東芝は、経済産業省の主導により、目先の金繰りをつけるため、医療機器や半導体といった高収益部門を切り売りしてきた。成長力を支えていく柱が見当たらないだけでなく、収益を安定的に確保できるかどうかすら覚束ない状況だ。嵐の中で船出する車谷・東芝は、荒波を乗り越えていけるのだろうか。 53年ぶりの「大外科手術」だが…歴史はくり返す――。東芝が外部からトップを招へいするのは、今度が4回目になる。 芝浦製作所と東京電氣が1939年に合併し、東芝の前身「東京芝浦電気製作所」が誕生した際の初代社長である山口喜三郎氏が最初。続いて、東芝を大混乱に陥れた労働争議を収拾するために、第4代社長に就いた元第一生命社長の石坂泰三氏。さらに、元石川島播磨重工業社長で、質素な暮らしぶりから「メザシの土光さん」と呼ばれた第6代社長の土光敏夫氏。車谷氏は戦後70年以上の歴史のなかで3人目。異常事態と言っていいだろう。 2015