政府の厳しい監視から逃れるため、馬氏は大きな譲歩をしなければならなかった。アントは20年11月に超大型の新規株式公開(IPO)を計画していたが、上場直前で当局が待ったをかけた。 アントは厳格化された規制に対応するため事業を抜本的に見直し、どのように業務を「是正」する方法について中国人民銀行(中央銀行)と定期的に話し合ってきた。アントが成功を収めたデジタル決済やマネー・マーケット・ファンド(MMF)は大手国有銀行の優位性を脅かしていた。 口頭で示唆 事情に詳しい関係者によれば、馬氏はアントの経営権を手放す意向だと同社側が当局に口頭で示唆している。ただ、アントはこうした計画を当局および人民銀に1年余り前から伝えている。検討案の1つは、アントが委員会を通じて監督できる形で馬氏の持ち株を他の幹部に移すことだという。 アリババは今週の届け出資料で、馬氏は「時間の経過とともにアントに対する自身の直接