法務省などによると、2003年に37万9602人だった刑法犯検挙者数は、17年には4割以上少ない21万5003人に減った。一方、検挙者数に占める再犯者の割合を示す「再犯者率」はこの間、35.6%から48.7%に増えている。 中でも65歳以上の高齢者の再犯者率は全体よりも高い傾向が続き、17年は51.7%だった。障害者の…
法務省などによると、2003年に37万9602人だった刑法犯検挙者数は、17年には4割以上少ない21万5003人に減った。一方、検挙者数に占める再犯者の割合を示す「再犯者率」はこの間、35.6%から48.7%に増えている。 中でも65歳以上の高齢者の再犯者率は全体よりも高い傾向が続き、17年は51.7%だった。障害者の…
小鉢由美弁護士(左)と更生支援計画の内容を確認する男性。今は定職に就き、グループホームを出て1人暮らしをする準備を進めている=福岡県で、宮原健太撮影 それはあまりにもお粗末な窃盗事件だった。北九州市の大型商業施設。多くの人目がある夕方、男性(33)はバーベキューセットをカートに乗せたまま外に出たところを警備員に見つかり、現行犯逮捕された。 2015年5月、国選弁護人として市内の警察署で接見した小鉢(こばち)由美弁護士(福岡県弁護士会)は、目をそらしながら、どこか人ごとのようにゆっくりと話す男性の様子に違和感を覚えた。事件の経緯を尋ねると「地元の友達2人から『バーベキューをしたいから盗んでこい』と言われた」と答えた。 男性はこれまでも他人から言われて盗みを働いては、何度も捕まってきたと説明した。中学生の指示に従ったこともあったという。
大阪・ミナミの繁華街。男性は出所するとこの街に現れ、金が尽きると盗みをはたらき、また刑務所に戻る人生を送ってきた=大阪市中央区で、貝塚太一撮影 55歳無職男性の判決が15日、奈良地裁葛城支部で 奈良県内の工場でビスケットなど菓子(400円相当)を盗んだとして窃盗罪などに問われた無職男性(55)の判決が15日、奈良地裁葛城支部(五十嵐常之裁判官)で言い渡される。男性は知的障害の可能性が高い。前科10犯で、服役は通算約30年間に及ぶ。社会経験がほとんどなく、親族や知人もいない。検察側は懲役4年6月を求刑したが、弁護側は再犯防止の観点から男性が福祉的支援を受けられるよう求めている。 公判記録などによると、男性は徳島県出身。中学卒業後、大阪府八尾市内の工場でプレス工として働いたが、20歳の時に窃盗容疑で逮捕された。20代に4回、30代に3回、40代に2回、50代に1回、窃盗などの罪で有罪判決を受け
佐賀市の路上で小学生の女児の顔面を蹴ったとして、傷害などの罪に問われた佐賀市大和町尼寺、無職の女の被告(46)に対し、佐賀地裁は12日、懲役2年(求刑懲役2年6月)の判決を言い渡した。 判決によると、被告は7月25日、佐賀市高木瀬町の路上を歩いていた10歳未満の女児の髪を引っ張って倒したうえ、顔面を足で数回蹴り、鼻の骨折など2カ月のけがをさせた。同月21日にも高木瀬町の路上で別の10歳未満の女児を足払いで転倒させ、髪をつかんで引きずったり背中を足裏で蹴ったりした。 中里敦裁判官は判決理由で「ストレス解消で暴力を振るい、動機は身勝手。被害者が受けた恐怖感など精神的苦痛は大きく、将来への悪影響も懸念される」と指摘した。一方、知的障害があることなどを酌むべき事情として示した。
「虐待はあってはならない行為。職員たちの職業倫理が不徹底だったと痛感している」 2月26日、長崎市内で記者会見した社会福祉法人「南高愛隣会」(長崎県雲仙市)の田島光浩理事長(40)は、深々と頭を下げた。これが、計23件の虐待があったとして県から行政処分を受けたことへの反省の弁だった。 再犯を重ねる「累犯障害者」を受け入れ始めた平成18(2006)年から、職員たちは虐待に手を染めていた。グループホームで、興奮状態になった知的障害者の男性を押さえつけ、肋骨(ろっこつ)を折るけがをさせた事案が最初とみられている。 県はこの施設を含む4施設に対して1年~3カ月間、新規利用者の受け入れを禁じた。担当者は「けがの程度などを考慮し、重い処分にした」と明かす。 累犯障害者の更生と社会復帰に関しては先駆者と評価されていた南高愛隣会で、なぜ虐待が起きたのか。南高愛隣会が県に提出した報告書には、にわかに信じがた
中日新聞メディカルサイト「つなごう医療」は 2018年3月末をもって終了いたしました。 長らくご愛顧いただき、 ありがとうございました。 今後、中日新聞の医療関係記事は 中日Webの「医療」コーナー(http://www.chunichi.co.jp/article/feature/iryou/) でご覧ください。 中日新聞社
精神年齢が「4歳7カ月」という鑑定結果を理由に、京都地裁が自動車盗を繰り返した男(37)に無罪を言い渡して約1カ月後の平成25年9月。今度は30代の累犯障害者の女性に大阪地裁が執行猶予付きの判決を出した。前科があったため実刑もあり得たが、判決理由には「福祉の援助が期待できる」とある。 女性は店舗で万引をし、とがめられた保安員にけがをさせたとして窃盗と傷害の罪に問われていた。検察側は控訴せず、判決は確定。女性は勤務先や病院を紹介してもらい、家族とともに平穏な生活を送っているという。 執行猶予付き判決を求めた弁護側にブレーンとして加わったのが、社会福祉士だった。女性の支援計画を練り上げ、刑事裁判に使える証拠を作ったのだ。 「のぞみの園」(群馬県高崎市)のように刑務所を出た累犯障害者に特化できる福祉施設の「楽園」は、現実には数少ない。ならば最初から刑務所に入れず、福祉の力を借りながら地域社会で更
「810円持っていて、おなかがペコペコです。スーパーに行ったら何を買いますか?」「うん。たばこ」「たばこ? おなかペコペコなのに?」「うん」 5月下旬、累犯障害者を受け入れる「のぞみの園」(群馬県高崎市)の自活訓練ホームで、4月に入所したばかりの20代の女性が授業を受けていた。テーマは「お金の正しい使い方」。社会で生きていくための知恵を教わるのだ。 真剣なまなざしでメモを取る女性には、軽度の知的障害がある。講師からの質問にかみ合う答えを出せない。過去に財布をなくしたなどと嘘をつき、人から金をだまし取る寸借詐欺で3度有罪判決を受けたことは、想像できなかった。 入所者にとって「楽園」であるはずののぞみの園で、女性は脱走を試みた経験がある。「地元に帰りたい」と荷物をまとめて居室の窓から抜け出し、近所を散歩していた住民に見つかって連れ戻された。 共同生活に慣れ始めると、今度は男性の部屋に忍び込もう
「刑務所での反省と償いは終わりました。もう二度と犯罪はしません」。元受刑者の50代の男性は、自身が持つ軽度の知的障害をみじんも感じさせず、はきはきと語った。 昨年6月までの約2年間、スーパーで食品を万引した窃盗罪で服役していた。20代のころにはカッターナイフを持って消費者金融に押し入り、強盗罪で有罪判決を受けている。約30年の空白期間を経た2つの犯行の動機を、男性はいずれも「お金に困ったから」と簡単に説明した。 かりそめの自由 どんな犯罪者であれ、たとえ再犯を重ねる知的障害者、いわゆる「累犯障害者」であっても、刑期を終えれば社会で自由に生きる権利がある。それでも男性は刑務所職員の勧めを聞き入れ、出所後、自ら福祉施設に保護を求めた。 国立の入所施設「のぞみの園」(群馬県高崎市)。民間の施設が他の障害者に配慮して受け入れを避ける傾向にある中、園内の自活訓練ホームを累犯障害者の専用としている。他
File Not Found. 該当ページが見つかりません。URLをご確認下さい。 お知らせ 事件・事故のジャンルを除き、過去6年分の主な記事は、インターネットの会員制データベース・サービスの「京都新聞データベース plus 日経テレコン」(http://telecom.nikkei.co.jp/public/guide/kyoto/)もしくは「日経テレコン」(本社・東京 http://telecom.nikkei.co.jp/)、「ジー・サーチ」(本社・東京、 http://www.gsh.co.jp)のいずれでも見ることができます。また、登録したジャンルの記事を毎日、ネット経由で会員に届ける会員制データベース・サービス「スカラコミュニケーションズ」(本社・東京、http://scala-com.jp/brain/) も利用できます。閲読はともに有料です。 購読申し込みは下記のページから
米テキサス(Texas)州ハンツビル(Huntsville)の死刑執行施設がある刑務所(2013年5月21日撮影、資料写真)。(c)AFP/CHANTAL VALERY 【5月14日 AFP】米テキサス(Texas)州の控訴裁判所は13日、殺人罪で死刑が確定した男について、数時間後に予定されていた刑執行の停止を命じた。この刑執行は、先月に全米規模の議論を巻き起こしたオクラホマ(Oklahoma)州での薬物注射による処刑の失敗以降、初めての死刑執行となる予定だった。 ロバート・ジェームズ・キャンベル(Robert James Campbell)死刑囚の刑の執行は13日午後6時(日本時間14日午前8時)に行われる予定だった。しかし、テキサス州控訴裁はその直前になり、キャンベル死刑囚に知的障害がある可能性について再度調べる必要があるとの判断を下した。 キャンベル死刑囚は1991年に起きたアレクサ
(中)福祉も限界「無罪ならぬほうが」…から続く 常習累犯窃盗罪で起訴された知的障害のある男(36)の弁護人、西田祐馬弁護士(京都弁護士会)は、京都地裁が無罪とした平成25年の自動車盗事件でも弁護を担当していた。 当初は「車を運転したのはだめだよ」と言うと、男は「ぶっとばすぞ」とすごんでくることもあった。徐々に意思疎通ができるようになり、法廷でも「ごめんなさい」と謝罪した。 ただ、どこまで罪の意識を持って謝るのか、いまだに分からない。許してもらえることを学習し、条件反射で謝っているようにも見える。怒られると分かっていながら、自動車盗を繰り返している節もある。 だからこそ、男に刑事責任能力がないと確信して弁護を引き受けているが、これまで福祉関係者の苦労や地域社会の不安とつぶさに接してきただけに、苦悩は深い。西田弁護士は言う。 「彼のように再犯を繰り返す障害者を社会の中でどう位置づけ、どう処遇す
(上)通所し作業、犯罪傾向やわらぐも防げず…から続く 「おれ、めんきょとってくるまかう」 平成25年7月26日、京都地裁。裁判官から「最後に何か言いたいことは」と促されると、男(36)は体を震わせて叫んだ。直前に「くるまやさん、ごめんなさい」と述べた謝罪の言葉よりも大きな声だった。 当時、男は自動車販売会社の展示場で軽乗用車を盗んだとして逮捕、起訴されていた。罪名は常習累犯窃盗罪。10年間で3回以上、窃盗罪などで懲役刑を受け、さらに同じ犯罪を繰り返すと適用される。 だが、8月30日に言い渡された判決は無罪(求刑懲役3年)だった。自動車盗が「悪いこと」だと表面上は分かっているが、「社会から許されない違法行為とは真に理解しておらず、自制できなかった」と判断されたのだ。 知的障害だけを理由に、刑罰を科さない「心神喪失」を認めた異例の判決。刑罰を軽くする「心神耗弱」が妥当とみる検察側は、控訴してい
重度の知的障害を理由に心神喪失状態だったとして、一度は無罪とされた京都市内の男(36)が3月14日、同じ自動車盗を繰り返したとする常習累犯(るいはん)窃盗罪で起訴された。男は、出所後すぐに罪を犯して服役することを4、5回繰り返した「累犯障害者」だった。「車見てたら欲しくなる」 今回の犯行は京都市内にある自動車販売会社の整備工場が舞台だった。2月22日午後、事務所で昼休みをとっていた男性工員(22)は、聞こえるはずのないエンジン音を耳にした。 窓越しに外を見ると、さっきまで整備していた中古車(20万円)が向きを変え、エンジンが空ぶかしになっている。だれかがギアを入れずにアクセルを踏み込んでいるらしい。ほどなく男が降りてきて、傍らの自転車に乗り換えると、車を置いたまま走り去った。 男からは、慌てたそぶりがうかがえなかった。去り際には目も合った。なのに顔色一つ変えず、何かをつぶやくだけだったとい
知的障害などがあって犯罪を繰り返す「累犯障害者」の救済の動きが広がりつつある。だが、共通するのは「孤立」や「貧困による生きづらさ」を抱えている点で、刑務所は身寄りのない人々にとって“安住の地”という声もある。 東京都葛飾区の社会福祉法人「原町成年寮」が運営する都内60カ所以上の施設には、知的障害者344人が暮らしている。2011年以降は累犯障害者7人を受け入れ、新たな人生の伴走をしている。 東京都出身のノボルさん(仮名・65歳)は2年前、静岡刑務所を出所した。50代を迎えてから7年間スーパーで万引きを繰り返した末、窃盗罪で懲役1年を言い渡されて服役した。 それ以前も、服役こそ免れてきたが、万引きの常習者で、留置場に10回以上入っている。盗むのはたいてい弁当やカップ麺、缶コーヒーなど。冬場はジャンパーやズボン、靴下にも手を出した。 なぜなのか。 「食いたいから。人間が生きていくためには食べな
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