わたしたちの視覚には「色」がある。だから、色があるのは当たり前と思うかもしれないけれど、色覚を持たない動物も多い。なぜわたしたちには色覚があり、どのように進化してきたのか。魚類から霊長類まで、広く深く色覚を追究している河村正二先生の研究室に行ってみた! (文=川端裕人、写真=内海裕之) 進化の初期の段階で、だいたいのレパートリーが出揃って、その後、刈り込まれていくような現象は、よく聞く。約5億年前に起きたいわゆる「生命のカンブリア爆発」では、生物の進化の歴史の中でも特筆すべき多様性が花開き、後に刈り込まれていったとされる。 多様なレパートリー 見せていただいた「脊椎動物視覚オプシンのレパートリー」の表がとてもおもしろい。 「4種類の錐体オプシンと、1種類の桿体オプシンということで、5種類。それらを、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、そして、哺乳類の中でも特に霊長類で、どんなものを持ってい