Text by Akira Saito 齊藤聡 筆者がエルメート・パスコアールの音楽を意識したのは1995年頃のこと。同年に発売されたガイドブック『200CD 21世紀へのジャズ』(立風書房)に紹介されていた『Festa Dos Deuses』(1992年)に興味を持ち、レコード店でCDを探し続けた。ネットはまだ発展前の時代で、それしか方法がなかった。 エルメート独特の喜びに満ちた曲にも魅せられた。矢野顕子『ELEPHANT HOTEL』(1994年)に収録された<PIPOCA>にはなんども口ずさんでしまう愉しさがあった。また多楽器奏者ミシェル・ポルタルとアコーディオンのリシャール・ガリアーノが組んだ『Blow Up!』(1997年)やガリアーノの『Laurita』(1995年)において取り上げられた<Leo, Estante Num Instante>は跳躍する旋律をもち、まるでダンスだ