このところ,リスク・マネジメントに対する関心がかなり高まってきたように感じる。経済環境が悪化している状況で,システム開発プロジェクトにおけるリスクがより大きくなりつつあることも一因だろう。 ただし,あるプロジェクトマネジャはこう打ち明ける。「現場は忙しいから,何か問題が起こってからでないと対策に腰を上げる気にならない。リスクを感じていても,『まだ時間がある』『まだ顕在化していない』と対処を先送りにしがちだ」。リスク・マネジメントがなかなか定着しない理由の一つである。 実際,リスク・マネジメントにしっかり取り組んでいるプロジェクトがどれだけあるかというと,まだ少ない。プロジェクトマネジャが中心となってリスクを洗い出し,それらが顕在化する確率と影響の大きさを評価して,重要なリスクが顕在化したときの対策案や予防策をあらかじめ立てておく――という一連の検討作業を,型通りに1~2回実施した後,形骸化