著:南條範夫 画:山口貴由 徳間文庫*1後に反逆者として切腹させられた徳川忠長の御前で繰り広げられる十一番の真剣勝負。凄惨の極みの中に現れる武芸者達の恍惚とは――新装版で出直しの短篇連作集。 シグルイ(山口貴由) *2 *3の原作本です。コミックスの方は原作の第一話「無明逆流れ」に様々な設定やエピソードを補間挿入して、重厚な狂気を醸し出していますが、原作ではわずか34ページ。 原作の方は、少しだけ盛られた一品ごと、口に入れた一瞬だけ激烈な衝撃が走る懐石料理のコースみたいな感じ。 男所帯の道場には美人の一人娘、意識せずに彼女が匂わせる色気に男達が狂い、互いを疑い、斬り合って破滅していく様は、もしかしたらサークルクラッシャーの古典なのかも。 SMチックで耽美的な「被虐の受太刀」、一人の策謀に数々の男女が堕ちていく「無惨卜伝流」など、見どころ満載の本作、お薦め。 >< *1:ISBN:41989