楽に親しまれてきたと伺っています。な
選・解説/村井康司 2000年以降にリリースされたジャズ・アルバムの中から、現代のジャズを知るためにぜひ聴いておきたい20作品を選んでみた。 ヒップホップやネオ・ソウルと親和性の強いもの、ジャンルを問わない広い意味でのアメリカ音楽(いわゆる「アメリカーナ」)に接近しているもの、アメリカ以外の国や地域からの斬新な音楽、ベテランの若手を起用しての果敢なチャレンジ、UKの若い世代のカリビアン系ジャズ、ラージ・アンサンブルの可能性、ジャズの伝統を新しいテクニックと発想で更新するもの、脱構築的なジャズ楽曲の解釈など、多様で多彩な「今のジャズ」のさまざまな側面を聴き取ってほしい。 もちろんここに挙げた作品以外にも、注目すべきミュージシャン、聴いておきたいアルバムは多数ある。ピアノならジェイソン・モラン、ヴィジェイ・アイヤー、シャイ・マエストロ、ジェラルド・クレイトン、ジェームズ・フランシーズなど、サッ
投稿日 : 2021.06.28 更新日 : 2025.02.14 「これまでのジャズ」と「これからのジャズ」─村井康司 インタビュー ジャズという音楽は現在、どんな姿をしているのか。100年を越えるジャズの歩みを丹念に考究し、この半世紀の動きを感受してきた批評家は、昨今のジャズをどう解釈し、どう分析しているのか。『あなたの聴き方を変えるジャズ史』などの著作で知られる音楽評論家の村井康司氏に聞いた。 2010年代の出来事 ──たとえば、この10年。ジャズ界で起きたことを振り返ると、ロバート・グラスパーとカマシ・ワシントン、あるいはその周辺のプレイヤーたちが多くの関心を集めました。 村井 ロバート・グラスパーは、2012年のアルバム『ブラック・レディオ』が大きなきっかけでしたね。以前の彼もいいピアニストではあったんだけども、あの作品でヒップホップやネオソウル的なものを初めて強く押し出して注目
今も昔も“なんでもアリ” かつてジャズはポピュラー音楽の「主役」として、さまざまなカルチャーに影響を与えてきた。同様に「ジャズ」もまた、他ジャンルの音楽を巧みに取り込み、変化を繰り返し、いまもスタイルを拡張し続けている。 ジャズ関連の著作で知られる批評家の村井康司は言う。 「ジャズって、そもそも形がないんですよ」 たとえば、ブルースには型がある。ポピュラーミュージックとして存立する音楽には、一定のフォームがあるのが常だ。 「ジャズにはそのフォームがなかった。あるとすると、いろんな音楽を取り入れて、いくつかの管楽器とピアノと、まあ、そこらにある楽器で、即興演奏を含んだ演奏をする、という方法論ですね。どっちかというと“やり方”の音楽で、素材はなんでも良い」 こうした生まれ持った性質が、ジャズを変化させ続け「現代のジャズ」を面白いものにしている。ジャズはこれまでどんな変化を遂げ、現在どんな様相を
Home ニュース 【ヴィジェイ・アイヤー|インタビュー】物理学者の道を断ち “現代ジャズ” 屈指のピアニストに─明敏な知性と豊かな感性を包容した最新作 投稿日 : 2021.04.16 更新日 : 2021.08.17 【ヴィジェイ・アイヤー|インタビュー】物理学者の道を断ち “現代ジャズ” 屈指のピアニストに─明敏な知性と豊かな感性を包容した最新作 Photography by Ebru Yildiz 過小評価されているジャズ・ミュージシャンのひとり、と言うと聞こえは悪いが、その圧倒的な想像力や表現力、胆力や力量に比してピアニスト、ヴィジェイ・アイヤーの知名度は確かに低い。惜しくも日本盤のリリースが見送られたECM(注1)からの最新作『Uneasy』を聴くにつれ、その想いを強くせざるを得ない。 注1:1969年にマンフレート・アイヒャーが創設した音楽レーベル。本拠地はドイツのミュンヘン
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