面会交流を求める側も、拒否する側も、大義名分に使われるのが、「子の福祉」である。子どもと会うことが子の福祉にかなう、いや、会わせるとかえって子の福祉に反する。面会交流で対立する当事者が、ともに「子の福祉」を理由にする。 これは、「子の福祉」という概念が非常に曖昧だからだ。 こういう曖昧な概念だけに、面会交流を希望する者も、拒否したい者も、現在、家庭裁判所が、「子の福祉」をどのように考えているか、を認識しておく必要はある。 [昔の考え] 子の福祉に関する家裁の認識は、ある時点を境にして大転換している。 1、まず基本は、「両親の紛争に子を巻き込まない」という考え。これは、今も現在も、変わっていない。 2、ただ、かつては、 「だから、夫婦間の緊張関係が激しいときは、子供との面会はさせるべきでない」 というのが裁判所の考えだった。例えば、離婚訴訟で激しく争っているとき、子供は面会させるべきでないと