私はときどき最新の論文に目を通すようにしています。日進月歩の世界では、最新の情報に常に敏感でいることが大切だと考えているからです。自分の経験だけではどうしても得られる情報は限られてしまいますし、自分の視点や考え方が世界の潮流からずれていってしまう可能性もあります。 今回は、少し前に読んだ論文の中から、私の実感に近く、印象に残ったものをご紹介させていただきます。 これは、60名の自閉症スペクトラム障がい(ASD)の学齢児を15名ずつ4つのグループに無作為に分け、①本人に対するソーシャルスキルトレーニング、②周囲の子どもたちに対するピア・サポートのトレーニング、③両方を行う、④いずれも行わない、の4種類の対応を6週間行った後、3カ月間の追跡調査を行ったというものです。3ヶ月後には、②及び③でASD児の他児との関係やソーシャルスキルは有意に改善し、孤立する程度は減少しました。②と③の効果は同等で