福岡県の性暴力加害者相談窓口では臨床発達心理士の大黒剛さん(左)のほか精神保健福祉士や精神科医ら6人がチームを組んで相談者と向き合っている=福岡県内で2021年1月21日午後4時33分、飯田憲撮影 性犯罪の発生率が全国的に高い福岡県が、性暴力の加害者や性的な問題行動に悩む人を対象とした相談業務に乗り出している。性犯罪で刑事処分を受けた人の相談窓口は大阪府も開設しているが、犯罪の有無に関係なく相談を受け付ける自治体の窓口は全国初だ。2020年5月の開設から受けた問い合わせは150件に上る。相談者の声に耳を傾ける臨床発達心理士がこの1年半を振り返った。 「その時の気持ちを教えてもらえませんか」。福岡県内の某所。臨床発達心理士の大黒剛さん(50)は個室内で向き合った男性に語りかけた。男性は盗撮をやめられないでいる。性欲やストレスを感じる精神状態をひもとくために、言葉を選びながら質問していく。 男
障害者の再犯防止へ専門職員 自治体の配置支援―厚労省 2021年10月27日20時54分 厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京都千代田区 厚生労働省は2022年度、障害者の再犯防止に取り組む市区町村への支援を強化する方針だ。起訴猶予や執行猶予となった障害者が適切な福祉サービスを受けられるよう、「コーディネート役」の専門職員を配置する市区町村に対し人件費などを補助する。グループホームへの入所など本人が希望する支援策を提示できるようにする。 障害者施設に反対根強く 7カ国調査、日本少ない接点―識者「偏見超え関係構築を」 20年3月に厚労省と法務省の検討会がまとめた報告書は、障害者による犯罪の背景について「複雑な問題を抱え、福祉サービスなどへのアクセスが困難となっている場合が多い」と指摘。犯罪の常習化を防ぐため、早期に福祉サービスなどにつなげる体制整備を求めた。 厚労省は、起訴猶予になった
色鉛筆を使えるようにしてほしい――。死刑囚が拘置所から国に対して訴えを起こした。33歳の死刑囚がなぜ色鉛筆にこだわるのか。そこには死刑判決確定から7年がたつ彼の償いの形があった。 拘置所内で色鉛筆が使えなくなったのは憲法が定める表現の自由の侵害だとして、奥本章寛(あきひろ)死刑囚(33)=福岡拘置所に収監中=が、国を相手に法務省の訓令の取り消しを求めて東京地裁に提訴したことが、代理人弁護士への取材で判明した。提訴は7月30日付。 奥本死刑囚は、宮崎市で2010年に家族3人が殺害された事件で殺人などの罪に問われ、14年に死刑判決が確定した。 その後、遺族の一人が奥本死刑囚との面会などを通じて裁判のやり直しを求めたため、代理人弁護士は「死刑か無期懲役かを慎重に審理してほしい」とする遺族の上申書を新証拠に17年3月、再審を請求。宮崎地裁と福岡高裁宮崎支部は再審を認めず、奥本死刑囚は18年3月、最
政府は7日に京都市で開幕した京都コングレスに合わせて「世界保護司会議」を初めて開催し、「世界保護司デー」の制定を目指す共同宣言を採択した。刑を終えた人の立ち直りを支援する保護司は日本独自の制度で、国際的にも注目を集めている。政府は制度の輸出を通じ、刑事司法分野でのプレゼンス向上につなげたい考えだ。 保護司は罪を犯した人や非行少年が社会で更生できるよう支援する地域ボランティア。国の職員である保護観察官とは別に出所者らと定期的に面会し、就労や就学を地域で手助けする。1月時点で全国4万6358人が委嘱されている。 制度のルーツは明治21年、静岡県で出所者を雇う会社が設立されたことにさかのぼる。慈善事業として全国に広がり、大正11年公布の旧少年法での制度化を経て、昭和25年から現行制度となった。 米国発祥の保護観察制度に対し、日本の保護司は歴史が古く、地域に根差している点で独自性がある。政府は「国
【ニューヨーク=杉藤貴浩】米南部バージニア州議会は22日、死刑制度を廃止する法案を可決した。ノーサム知事は法案に署名し、発効する予定。米メディアによると、全米で23番目、南部では初の死刑廃止州となる。連邦レベルではバイデン政権が廃止を目指しており、他の保守的な州の動向も注目される。 バージニア州では、冤罪の可能性や制度維持のためのコストに加え、執行の対象が黒人など人種的少数派に偏っていることから死刑制度への反対が強まっていた。米公共ラジオNPRによると、同州の黒人人口は約2割だが、死刑全体のおよそ半分が黒人に対し執行されたという。
国民救援会滋賀県本部の会報誌「救援会交流しが」(昨年10月25日付)に掲載された記事。その後「救援新聞」に転載された 冤罪(えんざい)に苦しむ人たちを一日も早く救いたい。それが昨年十二月、国家賠償訴訟を提起した西山美香さん(41)の純粋な思いだと痛感したのは、冤罪被害者を支援する国民救援会の会報誌の記事を読んだ時だった。
生活に困窮していたわけでも、盗んだ物が欲しかったわけでもないのにやめられない――。精神疾患の一種のクレプトマニア(窃盗症)と食べ吐きなどを繰り返す摂食障害を併発した西日本に住む40代女性が毎日新聞の取材に応じた。4年半前に初めて警察に逮捕され、罰金刑を受けた。二度と繰り返すまいと誓ったが、2020年秋、再び万引きした。刑事処分を待つ今、ようやく自身の病気と向き合おうと模索し始めた女性の思いとは。 「刑務所だけには行きたくありません」。女性はこの数カ月間、窃盗症の治療ができる自助グループや医療機関のパンフレットを集めてきた。窃盗症とは、物を盗もうとする衝動に抵抗できずに万引きを繰り返す症状で、窃盗の緊張感や成功した際の解放感を得ようとするケースが多いとされる。女性は20年近く症状を自覚しながら、初めて自分を変えたいと思っている。
入所していた高齢者施設で妻玉枝さん(左)と話す免田栄さん=福岡県大牟田市で2019年1月7日午後3時47分、平川昌範撮影 死刑囚として日本で初めて再審の門を開き、1983年7月に無罪が確定した免田栄(めんだ・さかえ)さんが5日午前11時55分、入所している福岡県大牟田市の高齢者施設で老衰のため死去した。95歳。 「権力も人間なら、裁かれる我々も人間。問題ないようにしてもらわな」。晩年を過ごした福岡県大牟田市の高齢者施設で、免田栄さんは穏やかに語っていた。23歳で逮捕されて57歳で釈放されるまでの34年間を死刑執行におびえながら過ごした。 「いつ呼び出されるか分からんでしょうが。怖いですよ。役人(看守)の足音が近づいてきたらいよいよかと。今になって思うと、よう頑張ったなーって思いますけどね」。2年前の取材にそう振り返りつつ「いい経験だった」とほほ笑む姿はどこか達観しているように見えた。
幼い頃は悲しい思い出ばかりだった。 テーブルの上に置かれたコイン、「これで何か食べなさい」と書かれたメモ、一人ぽっちの食事……。 栃木県栃木市の建設会社「大伸ワークサポート」社長・広瀬伸恵さん(42)は、ツラい幼少期を過ごしてきた。学校から帰ってくると、親はいつもケンカ。両親とも家を空けることもしばしば。一人では家に居場所がなく、寂しさを紛らわすために非行に走ったーー。 だが、今は違う。 「マミー! ご飯よそってよ」 「うるさい! 自分でよそいな。甘えるんじゃない!」 騒がしいほど賑やかな食卓。広瀬さんは、自宅敷地内の寮に住む社員たちへ、母親代わりに毎晩夕飯をふるまう。広瀬さんが幼い頃憧れていた、笑い声が絶えない食卓だ。 だが……フツウの会社と違うところがある。社員36人中、約9割の32人が刑務所や少年院の服役経験者。広瀬さん自身「魔羅亜(まりあ)」という女性だけの暴走族の総長を務め、三度
犯罪行為の一つである痴漢。刑法の「強制わいせつ罪」または各都道府県の「迷惑防止条例違反」が適用され、罰則も定められている。一方、逮捕された人の5年以内の再犯率は約4割に上る。臨床心理学や犯罪心理学を専門とする筑波大学人間系心理学域の原田隆之教授は「治療が必要な性依存症の可能性もあるので、罰するだけでは不十分です」と話す。 ▽女性や性へのゆがんだ認知 現時点で「性依存症」という精神医学上の診断名はなく、痴漢は「パラフィリア(性嗜好=しこう)障害」の中の「窃触(せっしょく)障害」に分類される。しかし、衝動的に繰り返すため、診療現場では通常、アルコール依存やニコチン依存と並ぶ依存症と捉える。 ただ、酒やたばこという物への依存と異なり、「痴漢は明確な被害者がいる点で、悪質な犯罪行為です」と原田教授は説明する。痴漢行為の原因には、幼少期の性的虐待被害などのトラウマがあると思われがちだが、「大半は問題
性犯罪は繰り返される傾向が強いとして、法務省の有識者会議は、起訴猶予など比較的軽い処分を受けた段階から、適切な介入を行う仕組みを検討するよう求める報告書をまとめました。 また、刑務所の出所後や保護観察期間の終了後も、医療機関や福祉機関と連携して、切れ目のない支援を続けることが望まれるとしています。 一方で、性犯罪は繰り返される傾向が強いことから、起訴猶予や罰金など比較的軽い処分を受けた段階から、適切な介入を行う仕組みを検討するよう求めています。 上川大臣は「プログラムの内容や運用体制の充実を図り、再犯防止を着実に進めていく」と述べました。
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